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幻聴

 自室に篭っていてもやはり奴の声が耳について離れない。

 〈私はカズ君の事を全肯定するよ♡〉

 何という甘美な言葉だろうか。

 今の俺の立場からすれば全肯定してくれる人物などいないのだから...。

 それにしても聞き覚えのある声だった。

「お前は...誰なんだ?」

 恐らくだが夢に出てきたあの顔も名前も思い出せない娘なのだろうが、本当に思い出せない。

 ただ友達だったという事と仲が良かったのだろうということだけは思い出せる。

 しかし、それ以上の情報が一切思い出せないのだ。

(何かないのか? 奴の正体を知る手がかりは?)

 そう思っていても優樹が知らない以上それ以上に詳しい奴なんて...。

 そこまで言いかけた俺はシュガーと石川の事を思いだす。

「...ダメ元で聞いてみるか」

 奴隷となったシュガーはともかく、石川の奴に聞くのは少々骨が折れそうだ。

 俺はまずシュガーの部屋と向かう。

 ~シュガーの部屋~

「シュガーいるか?」

「ご主人様! 何かようですか?」

「ああ、ちょっとな」

 俺はシュガーの部屋の椅子に腰をかけてこう呟いた。

「なあ、シュガー。俺が異世界に来る前の世界で俺をいじめていたお前なら分かると思うんだが、優樹も他に俺の周りに誰かいなかったか?」

「小鳥遊以外にですか? いえ、そんな人物に心辺りはありませんが...」

(...禁則事項である俺に悪意のある嘘をつくなと言う項目に反応してないな)

「そうか、わかった。もし何か思い出したら伝えてくれ」

「はい」

(シュガーはダメだったと...。後は...)

俺は石川の部屋へと向かう。

コンコンっとノックすると石川が出てきた。

「高坂か。何か用か?」

「あ~...少し聞きたい事があるんだが...」
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