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第二部
第4章〜推しが尊すぎてしんどいのに表現力がなさすぎてしんどい〜⑨
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5月14日(土)
~佐倉桃華の裏アカウント~
前日、今週から住み始めたばかりの新しい部屋に、くろセンパイをお招きし、お互いに親睦を深めあったあと、きぃセンパイとその他の皆さんに、あらためて引っ越しの報告を終えたワタシは、さわやかな気分で朝を迎えていた。
くろセンパイに話したこと、くろセンパイに話してもらったことを思い出しながら、あらためて、自分が《ミンスタ》にアップした投稿を確認する。
====================
いいね!を見る
cherry_and_peachpie 今日はお引っ越しの初日です。
高校でも同じクラブになったセンパイが、親睦を深めるために遊びに来てくれました。
#お引っ越し初日
#芦宮高校広報部
====================
投稿には、部《・》員《・》同《・》士《・》の《・》絆《・》を示すため、くろセンパイと手のひらを重ねた写真をアップロードしている。
その写真を撮影したときのことを思い出しながら、口元が緩むのを感じながら、《ミンスタ》から、表示を《トゥイッター》の裏アカウントに切り替える。
====================
モモカ複垢@peach_and_cherrypie 14時間
しゅきぴとお家デートなう
#お引っ越し初日
====================
自分で投稿した文面とともに、くろセンパイの手の甲とワタシの手のひらを重ねた画層を確認すると、口元だけでなく、目元まで緩んでしまうことが感じられて、しんどくなってくる。
このアカウントは、《トゥイッター》の自分のアカウントだけがフォローしている裏垢で、鍵アカウントにしているため、誰にも見られることはない設定になっている。
ワタシは、ここを日記がわりに使って、自分にとって大切なことがあった思い出などを記録していた。
(はあ……くろセンパイと同じフロアの部屋に住んでるんだ)
あらためて、その事実を噛みしめると、口元や目元だけでなく、顔全体がユルユルになり、幸福感がこみ上げてくるのを感じる。
なによりも、くろセンパイを傷つけてほくそ笑んでいたに違いない、あ《・》の《・》ヒ《・》ト《・》の心の底から悔しそうな表情が忘れられない。
その瞬間、思わず、
(ムカついちゃうよね、ざまぁ)
と、心のなかでつぶやき、舌を出したことを思い出し、スッキリと気分が晴れたのと同時に、自分の性格が悪くなっていることに気づいて、少しだけ落ち込む。
あの後、彼女は
「クッ……覚えていなさいよ!」
と、アメリカの学園映画に出てくる意地の悪いクイン・ビー(学園の女王)のような捨て台詞を吐いて、くろセンパイたちの編集室から去って行ったが、その後に、ワタシは意外なひヒトから声をかけられた。
「佐倉さん、ちょっとお話ししたいことがあるのですが……今週末に時間を取ってもらうことはできませんか?」
そう言って、ワタシに話しかけて来たのは、紅野センパイの友人の天竹葵さんだった。
「天竹センパイ? ワタシに、なにか御用ですか?」
「えぇ、佐倉さんに折り入って聞いてもらいたいことがあるので、どこか落ち着いた場所で、お話しできないでしょうか?」
先週のオープン・スクールのときに、紅野センパイと一緒に、ワタシを保健室に連れて行ってくれた、ということ以外、とくに接点のない上級生から、突然のお誘いを受けたことに驚きつつ返答する。
「わかりました。今週末は、広報部の活動がないようなので、明日の午前中でも構いませんか? 近所にオシャレなカフェを見つけて、明日は、そこでブランチをしようと思っていた
ので、良ければ、センパイもご一緒しませんか?」
「ありがとう。そうさせてもらいます」
「わかりました。モーニングの提供は、十一時までだそうなので、朝の十時半にお店にきてもらえませんか? 場所を送らせてもらおうと思うので、良ければ、LANEのアカウントを交換しませんか?」
ワタシが、そう提案すると、天竹センパイは快くアカウントの交換に応じて、
「それでは、明日はよろしくお願いします」
と言い残して、紅野センパイとともに帰って行った。
ワタシと彼女のやり取りを見ていたのか、くろセンパイが、
「おっ、モモカ、天竹から早速、部活PRの依頼でも入ったか?」
と、笑顔でたずねてきた。
彼が元気を取り戻しつつあることを嬉しく思いつつ、あまり面識のない上級生からのお誘いの内容に心当たりがないことから、
「なんでしょうね? 広報部が協力できることであれば、くろセンパイや、きぃセンパイに相談したほうが良いと思うんですけど……」
と、返答する。
「そっか! まぁ、部活に関することなら、いつでも相談してくれ! 同じフロアに住むことになったし、いつでも、気軽に声をかけてくれてイイぞ」
そんな、くろセンパイのありがたい申し出を思い出し、自分の引っ越し計画が思った以上の成果を上げていることに満足しながら、出かける準備を整えたワタシは、天竹センパイとの待ち合わせ場所である、引っ越したばかりのマンションから徒歩数分の場所にあるカフェに向かうことにした。
