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辻 千夏

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 新入生に声かけを終えた俺はいつものように仕事をしようと自分の部屋に向かっていると、見慣れない少女に声をかけられた。

「高坂和希さん...ですよね?」

「君は?」

「私! 辻千夏と言います! 以前からお会いしたいと思っていました! お会いできて光栄です!」

 こう言った手合いにも慣れてきたな。

「そうか。『ボードゲーマーズ』の一員となったからには君の成長を期待している」

 俺の言葉を聞いた少女は顔をパアアッと光らせている。

 憧れの先輩から期待していると言われればある意味当然ではるのだがな。

 ちなみに現時点だと俺は彼女に期待などしていない。

 これから先に彼女がどれだけの実績を積めるかでその裁量を決めるのみだ。

 とは言え俺からすれば有象無象の1人に過ぎない。

 彼女からすれば俺がそう言った対象だとしても、俺からすればモブキャラ当然なのだから...。

「高坂先輩! 後でお話しきかせてくださいね!」

「ああ、時間が取れたらな」

 俺はそう呟いて彼女を振り切り自分の成すべき事を成すのだった。
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