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現実の妹

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「お姉ちゃーん!!」

「グェ...」

 妹が私の上にダイブしてきたので、変な呻き声を上げてしまう。
 彼女の名前は望月正華しょうか
 私の妹は中1で、かなり私にそっくりだった為、髪型をいつも私とは変えていた。
 ほとんど外見はそっくりなのだが、中身は全く違う。
 私はどちらかと言えば隠キャであり、妹は陽キャであった。
 妹は部活動や勉強にも真面目に取り組んでおり、私と違って優秀な子だったと思える。
 天真爛漫なその姿は、見るものを魅了し、皆のアイドル的存在だった。
 当然そんな妹と比較されるので、私は次第に妹が嫌いになって行った。
 妹そのものが嫌いなのではない、比較されるのが嫌だった。
 私は私、妹は妹と、別の人物としてみてくれればこんな事にならなかったのだがもう遅い。
 妹が中2になり、私と同じ中学に入ってくると、より一層のプレッシャーが私を襲った。
 妹がとんでもないレベルなので、私もそれなりの学校に進学しろという、親からの圧力の様なものからとにかく遠ざかろうと、とある本を読み始めた。
 そうラノベだ。
 とにかく妄想の世界に逃げたかった私は、勉強もろくにせず、本を読みふけっていた。
 その時の妹の表情はどこか陰りがあった様にも思える。
 小さい頃はよく遊んでいたが、中学に入ってからは全く相手にしなくなった。
 いや、相手にして欲しくなかった。
 頭のレベルに差がありすぎるので、話していたら私の馬鹿さ加減が表立って出てしまうからだ。
 この時くらいから姉らしい事は何もやっていなかったので、今になってもう少しくらい妹に何かやってあげれば良かったと後悔する。
 カリンの兄貴を見ているとそんな気持ちにさせてくれる。
 カーテンの間から日の目がさして来た時、私は目覚める。

「新しい朝...」

 そっと呟きながら体を起こした。

「にーに起きて!朝だぞ!」

 私は横で眠るお兄ちゃんを、揺すった。

「おお...、朝か...おはようカリン...」

 大あくびしながら起きる彼を見た私は、少し微笑みながらベッドから降りた。
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