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クラスの王子
俺のクラスには王子がいる。
モデルみたいに身長が高くて足が長くて、流行りのアイドルも負けるくらい顔の綺麗な王子様。
本当の王族ってわけじゃなく、苗字が王子。
名前は楓。
入学式から芸能人じゃないかと周りをざわつかせ、毎日ラブレターと告白が絶えず、他校にも名前が轟いていると噂だ。
それを横目に俺は教室の隅っこで学生生活を楽しんでいる。
いじめられもしなければモテもせず、友達は多くないが一緒に弁当を食べて放課後遊びに行くような親しい奴らが何人かいる。
高校デビューはできなかったが、モブはモブなりに毎日を送っていた。
王子はただのクラスメイトで、用事がなければ話すこともない。
キラキラした男友達と一緒にいるし一軍女子が周りを取り囲んでいるので隙がないとも言える。
王子のことよく知らないし話題に困るから別に話したいとも思っていない。
それなのに、なぜか王子は時々俺のところにやってくる。
「佐藤くん」
王子に比べて普通すぎる苗字はありふれているので、もしや他の佐藤かと思ったが俺のことだった。
休み時間にわざわざ俺の席まで来て何の用事なんだろう。
「数学のプリント、まだ佐藤くん出してなかったから」
しどろもどろに言われてそういえばと思い出す。
そういえば教科係に宿題を出しておけと言われたんだった。
「ごめん、忘れてた」
机からファイルを出して渡すと、王子はにこっと笑って受け取る。
イケメンの笑顔が眩しくて目がしょぼしょぼする。
「ありがとう。渡しておくね」
王子は慌てたようにプリントを受け取ると逃げ帰ってしまった。
そういえば数学の教科係って他の誰かじゃなかったっけ。
王子が小走りに戻ったところを見ると、女子達がこっちを見ながらニヤニヤして王子を出迎えていた。
なるほど、教科係は俺と話したくなかったから王子に頼んで行ってもらったのか。
嫌われるような覚えはないが一軍女子に好かれる覚えはもっとない。
王子は優しいからお願いされたら断れず、俺に声をかけたんだろう。
多分王子が一番俺のことを嫌いなのに。
さっきのプリントみたいに何か用事があると王子が来ることが多いが、誰に対しても優しいくせに俺の前では挙動不審だ。
目が合わなかったり落ち着かなかったり、とにかくすぐ離れたいんだろう。
俺と話す役割を押し付けられている王子も可哀想だ。
他のクラスメイトに話しかけてもおかしな態度を取られたことはないが、何かと王子が来るからみんな俺と話したくないのかもしれない。
俺はそんなに声をかけづらいのかと悲しくなる。
今も女子達がこっちを見ながらヒソヒソ話している。陰口か、へこむ。
「どうしたよ、腹痛い?」
「心が痛い」
机にめり込んでへこんでたのを親友に慰められてちょっと回復する。
女子に囲まれて楽しそうな王子を見て落差が余計に心に来る。
確かに俺は女子とはそんなに喋れないけどさ。
「やっぱお前らがいればいいわ」
「なんだそれ」
王子みたいになれないけど俺は俺で楽しくやってるし。
泣いてないし。
「王子おかえりー、どう?佐藤と喋れた?」
「しゃ、しゃべれた、わかんない、喋れてたと思う」
「なんで走って帰ってきてんの?ほら佐藤変な顔して見てるよ」
「嘘、佐藤くんこっち見てるの?怖くて振り返れない」
「ほらプリント貸して」
「あ、はい。ありがと、おかげで佐藤くんと話せた」
「普通に話しかけに行けばいいのに」
「なんて話したらいいか分かんないよ。佐藤くんいつも友達と一緒にいるし……」
「本当だ田中来た」
「王子も混ざれば?」
「む、むりむり!」
「ご飯食べよって誘えばいいのに」
「できないよ!話すだけで緊張するのに……」
「あーあ、早く告ればいいのに」
「佐藤いつになったら気づくと思う?」
「あれは気づいてないね。ぜんっぜん脈なしだわ」
「王子がんばれー、クラスみんな応援してっから」
