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【弱体の魔王】

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「【魔王領域+50】展開...」

 そう愛川が呟いた瞬間から優樹の【聖女領域】が闇に飲み込まれてしまった。

「何これ!? 和希!!!」

「優樹!!!」

 俺が彼女に手を伸ばしたが届かない。

 そのまま彼女と俺は奴の領域の中に閉じ込められてしまった。

 一切の光が届かない暗闇の牢獄ないで優樹のみが光り輝いていた。

「優樹!!!」

 俺が彼女に近づくと、彼女も俺の方に近づいてきた。

「カズ君!」

「...?」

 俺は奴の声を聞いて後ずさる。

「どうしたのカズ君。そんなに警戒して...。私は優樹だよ?」

「...優樹は俺の事をカズ君とは呼ばない。お前は愛川だな!」

「...」

 簡単に正体を暴かれた彼女は素顔を晒す。

 ボウぅぅっと亡霊のように消えたかと思うと、その場所に愛川結美が立っていた。

「優樹の言葉遣いを真似しなかったのは私のミスだね。まあ、いっか。カズ君、私と一緒に行こう」

 手を差し伸べてくる彼女に俺は首を横に振った。

「断る!」

「なんで? カズ君は私達と一緒に来た方が幸せだよ?」

「...悪いが愛川。俺はお前の事を信用できない」

「...なんで?」

「...夏休み。お前と優樹と一緒に海に行った事を覚えているか?」

「勿論だよ! 私がカズ君との思い出を忘れる訳ないじゃない!」

「...その時お前は優樹に死んじゃえって言ったよな?」

 俺の言葉を聞いた彼女の目が泳ぐ。

「...言ってないよ?」

「嘘を吐くな。俺はこの世界で沢山の人を見てきた。そして騙され続けた結果、人の嘘をある程度見抜けるようになったんだ。その俺の本能がこう言っている。今のお前は信用できないとな!」

 俺は杖を構えて愛川にデバフをかける!

「【デバフ+20】!!!」

 俺のデバフを受けた彼女は冷ややかに笑う。

「【デバフ+50】」

 彼女の方が俺よりも遥かに上の【弱体術師】である事は今ので分かった。

 俺のデバフが全く通用せず、俺の方が全く動けなくなっているのだから...。

「今のカズ君じゃあ私に傷ひとつつけらえないよ」

 彼女がニヤリと笑った時だった。

「和希を離せ!!!」

 優樹が拳モードに切り替えて愛川に殴り掛かったのは。
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