ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁

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第3章~①~

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 7月26日(月) 天候・晴れ

 開場時間の最初から夕方まで、めいっぱい遊び、レジャー・プールを後にした翌日の午前中、小嶋夏海とオレは、再び市内の図書館に集合していた。

 炎天下の中、一日中、直射日光に晒していた肌は薄く赤く腫れ、昨夜の入浴時は、ヒリヒリと染みて、その痛みで、プールサイドでの体験が、より強く印象に刻まれることになった。

 入浴後、紫外線対策を気にしていた小嶋夏海に、メッセージアプリで、

 ==============

 今日は、おつかれ。
 日焼けは大丈夫だったか?
 オレは、風呂に入った時に少し
 染みた。

 ==============

と、メッセージを送ると、

 ==============

 ご心配なく。
 日焼け対策はしていたから。
 坂井は、大丈夫?
 日焼けは、軽い火傷と一緒なん
 だから、気をつけなよ

 ==============

と、すぐに返信が返ってきた。

 ==============

 あぁ、夏の陽射しを舐めてた。
 これからは、気をつける。

 ところで、明日は、どうする?
 コカリナの調査を続けるか?

 ==============

 こちらからも、メッセージを返すと、すぐに既読が付き、彼女からの返信内容が表示される。

 ==============

 私は、図書館に行くつもり。
 坂井も、予定がないなら
 一緒にどう?

 ==============

 特に予定もないので、喜んで彼女の誘いにのる。
 もっとも、自分に協力できることがあるかどうかと言われると自身はないが……。

 ==============

 じゃ、一緒に行かせてもらう
 役に立てるかはワカランが(汗)

 ==============

 素直に感じていることを返信すると、

 ==============

 別に期待してないから大丈夫w
 せっかくだから、学習室で宿題
 でも進めたら?

 手伝ってほしいことができたら
 声を掛けるようにするから

 ==============

 彼女らしい返信が返ってきた。

 感謝と申し訳なさの意味を込めて、クマがお辞儀するアニメーションのスタンプを送り、そのあとに、了解の意味を込めて、コアラが《OK》と文字を繰り出すスタンプを送信しておいた。



 先週と同じく、午前九時より少し早く図書館に到着すると、これまた同じく、小嶋夏海は、すでに図書館の入り口前に立っていた。

「おはよう! 相変わらず早いな」

 彼女に声を掛けると、

「…………うん、まぁね」

少し口籠もったように返事をしたあと、

「それより、日焼けは大丈夫だったの?」

と、こちらの身を案じるように、問い掛けてきた。

「あぁ、母親に相談したら、保水液とワセリンでケアしておけ、と言われたから、寝る前に塗り込んでおいた。『肌を傷つけるから風呂に入る前に報告しろ』と、注意されたけどな」

 苦笑いしながら言うと、彼女は呆れたように、子供を諭すように語る。

「プールで、はしゃぎたくなる気持ちもわからないではないけど、自分の身体のことくらい、ちゃんとケアしなさい」

 反論の余地がないため、「面目ない」と、一言だけ返し、

「ところで、今日は、どんなことを調べるんだ?」

話題を変えるべく、そうたずねると、

「う~ん、大学での論文調査ができない以上、機械的な仕組みを調べるのは難しいと思うから、楽器としてのコカリナのルーツについて、調べてみようかな?こっちの方面は、まだ調べられることがあるかも知れないし……」

と、答えが返ってきた。

「そうか。チカラになれるかわからないが、何か手伝えそうなことがあったら、遠慮なく声を掛けてくれ! オレは、小嶋のアドバイスどおり、『夏休みの友』と仲良く過ごさせてもらうから」

 そう答えると、彼女は、プッと吹き出して、

「『夏休みの友』って、小中学生じゃないんだから……」

と、ツッコミを入れる。

「ま、あまり親しくしたくない名ばかりの友人のことは置いておいて、小嶋は宿題に手をつけなくて良いのか?」

何気なしに聞くと、またも、

「…………うん、まぁ、夏の課題は別に、ね――――――」

と、またも、言葉を濁した。

(まあ、成績の悪い自分と違って、学年トップクラスの彼女には愚問だったか?)

この時のオレは、彼女の言葉をそんな風に受け取っていた。
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