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そのなな
しおりを挟むそれにしてもデビューしてからは、本当にうざいぐらい夜会だの、お茶会だの、舞踏会だの、音楽会だの、演劇会だの・・・
本当に勘弁してくれ。
俺は、ベルにもまともに会えない日が続いた。
ベルは俺の専属侍女だが、お茶会のマナーや夜会の特別なメイクとか、髪型は全く出来ないのでベテランの侍女とこっそり交代していた。
そういえば考えてみると、お母さんはいつもすっぴんだったなと。
まあ、ベルは他にも色々忙しくしてるみたいだった。
あちこちお屋敷の中で呼び出され、渡り歩いてるらしい。
特に厨房に居座ってるらしい。
俺が忙し過ぎるので、ベルの様子はやみに任せた。
やみは影さえあれば、その場所にいれるらしい。
ただ、ベルが魔力ゼロなので、やみが超不機嫌だ。
なんでも、やみが見えなければ、ベルがこっそり食べているおやつや、料理長と一緒に開発している料理などが全くもらえないらしい。
それがとっても、うまそうだと。
見えたらもらえるのか?と聞くとベルがやみを認識したら触れたり、うまくしたら話したりできるらしいが、今はやみがすっかり拗ねちゃってるので今度なんとかするよとしか言えなかった。
食べ物の恨みは恐ろしい・・・
夜会などに参加したら必ずごちそうを闇にまぎれて取りに行ったりしたが。
普段の日は、やみの機嫌をとるべくローストビーフを自腹で購入している。
まあ、早めに何とかしないとな。
多分、ベルがやみを認識したら、猫だけに猫っ可愛がりすると思うし。
そんなことより、俺の本音はまた書庫に引きこもりたい。
何しろ、もうすぐ王立学園の入学試験があるからだ。
一応、俺、勉強しないといけないんじゃと不安がよぎる。
ただ、イザベラの両親に王立学園に入る条件で、夜会にすべて参加しろと言われてしまったから仕方なく参加しているのだ。
イザベラの両親はいい人たちなのだが、イザベラが前のようにダンスやマナーに興味をもってもらい、華やかな夜会だのお茶会だのに参加したら、気が変わって王子との婚約を前向きに考えるのだろうと思ってる節がある。
両親の領地経営の他にベルが発見した骨董品、いや、電化製品の使い方マニュアルやシンプル料理本などをだすと思いの外、収入源ができたので俺の使えるお金がかなり潤った。
いざとなったら学園にいく費用二人分は確保できそうだ。
夜会も両親と一緒の挨拶が終わったら、さっさと壁の方に向かって、やみに頼んで存在してないように見せた。
時々、妙に勘が鋭いやつもいたけど、おおむね成功してたと思う。
そんなとき王国の例の秘密の工房から、貴族に魔法の道具を売りにくるといううわさのお茶会に参加できることになった。
魔道具か。
魔法が使える俺は、まったく興味はなかったが一応、親父を探してるベルのために情報収集しないとな。
それに親父のそばに弟もいるかもしれないし、運が良ければ魔道具を売りにくるやつが、弟の可能性もある。
そんな思いでお茶会に参加することにしたのだった。
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