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第二部
第1章〜幼なじみは絶対に勝てないラブコメ〜⑧
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画面の中の彼女は、小学生のオレを虜にした時と変わらず、まぶしいままだった。
そして、シロの隣で晴れやかな表情でヴァイオリンを演奏する部長の姿を見て、あらためて確信したことがある。
「その部長のようすを見て、思ったんだ……シロは、ステージに立ってこそ輝く存在で……そして、同じ舞台で共演する人間と、その輝きを共有することができるんだなって」
あの日、彼女に伝えられなかったことを口にすると、シロは、なぜか、表情を赤くしてうつむくような仕草をとる。
しかし――――――。
シロには、申し訳ないが、もう少しだけ自分の想いを伝えさせてもらうことにする。
「なにより、オレ自身がそうだった……オレが、オープン・スクールでのパレードで披露するパフォーマンスに向けて練習に打ち込めたのは、シロが四月の部活紹介のときにステージで歌う姿を見たからだ。小学生の春休みのことを覚えてるか? ウチの実家でカラオケ・バトルをしたときに、『シロに負けられね~』と燃えたことを思い出したよ。シロ……シロには、舞台に立つだけで、周りの人間に輝きを与えたり、奮い立たせるチカラがあるんだぜ!」
そこまで言うと、彼女は、フルフルと肩を震わせ始めた。
それでも――――――。
そのようすを眺めながら、シロの説得にむけて、最後の言葉を語りかける。
「だから、シロは、オレたち広報部、いや芦宮高校にとって、絶対に必要な存在だ! 壮馬の映像編集の技術や、鳳花部長の企画統率力があれば、シロも魅力をもっと多くの人たちに伝えることができる! だから――――――」
そこまで語り終えると、目の前の同級生は、
「わかった! もう、わかったから!!」
と、声をあげた。
とつぜんの大声に、
「おわっ……! なんだ!? シロ、どうした?」
オレが驚きの声をあげると、
「クロ……よく照れもせずに、そんなこと言えるね? 聞かされてるこっちは、みんなの前で告白された、この前の土曜日のときより恥ずかしいってこと、わかってる!?」
シロは、顔を紅潮させながら、主張する。
「そ、それは申し訳ない……ただ、オレは、オレたちにとってシロが必要だと言うことを伝えたくて……」
謝罪の言葉のあと、もう一度、オレの意志を伝えようとすると、彼女は
「だから、それは、もうわかった、って……」
と言ったあと、
「花金サンや広報部の考えは、十分に伝わったから……そんなに暑苦しく言われたら、みんなの前で放送室を飛び出したわたしが、バカみたいじゃない……」
自分を落ち着かせるように、つぶやく。
「そ、そうか……スマン」
シロのつぶやきのあと、こちらから再び謝罪の言葉を口にすると、オレの方から伝えたいことを言い終えたということが伝わったのだろうか、彼女は、いつもの余裕を感じさせる顔色を取り戻し、
「それに……土曜日に告白をしてきたヒトは、まだまだ、その相手に、未練がありそうなこともわかったしね」
と言って、ニンマリと表情を崩す。
「そ、それは……」
言葉に詰まるオレを見つめながら、シロはいつものように追撃の矢を放った。
「フラレたあとも、相手が出演している動画をいじましく見続けるなんて、結婚相手として主人公に選ばれなかったあとに、田舎の温泉街で、主人公を想いながら、機を織り続けるフ◯ーラ以上の未練がましさね」
彼女の言葉が、デリケートな箇所にクリティカルヒットした、オレは、
「それを言うなよ~」
頭を抱え、その場にしゃがみこむ。
「さっきも、シロとぶつかりかけた女子に、『あんまりしつこくして、ヨツバちゃんを困らせないように』って、忠告されたばかりなんだからな……」
半分、泣きそうになりながら、言葉を発すると、シロは、
「そっか……さっき衝突しそうになったコには、今度、謝っておかないとね……」
と、口にしたあと、表情を一変させ、自身のスマホを取り出して指さし、
「あれ、でも、黒田クンは、自分のスマホの中に、理想の女の子がいるから、大丈夫なんじゃないの?」
ツンと澄ましたままで語り、この点については、こちらの異論を受け付ける気はないのか、そっぽを向いたままで、視線を合わせようとしない。
だが、ちょうど、そのタイミングで、シロのスマホにメッセージ着信ランプが表示され、彼女は、スマホをタップする。
「あ、黄瀬クンからLANEだ……」
そう口にした彼女は、十秒ほどスマホの画面を凝視し、しばらくすると、
「なんだ……そうなんだ……」
独り言をつぶやいて、クスリと笑い、少し両方の口角をあげた。
そして、なぜか、機嫌が良さそうな笑みで、語りかけてきた。
「まぁ、クロも初恋の相手に告白を断られるツラさが理解できただろうし……これ以上は、追及しないであげる」
「そ、そうか……」
彼女がこれ以上、からんで来ないことに安心しつつ、気になったことについてたずねる。
「初恋の相手って……その話しは、壮馬にしか話してないはずなのに……シロ、壮馬に聞いたのか……!?」
こちらの問いに、シロは再び澄ました表情で、
「さぁ……? 情報源は秘匿するべきモノだと思うから、誰から聞いたかは言えないけど……クロは、もう少し黄瀬クンに感謝したほうがイイと思うよ?」
などと、オレのことを茶化す発言しかしない友人を擁護する。
(いつの間に、壮馬とLANEをやり取りする仲になったんだ……?)
