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甘えたがり

「カズ君」

 城の中で俺と結美は出会った。

「ああ、結美」

 いつもと同じように出会うのに彼女は微笑みを忘れない。

 俺に微笑みをかけながら手をとってくる。

「今からどこに行くつもりだったの?」

「ちょっと海岸まで...な」

 俺の言葉に彼女はふふっと笑う。

「だったら私も付き合おうかな」

 そう言いながら俺と彼女はフワンに乗って海岸沿いまで向かうのだった。

 ~海岸~

 砂浜が見える位置に降り立ち海を眺める。

「海...綺麗だよね」

 そう呟く彼女に俺はこう答えた。

「ああ、だけど積乱雲がなかったらもっと綺麗だよな...」

「...」

 少し悲しそうな表情を浮かべながら彼女はこう答えた。

「ごめんなさい。あの雲だけは消せないの。あの雲を消したらカズ君の害敵となり得る連中が押し寄せてくるから...」

「俺の害敵?」

「うん...。奴らはいつか貴方の力を奪いにやってくる。だから貴方は強くならなければならないの。でも...。あなたが本心から私に奴らを消せと命令してくれれば消しに行けるんだ」

「奴ら?」

「そう、あなたの力を奪おうとしている連中」

「誰なんだ?」

「...」

「なぜ黙る?」

「それは...」

 この反応...、やはり彼女は俺に何か隠している。

「俺の知っている人物か?」

「...それは違うわ」

 そこはハッキリと言ってくるのか!?

「ええ、ごめんなさい。外の敵は私達と同じ人間なの。つまりカズ君の敵も人間ということ。だから黙っておきたかったってだけ」

「なるほど...」

 そう言われると確かに黙っていた理由にはなるな...。

「分かった。そう言う事なら俺に敢えて伏せていたと言うのも理解できる。ありがとう」

「そんな、私はカズ君にこんな大事な事を黙っていたんですから...」

「こっちも悪かった。お前の気持ちを考えなかった俺の心境を許してくれ」

「いえいえとんでもない。カズ君が頭を下げる必要なんてないんですから...」

 彼女は深々と頭を下げながら、俺に対して謝罪の意思を示すのだった。
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