「あ、ありがとう……!がんばる!」
モデルみたいに身長が高くて足が長くて、流行りのアイドルも負けるくらい顔の綺麗な王子様。
本当の王族ってわけじゃなく、苗字が王子。
名前は楓。
入学式から芸能人じゃないかと周りをざわつかせ、毎日ラブレターと告白が絶えず、他校にも名前が轟いていると噂だ。
それを横目に俺は教室の隅っこで学生生活を楽しんでいる。
いじめられもしなければモテもせず、友達は多くないが一緒に弁当を食べて放課後遊びに行くような親しい奴らが何人かいる。
高校デビューはできなかったが、モブはモブなりに毎日を送っていた。
王子はただのクラスメイトで、用事がなければ話すこともない。
キラキラした男友達と一緒にいるし一軍女子が周りを取り囲んでいるので隙がないとも言える。
王子のことよく知らないし話題に困るから別に話したいとも思っていない。
それなのに、なぜか王子は時々俺のところにやってくる。
「佐藤くん」
王子に比べて普通すぎる苗字はありふれているので、もしや他の佐藤かと思ったが俺のことだった。
休み時間にわざわざ俺の席まで来て何の用事なんだろう。
「数学のプリント、まだ佐藤くん出してなかったから」
しどろもどろに言われてそういえばと思い出す。
そういえば教科係に宿題を出しておけと言われたんだった。
「ごめん、忘れてた」
机からファイルを出して渡すと、王子はにこっと笑って受け取る。
イケメンの笑顔が眩しくて目がしょぼしょぼする。
「ありがとう。渡しておくね」
王子は慌てたようにプリントを受け取ると逃げ帰ってしまった。
そういえば数学の教科係って他の誰かじゃなかったっけ。
王子が小走りに戻ったところを見ると、女子達がこっちを見ながらニヤニヤして王子を出迎えていた。
なるほど、教科係は俺と話したくなかったから王子に頼んで行ってもらったのか。
嫌われるような覚えはないが一軍女子に好かれる覚えはもっとない。
王子は優しいからお願いされたら断れず、俺に声をかけたんだろう。
多分王子が一番俺のことを嫌いなのに。
さっきのプリントみたいに何か用事があると王子が来ることが多いが、誰に対しても優しいくせに俺の前では挙動不審だ。
目が合わなかったり落ち着かなかったり、とにかくすぐ離れたいんだろう。
俺と話す役割を押し付けられている王子も可哀想だ。
他のクラスメイトに話しかけてもおかしな態度を取られたことはないが、何かと王子が来るからみんな俺と話したくないのかもしれない。
俺はそんなに声をかけづらいのかと悲しくなる。
今も女子達がこっちを見ながらヒソヒソ話している。陰口か、へこむ。
「どうしたよ、腹痛い?」
「心が痛い」
机にめり込んでへこんでたのを親友に慰められてちょっと回復する。
女子に囲まれて楽しそうな王子を見て落差が余計に心に来る。
確かに俺は女子とはそんなに喋れないけどさ。
「やっぱお前らがいればいいわ」
「なんだそれ」
王子みたいになれないけど俺は俺で楽しくやってるし。
泣いてないし。
「王子おかえりー、どう?佐藤と喋れた?」
「しゃ、しゃべれた、わかんない、喋れてたと思う」
「なんで走って帰ってきてんの?ほら佐藤変な顔して見てるよ」
「嘘、佐藤くんこっち見てるの?怖くて振り返れない」
「ほらプリント貸して」
「あ、はい。ありがと、おかげで佐藤くんと話せた」
「普通に話しかけに行けばいいのに」
「なんて話したらいいか分かんないよ。佐藤くんいつも友達と一緒にいるし……」
「本当だ田中来た」
「王子も混ざれば?」
「む、むりむり!」
「ご飯食べよって誘えばいいのに」
「できないよ!話すだけで緊張するのに……」
「あーあ、早く告ればいいのに」
「佐藤いつになったら気づくと思う?」
「あれは気づいてないね。ぜんっぜん脈なしだわ」
「王子がんばれー、クラスみんな応援してっから」
「あ、ありがとう……!がんばる!」
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