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歌
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暗い闇の底。
私には何も残っていないはずだった。
妹を失い家族を全て亡くした日から私は冒険者になった。
全てを失ったあの日から、私は露骨に金を稼ぐようになった。
来る日も来る日も金を稼ぐ毎日。
今度こそ何も失わないため、1番必要な物は金と自分の生きぬく力だと思ったからだ。
冒険者となり、強くなった私は妹の弔いの為故郷クティル王国に戻ってきたはずだったのだが、そこで実の妹らしき人物に出会った。
...、もう一度彼女に会うまで死ねない...。
私はこの暗い底から這い上がるように上を目指した。
~???~
歌が聞こえる...、聞いたこともない声で綺麗な歌声を奏でているその声は美しく、そして優しい。
(...誰だろう...)
ゆっくりと目を開く。
「あっ!お姉さん起きた!?」
少女の声が聞こえたかと思うと、栗毛の優しそうな少女が白い鳥を頭に乗せているのが見えた。
「ここは...」
「ここはクティル王国だよ、お姉さんはお母さんに連れられてここにきたの」
少女は椅子に腰掛けながらわたしに回復の魔法をかけてくれた。
「はいっ、これで大丈夫なはず、何度も回復の魔法をかけたから怪我は完全に完治してると思うよ」
...、どうやら生きて帰ってこれた事に安堵しため息を吐く。
「助かったんだな...私は...」
「本当にびっくりしたんだから!、急にお母さんが私の部屋にお姉さんを置いてどこかに言っちゃうんだもん!、しかもその時に言ってくれた言葉が「回復魔法お願いね!」だけだったから本当に焦っちゃったよ~」
彼女から疲れた様子が見て取れるのは、きっと私の看病に四苦八苦してくれたからだろう。
改めてお礼を言う。
「ありがとう、あなたのお母さんにもお礼を言わないとね」
頭を掻きながら彼女に笑顔を向ける。
「ああいいの、私だって修行中の身ですし、1人だけの力じゃないから...、ねっアアル!」
「カリンはここ最近で鳥使いが荒っぽくなったよね~...、僕にもう少し休憩の時間をくれてもいいのにな~」
私は鳥が人語を話した事に驚いた。
「えっ!、今その鳥喋らなかった!?」
「鳥が人語を喋ったらダメなのかい?」
ありえない現実に頭を抱える私だったが、もしこの鳥が普通の鳥ではないとしたら?。
私は少女に視線を移し恐る恐る聞いてみる。
「もしかしてこの鳥...召喚獣か?」
「お姉さんよくわかったね、そう!私の友達でアアルって言うの!」
「よろしく~」
少女の手のひらで白い羽を広げて挨拶をしてきたのでさらに驚きである。
こんな年端もいかない少女が召喚獣を使役しているなど元来ありえないのだから...。
さすがは魔法王国クティルと言った所だろうか。
他の大陸よりも魔法に関してはかなり進んでいると思われる。
私は彼女を見やりながら、静かに笑っていた。
私には何も残っていないはずだった。
妹を失い家族を全て亡くした日から私は冒険者になった。
全てを失ったあの日から、私は露骨に金を稼ぐようになった。
来る日も来る日も金を稼ぐ毎日。
今度こそ何も失わないため、1番必要な物は金と自分の生きぬく力だと思ったからだ。
冒険者となり、強くなった私は妹の弔いの為故郷クティル王国に戻ってきたはずだったのだが、そこで実の妹らしき人物に出会った。
...、もう一度彼女に会うまで死ねない...。
私はこの暗い底から這い上がるように上を目指した。
~???~
歌が聞こえる...、聞いたこともない声で綺麗な歌声を奏でているその声は美しく、そして優しい。
(...誰だろう...)
ゆっくりと目を開く。
「あっ!お姉さん起きた!?」
少女の声が聞こえたかと思うと、栗毛の優しそうな少女が白い鳥を頭に乗せているのが見えた。
「ここは...」
「ここはクティル王国だよ、お姉さんはお母さんに連れられてここにきたの」
少女は椅子に腰掛けながらわたしに回復の魔法をかけてくれた。
「はいっ、これで大丈夫なはず、何度も回復の魔法をかけたから怪我は完全に完治してると思うよ」
...、どうやら生きて帰ってこれた事に安堵しため息を吐く。
「助かったんだな...私は...」
「本当にびっくりしたんだから!、急にお母さんが私の部屋にお姉さんを置いてどこかに言っちゃうんだもん!、しかもその時に言ってくれた言葉が「回復魔法お願いね!」だけだったから本当に焦っちゃったよ~」
彼女から疲れた様子が見て取れるのは、きっと私の看病に四苦八苦してくれたからだろう。
改めてお礼を言う。
「ありがとう、あなたのお母さんにもお礼を言わないとね」
頭を掻きながら彼女に笑顔を向ける。
「ああいいの、私だって修行中の身ですし、1人だけの力じゃないから...、ねっアアル!」
「カリンはここ最近で鳥使いが荒っぽくなったよね~...、僕にもう少し休憩の時間をくれてもいいのにな~」
私は鳥が人語を話した事に驚いた。
「えっ!、今その鳥喋らなかった!?」
「鳥が人語を喋ったらダメなのかい?」
ありえない現実に頭を抱える私だったが、もしこの鳥が普通の鳥ではないとしたら?。
私は少女に視線を移し恐る恐る聞いてみる。
「もしかしてこの鳥...召喚獣か?」
「お姉さんよくわかったね、そう!私の友達でアアルって言うの!」
「よろしく~」
少女の手のひらで白い羽を広げて挨拶をしてきたのでさらに驚きである。
こんな年端もいかない少女が召喚獣を使役しているなど元来ありえないのだから...。
さすがは魔法王国クティルと言った所だろうか。
他の大陸よりも魔法に関してはかなり進んでいると思われる。
私は彼女を見やりながら、静かに笑っていた。
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