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どこかの草原の中で...

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「うん...?」

「お~い!!」

 何か声が聞こえる。

 優しくて幼い声...。

 だけどどこかで聞いた事のあるようなそんな感じがする...。

「起きて!!」

 いきなり頬っぺたをペチペチと叩かれた私は目が覚めました。

「起きた!!」

 最初に目に入ったのは白いワンピースを着た白髪の少女でした。

 彼女はキャッキャッとはしゃぎながら私の目覚めを待っていた様です。

「ねぇ!ねぇ!何して遊ぶ!?」

 いきなりそんな事を言われても何を答えて良いのか分かりません。

「えっ...ああうん...」

「やった!」

 多分彼女は遊んでくれると思ったのでしょう。

 楽しそうに辺りを走り回っています。

 そうして彼女の走り回る姿を見ていると、ここが恐らくクティル王国の平原である事が分かりました。

 なんだか見覚えのある山や森が見えますし、あの池なんかこの前父さんと一緒に来た池の様に思えます。

 っと言うことは...。

 私は後ろを振り向きました。

 すぐ後ろにはクティル王国が...。

 ありませんでした。

「見間違いかな?、もう一度落ち着いて...」

 気を取直しもう一度振り向いて見てもやはりあるのは木で作られた小さな家だけです。

「そんな...」

 私ははしゃぎ続ける彼女に問いただしました。

「ここはどこなの?」

「どこって...、私のお家!」

「そうじゃなくてなんていう国なの?」

「国?、そんなものないよ?」

 純粋そうな瞳を私に向けてくる彼女は嘘をついている様には見えない。

「そんな事より遊ぼうよ!、私ずっと一人で退屈してたんだ!」

「一人って...、お母さんとかお父さんは?」

 一瞬だけ考えてから少女は答える。

「そんな人いないよ?」

(えっ?じゃあこの子今までどうやって生きて...)

 そう思った瞬間、彼女が私の手を引っ張って花畑へと連れて行きました。

「えへへ~すごいでしょう!」

 彼女が自慢げに見せてくれる花の数々は、クティル王国に生息しているものと殆ど変わりません。

 ただ...、物凄く見覚えのある花がありました。

「これって...たんぽぽ?」

 どこからどう見てもたんぽぽの方にしか見えない綿毛の花を1つ手に取りました。

 私がその花を取ると、いきなり反応する少女。

「わぁ~!、貴方はそれが好きなんだね!」

「別に好きって訳じゃ...」

「それ面白いよね~♪、クーの花って言って綿を飛ばして別の領域に花を咲かせるんだって」

 彼女の説明を聞くとますますたんぽぽにしか見えなくなる私。

(いや~...、たんぽぽだわ...)

 まさか異世界にもあるとは...たんぽぽ。

 そんな事を思っていると、少女のお腹がぐ~っとなった。

「お腹すいた~!、ねぇねぇカリン!、一緒に食べよっ!」

「わかったから!慌てない!」

「は~い!」

 なんなのこいつ...とは思いながらも、今はこの少女しか人が見当たらないし、何か分かるまで一緒にいようと思う私なのでした。



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