いぶかしく感じながら、シロに目を向けると、こちらの内心の疑問を気に留めるようすもなく、彼女は、こんなことを言ってきた。
「ところで、始業式の日、わたしが、『失恋のキズが癒えない黒田クンに、『あ~ん』して、お弁当を食べさせてあげる』って、言ったとき、塩対応だった誰かサンは、ゲームの女の子には、『あ~ん』をしてほしいのかな?」
今日イチの勝ち誇った表情(桃華に主導権を握られることが多かったためだろう)で、こちらを見つめるシロの視線を受け止めながら、オレは思考を巡らせる。
(ここまで、部長命令を完遂するためのお膳立ては、十分に出来ているハズだ)
(シロの説得を成功させるためには、最後の選択をミスる訳にはいかない……)
そう決断したオレは、しゃがみこんだ姿勢のまま、両手を教室の床に着ける。
「安西先生……!! シロに『あ~ん』をしてもらいたいです」
これも、今後の円滑な学園生活のためだと、自分に言い聞かせながら、膝を着いた格好で、声を絞り出す。
「そっか、そっか……クロも、ようやく、素直に自分の気持ちを伝えられるようになったみたいだし、それじゃ、わたしもなにかご褒美をあげないとね?」
シロは、そう言って、いままで見たこともない、蠱惑的な表情でこちらを見つめ、自分の通学カバンから、何かを取り出した。
そして、シロの隣で晴れやかな表情でヴァイオリンを演奏する部長の姿を見て、あらためて確信したことがある。
「その部長のようすを見て、思ったんだ……シロは、ステージに立ってこそ輝く存在で……そして、同じ舞台で共演する人間と、その輝きを共有することができるんだなって」
あの日、彼女に伝えられなかったことを口にすると、シロは、なぜか、表情を赤くしてうつむくような仕草をとる。
しかし――――――。
シロには、申し訳ないが、もう少しだけ自分の想いを伝えさせてもらうことにする。
「なにより、オレ自身がそうだった……オレが、オープン・スクールでのパレードで披露するパフォーマンスに向けて練習に打ち込めたのは、シロが四月の部活紹介のときにステージで歌う姿を見たからだ。小学生の春休みのことを覚えてるか? ウチの実家でカラオケ・バトルをしたときに、『シロに負けられね~』と燃えたことを思い出したよ。シロ……シロには、舞台に立つだけで、周りの人間に輝きを与えたり、奮い立たせるチカラがあるんだぜ!」
そこまで言うと、彼女は、フルフルと肩を震わせ始めた。
それでも――――――。
そのようすを眺めながら、シロの説得にむけて、最後の言葉を語りかける。
「だから、シロは、オレたち広報部、いや芦宮高校にとって、絶対に必要な存在だ! 壮馬の映像編集の技術や、鳳花部長の企画統率力があれば、シロも魅力をもっと多くの人たちに伝えることができる! だから――――――」
そこまで語り終えると、目の前の同級生は、
「わかった! もう、わかったから!!」
と、声をあげた。
とつぜんの大声に、
「おわっ……! なんだ!? シロ、どうした?」
オレが驚きの声をあげると、
「クロ……よく照れもせずに、そんなこと言えるね? 聞かされてるこっちは、みんなの前で告白された、この前の土曜日のときより恥ずかしいってこと、わかってる!?」
シロは、顔を紅潮させながら、主張する。
「そ、それは申し訳ない……ただ、オレは、オレたちにとってシロが必要だと言うことを伝えたくて……」
謝罪の言葉のあと、もう一度、オレの意志を伝えようとすると、彼女は
「だから、それは、もうわかった、って……」
と言ったあと、
「花金サンや広報部の考えは、十分に伝わったから……そんなに暑苦しく言われたら、みんなの前で放送室を飛び出したわたしが、バカみたいじゃない……」
自分を落ち着かせるように、つぶやく。
「そ、そうか……スマン」
シロのつぶやきのあと、こちらから再び謝罪の言葉を口にすると、オレの方から伝えたいことを言い終えたということが伝わったのだろうか、彼女は、いつもの余裕を感じさせる顔色を取り戻し、
