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其の弐 桃日絆希と篠懸才児のケース
人生最大の危機
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「モモヒキ!! おい!! しっかりしろ!!」
モモヒキの肩を軽く揺らし呼びかけるが、彼女はぐったりとしたたま動かない。ここで一体何があったのか、想像するのは難しくなかった。きっとモモヒキは"蠱毒な少年"に遭遇したのだ!!。
俺の脳裏に、文目先生の研究室で見た凄惨な映像がフラッシュバックする。それなら、この少女は果たして生きているのか。それを確認する責任が、俺にはあった。
パーカーの袖を捲りあげ、モモヒキの手首を掴む。脈拍を測ろうと思ったのだが、手に何も感じない。というか、感覚が殆どない。少女の手首を離し、自分の手をおおげさに開いては、閉じる。そのゴワゴワとした手は、絶えず小刻みに震えていた。
(何やってんだ俺は。震えてる暇なんかねぇぞ。これはてめぇの失態が招いたことだろうが!)
だが、落ち着こうとすればするほど自分が冷静では無くなっていくのを感じる。心臓が荒く脈打ち、呼吸は否応なしに乱れていく。手の震えは、とうとう全身に伝播していた。俺は、奥歯を噛み締め右手を強く握った。
ゴン!!!
自らの拳を床に叩きつける。鈍い痛みと共に、体の感覚がいくらか戻ってくる。だが、曖昧な触覚にはまだ頼れない。俺は彼女の心音を直接聞いて確かめることにした。
モモヒキの上着を鎖骨のあたりまでめくり上げる。キャミソールも一緒にめくられ、少女の柔肌と純白の下着が顕になる。すまない、桃日。心の中で深く謝罪しつつ、一度深く息を吸い、意を決して彼女の胸元に耳を当てる。
頼む。この子は死なせないでやってくれ。まだ死ぬには若すぎる。この子はこれから、色々な事を経験しなきゃいけないんだ。頼む。頼む___。
俺の切なる祈りに、少女は小さな鼓動で答えた。
とくん、とくん。
聞こえる。感じる。小さいながらも、確かな心音が。そして、同時に少女の胸元が一定の感覚で上下しているのも感じられた。
「は、はは...。はあああああぁぁぁぁ...」
俺の口からは安堵のため息が漏れた。緊張の糸が切れると同時に、全身の力も一気に抜けた。モモヒキに覆いかぶさるように床に倒れこむ。心配させやがって、このばかやろう。
「ん...篠懸...さん?」
聞き慣れた少女の声が鼓膜を揺らした。上体を起こして声の方を見ると、モモヒキが頭を少し上げてこちらを見ていた。目覚めたばかりの少女は、パチパチとまばたきを繰り返している。まだ状況がよく飲み込めていないようだ。
「ああ、俺だ。大丈夫か、モモヒキ」
「はい...わたしは...。でも、おじいちゃんが...」
モモヒキの目から一筋の涙がこぼれ落ちる。おじいちゃん、とは葦田さんの事だろう。そういえば、あのご年配の姿は見えない。だが、彼女の様子から並々ならない事があったのは予想がつく。その辺の話は、彼女が落ち着いたら聞くことにしよう。
「分かった。今はいい、取り敢えず安静にしてろ」
「はい...あ、あれ?」
「どうした?」
「...何ですか、この状況は?」
モモヒキの声のトーンが1オクターブ下がる。………しまった。彼女の服を捲り上げたままだった。これはまずい。非常にまずい。
モモヒキはじとっとした目線をこちらに向けた後、そそくさと服を戻して再びこちらに向き直った。
「篠、懸、さん?」
「い、いやっ、これはその...」
何とか言い訳したいが、起きたら服を脱がされてたなんて状況、一体何て言えばいいんだ!? 正直に話しても、わざわざ服を脱がさず脈を測れば良かったと言われればそれまでだ。………まさかここで俺の人生は終わってしまうのか!? こんな事で!?
