初恋♡リベンジャーズ

遊馬友仁

文字の大きさ
243 / 454
第三部

第3章〜裏切りのサーカス〜⑥

しおりを挟む
 ~佐倉桃華さくらももかの見解~

「こんにちは。 芦宮あしのみやサクラです! 今回は、生徒会公認きかくということで、アタシが芦宮あしのみや高校のクラブを紹介していこうと思います。体育会系のクラブを中心に、アタシにイジられたいっていうクラブが、た~くさんあるから、楽しみにしててね~」

 ワタシが、放送室で芦宮あしのみや高校非公式のVtuberの仮デザインであるアバターをスマホで起動させながら、アテレコの練習をしていると、

 コンコン――――――

と、やや大きめの音でドアがノックされ、

「モモカ~、戻ったぞ~」

と言って、くろセンパイが、連絡会から帰ってきた。

「お疲れさまです。くろセンパイ! それで……美術部とコンピュータクラブの件は、どうなりました?」

 ワタシは、先週末からセンパイと共通の心配のタネであった懸念事項について、たずねる。

「あぁ、結果から言えば、オレたちの行動はお咎めなしで認められたよ。もっとも、予想どおり、壮馬は、不満そうではあったけどな……」

「やっぱり、そうですか……」

 鳳花ほうか部長の性格から考えて、くろセンパイが美術部に行った提案を無効にする、ということはあり得ないだろう、と考えていたけど、もうひとつの心配のタネだった、きぃセンパイたちのグループが気分を害さないか、という点についても、自分たちの想像が外れることはなかった。

「あの……きぃセンパイ、なにか言ってきませんでしたか?」

「いや、オレたちの行動に対して抗議するってことは、なかったな。あいつの性格から考えて、ルール違反ではない以上、抗議してもなんの意味もない、って考えているんだろうけど……」

「そうですか……」

 きっと、ワタシと同じ想いなのだろう……。
 きぃセンパイたちに悪いことをしてしまったという罪悪感と贖罪の気持ちを抱えながらも、友だちの性格を考えながら、その言動の意味を考えている、くろセンパイの苦しさを想像すると、ワタシの胸は痛くなる。

「きぃセンパイたちには、悪いことをしちゃいましたね……」

 ポツリとつぶやくと、くろセンパイは苦笑しながら、ワタシの頭に手をあて、ワシャワシャと髪を触りながら、

「心配すんな、モモカ! 壮馬なら、きっと、わかってくれるよ!」

と、滅入りかける気持ちをほぐすように、言葉をかけてくれる。
 さらに、センパイは続けてこんなことを言ってきた。
 
「部長も、今回のことをフォローするように、今後の活動に向けて、面白い提案をしてくれたしな。そうだ、モモカ! タブレットを開いてくれないか? 鳳花ほうか部長が、今後、取材先が被らないようにお互いのグループで情報共有することを提案して、生野いくの先輩が、共有シートを作ってくれたんだ」

 くろセンパイの言葉を受けて、ワタシは、すぐにカバンからタブレットを取り出して起動させる。
 ログインすると、シェルフのG-mailのアイコンには、着信のマークが表示されていて、アイコンをクリックしてメーラーを起動すると、生徒会アカウントから、メールが届いていた。

「それが、スプレッドシートの共同編集の招待メールのハズだ。リンク先をクリックしてくれないか?」

 リンクを開くと、センパイの言ったとおり、スプレッドシートが開き、ワタシたち動画コンテストの参加者が、取材先のクラブや提携する内容を書き込めるようになっていた。

「今後は、クラブの取り合いになって、相手に迷惑がかからないように、このシートで、お互いに情報共有できるってワケだ」

 連絡会で決まったことを、少し嬉しそうに話すセンパイの表情を見て、きぃセンパイとの仲がこじれたわけではないことが伝わってきて、ワタシも何故か嬉しくなる。
 
 中学生のときから、ずっと、くろセンパイときぃセンパイのことを見てきていたから、そう感じるのかも知れないけど……。
 
 やっぱり、このふたりには、ずっと、仲の良い関係であってほしい、という想いがワタシにはある。

 お互いに相手に対して否定的なことを言い合ったりしているものの、根っこの部分では、互いに信頼にし合っていて、遠慮したり気をつかったりする必要がなく、心から打ち解けることができる、文字どおり、『気のおけない友人』同士のふたりの会話を聞いているのは、楽しかった。

 いまのところ、ワタシは、くろセンパイと彼氏彼女の関係になれるなんて、思っていないけど――――――。

 もし、そうなったときも、きぃセンパイに言い負かされることの多い、くろセンパイを一緒にイジりながらも、たまには、フォローしてあげるような光景を思い浮かべ、口元が緩んでしまうのを抑えることができなかった。

「ん? どうした、モモカ? 急にニヤニヤして……」

「いえ……なんでもありません! きぃセンパイたちには、これ以上、迷惑がかからないようにしないと……って思っただけです」

 くろセンパイの指摘に、少し焦りながらもそう答えると、同時に、ワタシは、ゾクリ――――――と背中に悪寒を感じた。

「あの……くろセンパイ。この後の打ち合わせは、ここから出てからにしませんか? ワタシ、オカルトを信じるタイプじゃないんですけど……なんだか、隣の小会議室から、禍々まがまがしい気配が漂って来るんです」

「ん? モモカが、そんなこと言うなんて珍しいな。まあ、さっき、美術部から、芦宮あしのみやサクラのデザイン案が出揃ったって、連絡があったしな! それなら、コンピュータクラブにも声をかけて、美術部に移動するか?」

 得体の知れない怖気おぞけを感じ取ったワタシの声に、アッサリと賛同してくれたくろセンパイに感謝しつつ、ワタシ達は、スプレッドシートの美術部の項目に、

《キャラクターデザインのミーティング》

と、記載して、加納部長たちの待つ部室に移動することにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

義姉妹百合恋愛

沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。 「再婚するから」 そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。 次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。 それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。 ※他サイトにも掲載しております

カオルとカオリ

廣瀬純七
青春
一つの体に男女の双子の魂が混在する高校生の中田薫と中田香織の意外と壮大な話です。

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

処理中です...