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クズ王の策略

「クリスティーナ王国で俺とご主人様が戦った日のことを覚えていますか?」

「...忘れるわけないだろ!」

 俺の怒声に彼女はビクッと怯える。

「ひっ...! ごめんなさい!」

「ふん! まあ良い、続けろ」

 俺はシュガーにつづけるよう示唆すると、彼女は一息ついた後に声を発した。

「あの時から王様はこんな事を言っていたんです。【弱体術師】にだけは【勇者】として戦績で負けるな! と」

「それはなぜだ?」

「理由までは分かりませんが、俺たちを召喚する前から既に【弱体術師】への恨みは根強い物だったことは伺えますね」

「そんな事は分かってる! お前は今まで何を見てきたんだ!!」

 俺の怒声に彼女は再びビクつく。

「ヒィ! すみません! すみません!」

 立場が変わると一気に弱々しくなるなこいつ。

 佐藤という男はいつもこうだった。

 強い者に屈服し、世を渡り歩く。

 どう考えても【勇者】と言う職業に就く人材ではない。

 実際に優樹がカラテを習い出して佐藤が敵わなくなってくると全くと言って良いほど俺を標的にしなくなったのは言うまでもないだろう。

「クズ王もクズだがシュガー、お前もクズだな! その事が分かっているのか!? 使えねぇな!!」

「ヒィ!!! すみません! すみません! どうかぶたないで!!!」

 頭に手を置いて疼くまるこいつを俺は睨みつける。

「他にはないのか!? 何か有益な情報は! クズ王の過去でも良い!」

 その言葉にシュガーはビクつきながら声を上げた。

「そ...そうです! クズ王には嫁と子供がいたのです!」

「嫁?」

 そういえば女王の存在は確認できていないな。

「続けろ」

「はいっ! クズ王の嫁は軍略に優れた人物だったそうですが、幾たびも起こる戦争の果てに力尽きてしまったようで、その時に妻子もろとも殺されてしまったようですね」

「ふ~ん...、まあかわいそうだとは思わないがな」

 結局奴の言うことからはこれ以上有益な情報は引き出せなかった。

(こいつ本当に勇者だったのか? 分かった事といえばクズ王が妻子持ちだった事くらいだぞ?)

 俺が大きくため息を吐くと妙に怯えるシュガー。

 奴が怯える表情は堪らなく心地良いが、怯えたままでこのまま戦力にならないようなら調教するしかないだろう。

 そう思った俺は新しいスキルを試すために鞭を買いに向かうのでした。
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