先程までの緊迫した状況からこの急展開。短期間で全くベクトルの異なる危機に直面し、頭がパニックになりかけていた俺を見て、モモヒキは「ふふっ」と小さな笑みをこぼした。そして、
「わたしを心配してくれて、ありがとうございます」
モモヒキは深々と頭を下げた。………ふぅーーーーー。やれやれ、こいつが察しの良い子で良かった。本当に。
「あ、ああ、気にしなくていい。立てそうか? 手を貸そう」
「ありがとうございます。よいしょっと...」
いつまでも床で座っているのはどうかと思ったので、モモヒキを一度立ち上がらせて来客用のソファに寝かせた。
「モモヒキ、そのままでいい。今日ここであった事、話せるか?」
「はい、あれは...」
◇
遡ること数時間前。
「モモヒキ、大学へ行くぞ」
「大学…ですか。どうしてまた?」
「俺の知り合いに、伝承とかに詳しい先生がいるんだ。その人に"蠱毒な少年"という言葉について聞こうと思ってな」
「そうですねぇ...。わたしも高校生ですし、とても興味はあるのですが」
「ですが?」
「わたしは、昨日いらっしゃったおじいちゃんとお話をしてみたいです! もしかしたら、もっと詳しい事が聞けるかもしれないですし...。どうですか?」
「……そうだな、分かった。葦田さんには俺から連絡を取ろう」
そう言うと、篠懸さんは携帯を取り出し、あのおじいちゃんと通話を始めた。私は、どうしてもあのおじいちゃんともう一度会いたかった。いや、会わなければならない理由があったのだ。
「はい、そうですか。それでは、事務所の方でお待ちしております。はい、では、失礼致します...。モモヒキ、葦田さんとは話をつけたぞ。もう少ししたらこちらへいらっしゃるとの事だ」
「ありがとうございます!」
「事務所は開けておくから、自由に使ってくれ。鍵の場所も教えておくから、出るときは施錠を頼む」
「了解です」
篠懸さんは私に鍵の場所を教えると、「それじゃあ、また後で」と言って出かけていった。わざわざ鍵の場所まで教えてくれるとは。私もなんだかんだ結構信用されているのかもしれない。
それから待つこと三十分。事務所のドアがノックされる音が聞こえた。「どうぞ」と返事をすると、おじいちゃんが杖をつきながら入ってきた。
「おや、今日はお嬢ちゃんだけかい?」
「はい、篠懸は所用で出ています。今日は私がお話を聞かせていただきたいと思いまして。こちらへどうぞ」
おじいちゃんには来客用のソファに座ってもらい、私は普段篠懸さんが座っている椅子に腰掛けた。おお、なんだか私も探偵になった気分。
「ご丁寧に、どうも...。こちらへ来させていただいて申し訳ないのですが、少し用事を思い出しまして...。手短に済ましていただけると助かります」
「そ、そうですか。お急ぎの用ですか?」
「いえ、まあ、そうですね...。ええ...」
なんとも歯切れの悪い返事が返ってきた。それは困る。私としては、できる限り長くこのおじいちゃんにいて欲しいのだ。上手く話をつなげていかねば。
「あ、あの! どうして今回篠懸探偵事務所に依頼を?」
「それは…私の近所にすむ方に薦めていただいたんです。困り事を相談するなら、この事務所がよいと」
「そうなんですね...。篠懸の印象はどうですか?」
「ええ、とても親身に聞いて下さいましたし、私の突拍子もない依頼を受けていただいたのはありがたく思います。ただ...」
「ただ?」
「いえ、何でもありません。調査の方は順調ですか?」
「はい、篠懸は丁度その調査で出たところです。彼なら、何かしらの結果を持って帰って来ると思いますので、近いうちに報告できると思います」
「そうですか...。それは、ご足労をおかけしました。あの、すみませんがこれを篠懸さんに渡していただけないでしょうか?」
おじいちゃんが手渡してきたのは茶色い封筒だった。受け取ってみると、そこそこの厚みと重さがある。恐る恐る中を覗くと………大量の諭吉と目があった。
「おじいちゃん、これ!」
「今回の依頼料です。先にお支払いしておきます」
「で、でも、調査はまだ...!」
「いいんです、もう。お手数をおかけしました」
「おじいちゃん!」
そう言うと、おじいちゃんは杖をつき重い腰を上げた。
もういい、とはどういうことだ。何故、ろくな説明もせずこの場を去ろうとしているのだろうか。さっきから、このおじいちゃんは妙に急いでいるような気がした。
まさか、まさかそういうことなの!?
