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ドラグスゼイ監獄

 俺たちが港町を出発し大聖堂を目指して2日ほど経ったある日。

「【弱体術師】様」

 突然リュートが俺達の載っている馬車に声をかけてきた。

「なんだ?」

「いえ、それほどまで重要なことではないのですが、あちらに見えますが...」

「大聖堂に着いたのか?」

「かの有名なドラグスゼイ監獄になります」

「知らん!」

 俺は思わずそう叫んでいた。

「それはそれは、では【弱体術師】がドラグスゼイ監獄から犯罪者を逃したと聞いたのは...」

「冤罪だ。お前らお得意のな」

 皮肉たっぷりの声で騎士団長にそう呟いてやった。

「そうですか...。それを信じるとして【弱体術師】様は逃げた凶悪犯を知っていますか?」

「だから知らん! 俺はこの大地に足を踏み出したのすら今回が初めてなんだぞ! 大体魔王軍との戦争が4度もあったってのにどうやってこんな遠くまで来るんだよ! 少し考えれば分かるだろうが!」

「それもそうですね」

「ふむ」と声を漏らす彼に俺はため息を吐いた。

(それくらいのことわかっておけよ。腐っても騎士団長だろ? お前は)

 そう思いながらも俺はドラグスゼイ監獄を窓越しに見てみた。

(だが有名というだけあってかなり堅牢そうな監獄だな)

 遠くから見ているだけでもその堅牢さが伝わってくる大きな砦だ。

 今でも脱走者や侵入者がいないか衛兵がしっかりと在中しているのが見える。

(あれだけ堅牢そうな砦を当時の俺が攻略できると俺の冤罪の話を流した張本人であろうクズ王は本気で思っていたのか?)

「はっ!」

 俺は思わず笑ってしまった。

(やはり奴は馬鹿なようだな。それともそれくらいの実力を俺が持っていると思っていたのか? どちらにせよ滑稽だな)

 情弱のクズ王を思い浮かべると少し気分が良い。

 しかし、それだけ奴が【弱体術師】が怖いと言う証拠だろう。

 なぜそこまで奴が【弱体術師】の事が嫌いなのかは未だよく分からないが、昔の【弱体術師】の粗暴が悪かったからってそれはないだろう。

(この調子じゃあ次に【勇者】が召喚されても疎まれても仕方がないな)

 俺は呑気そうにしているシュガーを眺めながらそう思うのでした。
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