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アアルの空腹
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「お腹す~いた♪お腹す~いた♪」
帰り道にその言葉を連呼するアアルに、私は(毎回昼過ぎ時にクピピ~って泣いていたのは、お腹すいた~って意味だったのか...)と静かに微笑んでいた。
「ただいま~」
私とお兄ちゃんは家の扉を開く。
「お帰りなさい、カリンちゃんにローシュ、もうご飯できてるから早く座りなさい」
母さんはもうご飯の用意をしていたので、私たちの帰りを待っていたのだろう。
父さんがリビングのソファに座りながらくつろいでいるのが見えた。
父さんやお兄ちゃんがいるのが、少し不思議な気分にさせるが、家族が揃うというのは悪い気がしない。
いつもの席に座り、すでに作られていたシチューに手をつける。
やっぱりお母さんの料理は美味しい。
野菜などの素材がいいのか、母さんの技術がすごいのかは分からないが、とにかく美味しい。
私には美味しさを伝える表現が思いつかないので、この美味しさを言葉で表現できないのが残念である。
「美味しい!」
私が声を出すと、母さんがふふっと笑うのが見えて少し恥ずかしくなった。
でも美味しいのは本当なので嘘はつかない。
そうしていると、頭の上のアアルがよだれを垂らしていたので、いつもの赤い木の実を食べさせようとしたのだが...。
「アアルもそれがいい」
そう言いながら私のシチューにクチバシを入れたので、慌てて止める。
「アアル!!?それはダメ!」
人間用の食料など、他の生物に合う訳がない。
だが、それ以前の問題であり、アアルが口をつけると、あまりの熱さに飛び跳ねた。
「アトゥイ!!」
その声を聞いた私は思わず声を出して笑った。
「もう!だから言ったのに!」
「ムゥ~...、でも美味しいね母さんの作るシチュー」
熱さに少し慣れたのか、美味しそうにシチューを食べ始めるアアルを見ていると、そのままあげてしまう私がいた。
こんなに美味しそうに食べているのに邪魔をしては悪いなと心の中で本能的に思ってしまう。
「お腹いっぱい~♪」
羽でお腹をさするように動かしながら、満足気な表情を浮かべている。
「私の分なくなっちゃった...」
アアルに全部食べられてしまい、自分の分のシチューが無くなったのは少し寂しい。
私が空っぽになった皿を眺めていると、一部始終していた兄さんが自分のシチューを渡してきた。
「カリン、ちょっと食べるか?」
「えっ...いいの?」
「ああ、そいつにあげてたのを見たからな、腹減ってるだろ?」
お兄ちゃんの優しさを貰った私は少し胸が熱くなった。
「ありがとうに~に!!」
その言葉を聞いた彼は静かに笑みを浮かべていた。
帰り道にその言葉を連呼するアアルに、私は(毎回昼過ぎ時にクピピ~って泣いていたのは、お腹すいた~って意味だったのか...)と静かに微笑んでいた。
「ただいま~」
私とお兄ちゃんは家の扉を開く。
「お帰りなさい、カリンちゃんにローシュ、もうご飯できてるから早く座りなさい」
母さんはもうご飯の用意をしていたので、私たちの帰りを待っていたのだろう。
父さんがリビングのソファに座りながらくつろいでいるのが見えた。
父さんやお兄ちゃんがいるのが、少し不思議な気分にさせるが、家族が揃うというのは悪い気がしない。
いつもの席に座り、すでに作られていたシチューに手をつける。
やっぱりお母さんの料理は美味しい。
野菜などの素材がいいのか、母さんの技術がすごいのかは分からないが、とにかく美味しい。
私には美味しさを伝える表現が思いつかないので、この美味しさを言葉で表現できないのが残念である。
「美味しい!」
私が声を出すと、母さんがふふっと笑うのが見えて少し恥ずかしくなった。
でも美味しいのは本当なので嘘はつかない。
そうしていると、頭の上のアアルがよだれを垂らしていたので、いつもの赤い木の実を食べさせようとしたのだが...。
「アアルもそれがいい」
そう言いながら私のシチューにクチバシを入れたので、慌てて止める。
「アアル!!?それはダメ!」
人間用の食料など、他の生物に合う訳がない。
だが、それ以前の問題であり、アアルが口をつけると、あまりの熱さに飛び跳ねた。
「アトゥイ!!」
その声を聞いた私は思わず声を出して笑った。
「もう!だから言ったのに!」
「ムゥ~...、でも美味しいね母さんの作るシチュー」
熱さに少し慣れたのか、美味しそうにシチューを食べ始めるアアルを見ていると、そのままあげてしまう私がいた。
こんなに美味しそうに食べているのに邪魔をしては悪いなと心の中で本能的に思ってしまう。
「お腹いっぱい~♪」
羽でお腹をさするように動かしながら、満足気な表情を浮かべている。
「私の分なくなっちゃった...」
アアルに全部食べられてしまい、自分の分のシチューが無くなったのは少し寂しい。
私が空っぽになった皿を眺めていると、一部始終していた兄さんが自分のシチューを渡してきた。
「カリン、ちょっと食べるか?」
「えっ...いいの?」
「ああ、そいつにあげてたのを見たからな、腹減ってるだろ?」
お兄ちゃんの優しさを貰った私は少し胸が熱くなった。
「ありがとうに~に!!」
その言葉を聞いた彼は静かに笑みを浮かべていた。
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