「おじいちゃん...。もしかして、もう"いる"んですか?」
「!!?」
おじいちゃんは驚きを隠せない、という表情を見せた。やっぱりそうだ。間違いない。私の予想は確信に変わった。おじいちゃんの目線の先へ顔を向ける。
そこには、私の探し求めた、真っ白い髪の少年が立っていた。
モモヒキの肩を軽く揺らし呼びかけるが、彼女はぐったりとしたたま動かない。ここで一体何があったのか、想像するのは難しくなかった。きっとモモヒキは"蠱毒な少年"に遭遇したのだ!!。
俺の脳裏に、文目先生の研究室で見た凄惨な映像がフラッシュバックする。それなら、この少女は果たして生きているのか。それを確認する責任が、俺にはあった。
パーカーの袖を捲りあげ、モモヒキの手首を掴む。脈拍を測ろうと思ったのだが、手に何も感じない。というか、感覚が殆どない。少女の手首を離し、自分の手をおおげさに開いては、閉じる。そのゴワゴワとした手は、絶えず小刻みに震えていた。
(何やってんだ俺は。震えてる暇なんかねぇぞ。これはてめぇの失態が招いたことだろうが!)
だが、落ち着こうとすればするほど自分が冷静では無くなっていくのを感じる。心臓が荒く脈打ち、呼吸は否応なしに乱れていく。手の震えは、とうとう全身に伝播していた。俺は、奥歯を噛み締め右手を強く握った。
ゴン!!!
自らの拳を床に叩きつける。鈍い痛みと共に、体の感覚がいくらか戻ってくる。だが、曖昧な触覚にはまだ頼れない。俺は彼女の心音を直接聞いて確かめることにした。
モモヒキの上着を鎖骨のあたりまでめくり上げる。キャミソールも一緒にめくられ、少女の柔肌と純白の下着が顕になる。すまない、桃日。心の中で深く謝罪しつつ、一度深く息を吸い、意を決して彼女の胸元に耳を当てる。
頼む。この子は死なせないでやってくれ。まだ死ぬには若すぎる。この子はこれから、色々な事を経験しなきゃいけないんだ。頼む。頼む___。
俺の切なる祈りに、少女は小さな鼓動で答えた。
とくん、とくん。
聞こえる。感じる。小さいながらも、確かな心音が。そして、同時に少女の胸元が一定の感覚で上下しているのも感じられた。
「は、はは...。はあああああぁぁぁぁ...」
俺の口からは安堵のため息が漏れた。緊張の糸が切れると同時に、全身の力も一気に抜けた。モモヒキに覆いかぶさるように床に倒れこむ。心配させやがって、このばかやろう。
「ん...篠懸...さん?」
聞き慣れた少女の声が鼓膜を揺らした。上体を起こして声の方を見ると、モモヒキが頭を少し上げてこちらを見ていた。目覚めたばかりの少女は、パチパチとまばたきを繰り返している。まだ状況がよく飲み込めていないようだ。
「ああ、俺だ。大丈夫か、モモヒキ」
「はい...わたしは...。でも、おじいちゃんが...」
モモヒキの目から一筋の涙がこぼれ落ちる。おじいちゃん、とは葦田さんの事だろう。そういえば、あのご年配の姿は見えない。だが、彼女の様子から並々ならない事があったのは予想がつく。その辺の話は、彼女が落ち着いたら聞くことにしよう。
「分かった。今はいい、取り敢えず安静にしてろ」
「はい...あ、あれ?」
「どうした?」
「...何ですか、この状況は?」
モモヒキの声のトーンが1オクターブ下がる。………しまった。彼女の服を捲り上げたままだった。これはまずい。非常にまずい。
モモヒキはじとっとした目線をこちらに向けた後、そそくさと服を戻して再びこちらに向き直った。
「篠、懸、さん?」
「い、いやっ、これはその...」
何とか言い訳したいが、起きたら服を脱がされてたなんて状況、一体何て言えばいいんだ!? 正直に話しても、わざわざ服を脱がさず脈を測れば良かったと言われればそれまでだ。………まさかここで俺の人生は終わってしまうのか!? こんな事で!?
