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ちょっとした嫉妬心

(良いよな本の中の【弱体術師】は...。皆に信頼されていて...)

 勇者や他の皆とも仲が良く、王とも信頼しあっているのが本を読んでいてよく分かる。

 そうでなければ毎回王国から勇者たちの為に兵士たちが馳せ参じる訳がない。

 そんな本の中の勇者たちに比べて俺は王国中から嫌われている。

 しかも佐藤や石川とは嘘でも助け合っているとは言えず個人で動いている始末だ。

 風の噂ではあいつらは普段個人で動いてレベル上げをしているらしいが、この前の戦争であれだけ自分勝手な戦闘方法を選んでいただけにそれは事実なのだろう。

 そう思うと相変わらず反吐が出る。

 あいつらは分かっているのか? 一応俺たちはこの国を守る勇者なんだぞ?

 どれだけ国民に嫌われようとも俺の中にある【勇者の心】のような物が魔王軍との戦争から逃げ出す事を許さないのだ。

 これはこの世界に来た時から感じる心臓の鼓動のような何かだ。

 きっとこの何かがある限り俺たちは戦争に駆り出され続けるのだろう。

 そう思う度に俺の中にドス黒い嫉妬の炎が燃え上がる。

(良いよな先代の勇者どもは...。お互いを信じ合えて国の支援も受けれてよ...。それに比べて俺は...!)

 何度も何度も【弱体術師の旅路】を読み直す。

 読み直す度に何かが切れる音がして感情が高鳴ってくる。

 気分が黒く染まり新たな力が開眼した。

『感情の昂りによりEXスキル【嫉妬の杖】を入手しました。【憤怒と憎悪の杖】と共鳴し【憤怒と憎悪と嫉妬の杖】に進化しました』

【嫉妬の杖】

 力+600

 妨害魔力+1000

『相手がこちらを見るだけで【堕落】状態にし、更に時間経過で徐々にHPとMPが減る【絶望】状態にする』

【憤怒と憎悪と嫉妬の杖】

 力+1200

 妨害魔力+2200

『【弱体術師】が見せる怒りと憎悪を混ぜ合わせた感情の杖。攻撃すれば攻撃するほど自分をのHPを減らす代わりに絶大な攻撃力を得る【狂化状態・小~極大】のいずれかとなり感情によって効果が左右される。攻撃時に相手を強制的に【狂化】状態にし確率で【感電】と【束縛】を付与する。更に相手がこちらを見るだけで【堕落】状態にし、更に時間経過で徐々にHPとMPが減る【絶望】状態にする』

 ...。

 何だろうか? 俺の中で少しだけ人間性の様な物が減った気がする...。

『EXスキル【嫉妬の悪魔】を取得しました』

『【嫉妬の悪魔】発動時に強制的に身につけている物が以下の物に変貌します』

【友を妬みし者の鎧】

 守り+1000

 妨害魔力+1000

『他人を妬む気持ちの現れが具現化した鎧。これを着用した者の心は他人を妬む心が増幅される。この鎧を着た者に危害を与えた者にペナルティ【全ステータス10%ダウン】が適用される(一回だけ)【全状態異常耐性・特大】【全属性耐性・特大】』

(友を妬む?)

 俺はその言葉に思わず笑ってしまう。

(本の中の勇者が友達だとでも? 馬鹿言うなよ)

 俺は【弱体術師の旅路】に出てくる名も知らぬ者達を想像するだけで思わず乾いた笑いが出てしまうのだった。
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