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愛川結美VS二階堂銀二

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 親殺しをしておいてヘラヘラと笑っている彼の態度に我慢ができなくなった私はついつい【ファイア】の魔法を放ってしまった。

「スカッとしたわ」

 そう呟いた時だった。

「情熱的な熱さだね。本当は僕のことが好きだったりしない?」

 と燃やされながらもポジティブな思考をぶつけてくる彼。

「お生憎様。私は貴方の事が昔っから気に食わなかったのよ!」

 今度は風の刃で攻める。

「高性能な魔法の数々とその威力。間違いなく君は【超越者】だよ」

「要するに【超越者】って言ってるけど所詮は強い【覚醒者】の事を指してるんでしょ? 私を欺こうとしても無駄だよ♡」

 唇の前に人差し指を置いて彼にそう呟きながら次の魔法を放つ。

 既にカズ君達はこちらに向かってきているだろうけど、私は目の前の男を倒さなくてはスッキリしないのだ。

(カズ君達がくる前に元締めのこいつを倒せば良いよね?)

 そうすればカズ君が私のことを褒めてくれるかも知れないと考えるとやる気が出てくる。

 しかし、しばらく魔法で攻撃していると気がついた事があった。

「...貴方、魔法耐性が高いのね」

「勿論、愛川さんと戦いに備えて魔法防御力を高める防具を揃えているからね」

 と自身が羽織っている白いローブを見せつけてくる。

 派手なローブだけど性能は確かなようだ。

(これはちょっとまずいかも...)

 明らかに魔法ダメージが低く、更には彼のメイド達を巻き込んではいけないので広範囲の魔法は使えない。

 必然的に下級の魔法で戦う事になってしまっているのだ。

(...まさかこいつ、部屋の外に自分の部下を待機させているのはこう言った理由から?)

 私の魔法を警戒してそう言う対応をしてくるとは...。

 偶然なのかそれとも彼の仕組んだ罠なのか? どちらにせよ私の超火力は発揮できそうにない。

 でもまあ、それでも負けないけどね♡
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