先程までの緊迫した状況からこの急展開。短期間で全くベクトルの異なる危機に直面し、頭がパニックになりかけていた俺を見て、モモヒキは「ふふっ」と小さな笑みをこぼした。そして、
「わたしを心配してくれて、ありがとうございます」
モモヒキは深々と頭を下げた。………ふぅーーーーー。やれやれ、こいつが察しの良い子で良かった。本当に。
「あ、ああ、気にしなくていい。立てそうか? 手を貸そう」
「ありがとうございます。よいしょっと...」
いつまでも床で座っているのはどうかと思ったので、モモヒキを一度立ち上がらせて来客用のソファに寝かせた。
「モモヒキ、そのままでいい。今日ここであった事、話せるか?」
「はい、あれは...」
◇
遡ること数時間前。
「モモヒキ、大学へ行くぞ」
「大学…ですか。どうしてまた?」
「俺の知り合いに、伝承とかに詳しい先生がいるんだ。その人に"蠱毒な少年"という言葉について聞こうと思ってな」
「そうですねぇ...。わたしも高校生ですし、とても興味はあるのですが」
「ですが?」
「わたしは、昨日いらっしゃったおじいちゃんとお話をしてみたいです! もしかしたら、もっと詳しい事が聞けるかもしれないですし...。どうですか?」
「……そうだな、分かった。葦田さんには俺から連絡を取ろう」
そう言うと、篠懸さんは携帯を取り出し、あのおじいちゃんと通話を始めた。私は、どうしてもあのおじいちゃんともう一度会いたかった。いや、会わなければならない理由があったのだ。
「はい、そうですか。それでは、事務所の方でお待ちしております。はい、では、失礼致します...。モモヒキ、葦田さんとは話をつけたぞ。もう少ししたらこちらへいらっしゃるとの事だ」
「ありがとうございます!」
「事務所は開けておくから、自由に使ってくれ。鍵の場所も教えておくから、出るときは施錠を頼む」
「了解です」
篠懸さんは私に鍵の場所を教えると、「それじゃあ、また後で」と言って出かけていった。わざわざ鍵の場所まで教えてくれるとは。私もなんだかんだ結構信用されているのかもしれない。
それから待つこと三十分。事務所のドアがノックされる音が聞こえた。「どうぞ」と返事をすると、おじいちゃんが杖をつきながら入ってきた。
「おや、今日はお嬢ちゃんだけかい?」
「はい、篠懸は所用で出ています。今日は私がお話を聞かせていただきたいと思いまして。こちらへどうぞ」
おじいちゃんには来客用のソファに座ってもらい、私は普段篠懸さんが座っている椅子に腰掛けた。おお、なんだか私も探偵になった気分。
「ご丁寧に、どうも...。こちらへ来させていただいて申し訳ないのですが、少し用事を思い出しまして...。手短に済ましていただけると助かります」
「そ、そうですか。お急ぎの用ですか?」
「いえ、まあ、そうですね...。ええ...」
なんとも歯切れの悪い返事が返ってきた。それは困る。私としては、できる限り長くこのおじいちゃんにいて欲しいのだ。上手く話をつなげていかねば。
「あ、あの! どうして今回篠懸探偵事務所に依頼を?」
「それは…私の近所にすむ方に薦めていただいたんです。困り事を相談するなら、この事務所がよいと」
「そうなんですね...。篠懸の印象はどうですか?」
「ええ、とても親身に聞いて下さいましたし、私の突拍子もない依頼を受けていただいたのはありがたく思います。ただ...」
「ただ?」
「いえ、何でもありません。調査の方は順調ですか?」
「はい、篠懸は丁度その調査で出たところです。彼なら、何かしらの結果を持って帰って来ると思いますので、近いうちに報告できると思います」
「そうですか...。それは、ご足労をおかけしました。あの、すみませんがこれを篠懸さんに渡していただけないでしょうか?」
おじいちゃんが手渡してきたのは茶色い封筒だった。受け取ってみると、そこそこの厚みと重さがある。恐る恐る中を覗くと………大量の諭吉と目があった。
「おじいちゃん、これ!」
「今回の依頼料です。先にお支払いしておきます」
「で、でも、調査はまだ...!」
「いいんです、もう。お手数をおかけしました」
「おじいちゃん!」
そう言うと、おじいちゃんは杖をつき重い腰を上げた。
もういい、とはどういうことだ。何故、ろくな説明もせずこの場を去ろうとしているのだろうか。さっきから、このおじいちゃんは妙に急いでいるような気がした。
まさか、まさかそういうことなの!?
「おじいちゃん...。もしかして、もう"いる"んですか?」
「!!?」
おじいちゃんは驚きを隠せない、という表情を見せた。やっぱりそうだ。間違いない。私の予想は確信に変わった。おじいちゃんの目線の先へ顔を向ける。
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