~佐倉桃華の裏アカウント~
前日、今週から住み始めたばかりの新しい部屋に、くろセンパイをお招きし、お互いに親睦を深めあったあと、きぃセンパイとその他の皆さんに、あらためて引っ越しの報告を終えたワタシは、さわやかな気分で朝を迎えていた。
くろセンパイに話したこと、くろセンパイに話してもらったことを思い出しながら、あらためて、自分が《ミンスタ》にアップした投稿を確認する。
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cherry_and_peachpie 今日はお引っ越しの初日です。
高校でも同じクラブになったセンパイが、親睦を深めるために遊びに来てくれました。
#お引っ越し初日
#芦宮高校広報部
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その写真を撮影したときのことを思い出しながら、口元が緩むのを感じながら、《ミンスタ》から、表示を《トゥイッター》の裏アカウントに切り替える。
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モモカ複垢@peach_and_cherrypie 14時間
しゅきぴとお家デートなう
#お引っ越し初日
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自分で投稿した文面とともに、くろセンパイの手の甲とワタシの手のひらを重ねた画層を確認すると、口元だけでなく、目元まで緩んでしまうことが感じられて、しんどくなってくる。
このアカウントは、《トゥイッター》の自分のアカウントだけがフォローしている裏垢で、鍵アカウントにしているため、誰にも見られることはない設定になっている。
ワタシは、ここを日記がわりに使って、自分にとって大切なことがあった思い出などを記録していた。
(はあ……くろセンパイと同じフロアの部屋に住んでるんだ)
あらためて、その事実を噛みしめると、口元や目元だけでなく、顔全体がユルユルになり、幸福感がこみ上げてくるのを感じる。
なによりも、くろセンパイを傷つけてほくそ笑んでいたに違いない、あ《・》の《・》ヒ《・》ト《・》の心の底から悔しそうな表情が忘れられない。
その瞬間、思わず、
(ムカついちゃうよね、ざまぁ)
と、心のなかでつぶやき、舌を出したことを思い出し、スッキリと気分が晴れたのと同時に、自分の性格が悪くなっていることに気づいて、少しだけ落ち込む。
あの後、彼女は
「クッ……覚えていなさいよ!」
と、アメリカの学園映画に出てくる意地の悪いクイン・ビー(学園の女王)のような捨て台詞を吐いて、くろセンパイたちの編集室から去って行ったが、その後に、ワタシは意外なひヒトから声をかけられた。
「佐倉さん、ちょっとお話ししたいことがあるのですが……今週末に時間を取ってもらうことはできませんか?」
そう言って、ワタシに話しかけて来たのは、紅野センパイの友人の天竹葵さんだった。
「天竹センパイ? ワタシに、なにか御用ですか?」
「えぇ、佐倉さんに折り入って聞いてもらいたいことがあるので、どこか落ち着いた場所で、お話しできないでしょうか?」
先週のオープン・スクールのときに、紅野センパイと一緒に、ワタシを保健室に連れて行ってくれた、ということ以外、とくに接点のない上級生から、突然のお誘いを受けたことに驚きつつ返答する。
「わかりました。今週末は、広報部の活動がないようなので、明日の午前中でも構いませんか? 近所にオシャレなカフェを見つけて、明日は、そこでブランチをしようと思っていた
ので、良ければ、センパイもご一緒しませんか?」
「ありがとう。そうさせてもらいます」
「わかりました。モーニングの提供は、十一時までだそうなので、朝の十時半にお店にきてもらえませんか? 場所を送らせてもらおうと思うので、良ければ、LANEのアカウントを交換しませんか?」
ワタシが、そう提案すると、天竹センパイは快くアカウントの交換に応じて、
「それでは、明日はよろしくお願いします」
と言い残して、紅野センパイとともに帰って行った。
ワタシと彼女のやり取りを見ていたのか、くろセンパイが、
「おっ、モモカ、天竹から早速、部活PRの依頼でも入ったか?」
と、笑顔でたずねてきた。
彼が元気を取り戻しつつあることを嬉しく思いつつ、あまり面識のない上級生からのお誘いの内容に心当たりがないことから、
「なんでしょうね? 広報部が協力できることであれば、くろセンパイや、きぃセンパイに相談したほうが良いと思うんですけど……」
と、返答する。
「そっか! まぁ、部活に関することなら、いつでも相談してくれ! 同じフロアに住むことになったし、いつでも、気軽に声をかけてくれてイイぞ」
そんな、くろセンパイのありがたい申し出を思い出し、自分の引っ越し計画が思った以上の成果を上げていることに満足しながら、出かける準備を整えたワタシは、天竹センパイとの待ち合わせ場所である、引っ越したばかりのマンションから徒歩数分の場所にあるカフェに向かうことにした。
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