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今更

 俺たちは佐藤と石川を町まで戻した後でようやく王国から兵士達がやってきた。

「【弱体術師】! 貴様! 犯罪者の癖をしてよく俺たちを待てていたな!!」

「...せっかく町を守ってやったってのに第一声がそれか?」

「ふん! まあ良い! お前の処遇は後で決めるとして、勇者様と賢者様は何処においでか?」

「あいつらなら敵にやられて伸びてるよ」

「なに!? だったら尚のこと早く治してあげなければいけないではないか! 貴様!! 今まで一体何をやっていた!?」

 いきなり剣を向けてくるこいつらには礼儀などあったのにではない。

 俺はため息を吐きながらこう呟いた。

「あいつらなら一応優樹が回復してやっているよ。俺は放置しとけって言ったんだけどな」

 兵士達が数人宿屋に向かっていくのを見ていると、兵士長的な奴が俺に言葉を投げかける。

「貴様...、勇者様方がやられた程の相手を倒したのか?」

「いいや、勝てないと思ったから逃げたよ」

「逃げた? 貴様!!! 仮にも勇者召喚に応じた者であろう!!! 敵前逃亡とは情けない奴め!」

「...なんとでも言え」

(お前達の信じている勇者と賢者は逃げる事も出来ずにやられたんだがな...)

「はんっ! 所詮は【弱体術師】! クソの役にも立たないな!」

 言いたいことを言うだけ言ってこいつも宿屋に向かおうとしたところに声が発せられる。

「偉そうな言葉を並べるあんたは戦いの時にいなかったじゃないか」

 その声は聞き覚えがある。

 俺が声のした方向を見ると赤毛の女盗賊クラールが立っていた。

「なんだ? この町の住民か? 勇者様と賢者様のおかげで被害がこの程度で済んでいるのだ。感謝してもらおうか」

「ふふん」と笑う彼にクラールはこう言った。

「あんた達の言う勇者様と賢者様は町の防衛をせずにボスの方に向かって行ったよ? 町の防衛はそこのボーヤと緑髪の嬢ちゃん達がやってくれたんだ」

「ほう、流石【回復術師】様。自力で【弱体術師】の洗脳を解いて今回の戦いにも参加してくださったとは感謝の言葉もございませんな」

「話をすげ替えるなよ? あんたらの言う勇者様方は私達を守ってなんてくれなかった。守ってくれたのはそこのボーヤ達だってこと。そしてその姿を見て私達も奮起できたって訳さ。つまり勇者様方は防衛に関してはなにも貢献してないって事を言いたいんだ」

「馬鹿な!? そんな訳がないだろう! 盗賊崩れの言う事なぞ信頼できん! 町の住民から証言を聞いてくるから虚言だった場合貴様を懲罰房送りにしてやるからな!」

 ずかずかと町の方に向かっていく兵士長を見て「腐った男だね~」と笑っていた。

「...また助けられたな」

「い~ってことよ! 私も国家権力って奴が大嫌いでこの仕事をしてるだけだからね」

 彼女の笑い声を聞いて不快そうにしている兵士長を見るのは面白い。

 彼女にはこれだけでも充分に楽しませて貰ったな。
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