「それに……土曜日に告白をしてきたヒトは、まだまだ、その相手に、未練がありそうなこともわかったしね」
と言って、ニンマリと表情を崩す。
「そ、それは……」
言葉に詰まるオレを見つめながら、シロはいつものように追撃の矢を放った。
「フラレたあとも、相手が出演している動画をいじましく見続けるなんて、結婚相手として主人公に選ばれなかったあとに、田舎の温泉街で、主人公を想いながら、機を織り続けるフ◯ーラ以上の未練がましさね」
彼女の言葉が、デリケートな箇所にクリティカルヒットした、オレは、
「それを言うなよ~」
頭を抱え、その場にしゃがみこむ。
「さっきも、シロとぶつかりかけた女子に、『あんまりしつこくして、ヨツバちゃんを困らせないように』って、忠告されたばかりなんだからな……」
半分、泣きそうになりながら、言葉を発すると、シロは、
「そっか……さっき衝突しそうになったコには、今度、謝っておかないとね……」
と、口にしたあと、表情を一変させ、自身のスマホを取り出して指さし、
「あれ、でも、黒田クンは、自分のスマホの中に、理想の女の子がいるから、大丈夫なんじゃないの?」
ツンと澄ましたままで語り、この点については、こちらの異論を受け付ける気はないのか、そっぽを向いたままで、視線を合わせようとしない。
だが、ちょうど、そのタイミングで、シロのスマホにメッセージ着信ランプが表示され、彼女は、スマホをタップする。
「あ、黄瀬クンからLANEだ……」
そう口にした彼女は、十秒ほどスマホの画面を凝視し、しばらくすると、
「なんだ……そうなんだ……」
独り言をつぶやいて、クスリと笑い、少し両方の口角をあげた。
そして、なぜか、機嫌が良さそうな笑みで、語りかけてきた。
「まぁ、クロも初恋の相手に告白を断られるツラさが理解できただろうし……これ以上は、追及しないであげる」
「そ、そうか……」
彼女がこれ以上、からんで来ないことに安心しつつ、気になったことについてたずねる。
「初恋の相手って……その話しは、壮馬にしか話してないはずなのに……シロ、壮馬に聞いたのか……!?」
こちらの問いに、シロは再び澄ました表情で、
「さぁ……? 情報源は秘匿するべきモノだと思うから、誰から聞いたかは言えないけど……クロは、もう少し黄瀬クンに感謝したほうがイイと思うよ?」
などと、オレのことを茶化す発言しかしない友人を擁護する。
(いつの間に、壮馬とLANEをやり取りする仲になったんだ……?)
いぶかしく感じながら、シロに目を向けると、こちらの内心の疑問を気に留めるようすもなく、彼女は、こんなことを言ってきた。
「ところで、始業式の日、わたしが、『失恋のキズが癒えない黒田クンに、『あ~ん』して、お弁当を食べさせてあげる』って、言ったとき、塩対応だった誰かサンは、ゲームの女の子には、『あ~ん』をしてほしいのかな?」
今日イチの勝ち誇った表情(桃華に主導権を握られることが多かったためだろう)で、こちらを見つめるシロの視線を受け止めながら、オレは思考を巡らせる。
(ここまで、部長命令を完遂するためのお膳立ては、十分に出来ているハズだ)
(シロの説得を成功させるためには、最後の選択をミスる訳にはいかない……)
そう決断したオレは、しゃがみこんだ姿勢のまま、両手を教室の床に着ける。
「安西先生……!! シロに『あ~ん』をしてもらいたいです」
これも、今後の円滑な学園生活のためだと、自分に言い聞かせながら、膝を着いた格好で、声を絞り出す。
「そっか、そっか……クロも、ようやく、素直に自分の気持ちを伝えられるようになったみたいだし、それじゃ、わたしもなにかご褒美をあげないとね?」
シロは、そう言って、いままで見たこともない、蠱惑的な表情でこちらを見つめ、自分の通学カバンから、何かを取り出した。
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