なぜか異世界に幼女で転生してしまった私は、優秀な親の子供だったのですが！！

メルラ

「旅はもう良いのか？メルラ...」

「フォロス様、私は貴方様の料理の近づきたくてこの旅を始めたのですが、ようやく私なりの回答を出せたので戻ってきたのです」

「ほう...、では聴かせてもらおうか、その回答とやらを...」

　さっきまで楽しい雰囲気だったのに、父さんの出す圧力が周りの空気を飲み込んでしまった。
　この一角だけまるで戦場のような寒気に襲われているよう気がします。
　私が彼女の顔を見てみると、汗を数滴垂らしながら口を動かしていた。
　父さんの圧力が凄くて何を言っていたのか聞く余裕はなかったのだが、彼女が言い終わるとさっきまでの圧はなく、先ほどの楽しい雰囲気が戻っていた。

「うむ...、それがお前の出した答えならばそれでいい、迷わずすすめよ...」

「はい...、肝に命じておきます...」

　何やら上手く言ったようだが、私にはよく分からない。
　父さんや母さんと彼女の間に何があったのか気になるが、子供が口を出すことでも無いだろうから黙って置くことにした。

「ところで、ローシュは私の料理食べてどうだった？」

「ん？、ああ美味かったぞ、昔から上手だったけど、一段と上達したな、メルラ」

　そう言われたメルラの顔が少し赤くなったのを見た私はラブコメの波動を感じた。

「そ...そう...良かった、頑張った甲斐があったってものだよ...」

「なんでちょっと泣きそうになってんだよ...」

　少し泣きそうになっている彼女だったが、私はそっとしておくことにした。
　これはラブコメによくある鈍感な主人公だろう。
　兄がそういうことに興味がないのはなんとなく察していたが、こんないい感じの娘がいるのであればさっさと結婚しろよと思う。
　涙を拭く仕草をした後、彼女は元気にこう言ってきた。

「さあ、今日は私のおごりだ、いっぱい食べてくれよ！」

　その時の彼女の表情は明るさに満ち溢れており、未来への希望が詰まっているように見えた。