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【弱体の魔王】③

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「良いわぁ♡ 優樹♡ 貴方のその自信に満ちた勇気の表情♡ 早くその顔が絶望色に歪み許しを乞う所が見たい♡」

 愛川の美人顔が今はすごく歪んで見える。

 まるでしわくちゃの意地の悪い老婆のような笑みに俺はゴクリと息を飲んだ。

(これだ! この顔だ! 俺が愛川を信じられないのは!)

 彼女が時折見せる美人とは程遠い邪悪で醜悪な笑み。

 一体あの美人顔をどうやったらこんな顔にできるのか正直俺にも理解できない。

 勇気奮い立たせて勇者の一人である優樹が果敢に攻め立てるが、流石に相手が悪かった。

「ふふっ♡ 本来なら貴方の方が身体能力は遥かに上なのよ。でも残念だけど私と貴方とではレベル差がありすぎるの。貴方の無駄な頑張りを見ているのも飽きてきたし、そろそろ絶望の色を見せてほしいなぁ♡」

 そんな事を言ってくる愛川を相手に一歩も引かない優樹は一喝を入れた。

「私は絶望なんかしたりしない!!!」

 優樹のキリッとした良い表情は何度も俺たちを鼓舞し続けてくれた。

 それは今も昔も変わらない。

「優樹行けぇ!!!」

「和希...! うん!」

 優樹は大きく踏み込んで空手の技を繰り出した。

「正拳突き!!」

 もっともオーソドックスな攻撃を愛川のみぞおちに当てるのだが...!

「ふふっ、ペナルティを与えてあげるわ」

 そう奴が呟いた時に俺は気がついてしまった。

「優樹! 逃げろ!!」

「えっ?」

「もう遅い。攻撃ペナルティ全ステータス70%低下」

「ぐぅ!?」

 一気に全身から力が抜けた様子の優樹を見てニヤリと笑う愛川。

「優樹、貴方は確かに強い。けれどここは異世界だよ? 魔法の力はそんな小手先の技を凌駕するの」

 そう言いながら優樹の鈍くなった拳や蹴りを簡単に躱し続ける愛川。

 そして...。

「【デバフ+50】」

「あぁぁぁぁ!!!!」

「優樹ィィィィ!!!!」

 愛川のデバフが優樹を襲い、全てのステータスを一にされてしまう優樹。

「あうぅ...」

 ひざまづいて愛川を睨む優樹だったが、こうなってはどうしようもない。

 ほぼほぼ動けない生物となった優樹を見て再び醜悪な笑みを浮かべる【弱体の魔王】なのだった。
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