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「か、風間と知り合いなって…」
「はぁ?」
ハルの額に青筋が浮き上がる。
「ちょっと知り合いなってんて…」
皆まで言わん。ってか言えるかっ!
ハルはブスッとした顔でタバコを銜えて、苛立ったように火を点ける。
俺、絶対に副流煙で肺ガンなるわ。
「おかん探す伝をな…紹介してもらってん」
「ふ~ん…風間とねぇ。風間ねぇ…」
「風間…」
「俺が言うたこと覚えてんのか?風間の事…」
人殺した…いうやつか。
覚えてるしハルの知らん仁流会風間組の、あの風間龍一の息子やいうのも知ってる。でも、怖いなんか微塵も思わん。アイツな…縋ってくんねん…俺に。何もない俺にやで…笑うやろ。
「威乃!」
「ど、怒鳴るなや。覚えてるって…風間のんは。ただ、俺はオカン見付けたいんやて」
あんなんでも俺のたった一人の家族や…。
アホヅラ拝ましてもらうまでは、何としても見つけたる。どうせ、いつもみたいに笑ってるんや。ちょっとした冗談やて…。
「確かな伝なんか?風間の」
「え?ああ…うん。確かな…伝やったわ」
力余らせまくりの、関西一の極道やで。向かうところ敵なしやろ、これ。
「あんまり深入りすんな。風間と」
「ハル…警戒しすぎちゃう?」
「とにかく!逐一俺に言え」
何を?風間との事?ってか、めくるめく情事をか…。
でも、頷かな引き下がってくれそうにないハルに、ただ頷いた。
そっから、ハルがまた手際良く飯を作って、他愛無い会話で盛り上がった。
知ってる。励まそうとしてくれてるん。
わかってる、心配してくれてるん。
マジでごめん。
マジでありがとう。
結局、日付が変わる頃にハルは家に帰った。いつもなら何も思わん一人の部屋も、何や一気に静まり返って絶望感。
徐に携帯を手に取って、無意識にオカンの携帯に電話してた。
『お掛けになった電話番号は…』
無機質なアナウンス。わかってた。電話通じたら、警察かてすぐオカン見つける。通じたら…。
「何してんねん、ばばあ。早よう帰って来いや。俺どないすんねん……どあほう…」
ツーッと頬を涙が伝った。
アンタにはまだ教えてもらいたいこと、山ほどあんねん。俺アホやから、教えてもらわな…。
孤独感に耐えきれんで、俺は家を出てフラフラ歩いた。
賑やかな街は異様に盛り上がってて、寂しさ紛らわすために肩寄せ合った奴らがウヨウヨしてるみたいやった。
そんな街並みを抜けて、ただ歩く。どんくらい歩いたか、気が付いたら風間のマンションの前におった。
オートロック式の玄関は、中から開けてもらわなマンションに入られへん。
仕方なく、風間の部屋番号をダイヤルする。が、応答なし。
「マジ…」
寝たか…。いや…女とどっか。
俺は散々やってもらったけど、結局風間は本番なしで、とーか交換になってへん。
カツカツと背後から足音がして、思わず隠れたら住人らしいリーマンが鍵でロックを開けて中に入った。
それに続いて、さりげなく中に侵入。エレベーターで風間の部屋の階にあがり、風間の部屋の前。
何でこんなとこまで来てもうたんやろ…。後悔してもしゃーないから、チャイムを鳴らした。
応答なし。出掛けてる…。何か家に帰るのも嫌で、俺はその場にしゃがみ込んだ。
今にも一雨来そうな空気を漂わしとった空は、遂に雨まで降らしてきた。
「いよいよ帰れんし」
膝抱えて座って、ガキみたい。負けん気だけが取り柄やったのに、負けん気なんてどこ行ったんか。
一人でも平気やったのに、今じゃ、どうよこれ。誰?これ?捨てられた猫みたいや。
「…威乃?」
驚いた声が、俺に掛けられた。
そりゃ驚くか…。我がの家の前に、おるはずない人間座ってたら。
何も言わん俺に、風間は俺の前にしゃがみ込んで頭に手を置いた。
何やバツが悪うて、ここに来てもうた事への後悔からか顔を上げれんかった。
「…入れ」
風間はやっぱり何も聞かんかった。それがコイツなりの優しさなんかもしらん。
部屋に入って風間の香りに包まれて、正直ホッとした。特等席みたいに、ソファに座って身を丸める。
「すまん…オヤジんとこ行ってたから」
風間がそんな俺を後ろから抱き締めて、髪にキスを落とす。
猫ならここでゴロゴロ喉鳴らすけど、生憎俺は猫やない。
「オヤジって…風間龍一?」
「よぉ知ってんな。俺、名前言うたか?」
イヤイヤ、お前が思う以上にお前のオヤジは有名人や、風間。
「今回のんで、梶原さんとか下の組の者使うからな…一応、許可得とかんと」
「だ、大丈夫なんか!?」
思わず焦る。
風間龍一やで。たかだかその辺の女捜すのに、組の者使うなんか許してくれんのか。
「平気や…俺の腕見る言うてたわ。梶原がほぼ動くんに、力量計るらしいわ。もし、威乃のお母さんが何か組関係の事件に巻き込まれとったら、それはそれでうちも放っとけん」
「………」
「威乃、俺が怖いか?風間組が怖いか?」
珍しくよく喋る。
背後からギュッと抱き締められて、項や髪に飽きるほどキス。たまにゾクリとする。
「お前を怖いなんて思わん。風間組は…正直怖い。ヤクザの知識なんか、悪い評判しか知らんし。それに…お前が俺に執着する理由分からんから、ぐるぐるする」
極道と聞いて、ええなぁ…羨ましいなんて言う奴は、まずおらん。
眉間に皺寄せて、何とか関わらんように逃げるんが普通やろ。
ただ、梶原さんとかのあの振る舞いには、普通の街で俺らみたいな奴を蔑んで見てくる大人とはちゃうと思った。
髪の色とか着崩した制服とか、そんな見かけで判断してくる大人。
母親しかおらん母子家庭で、しかも水商売してるからと俺と我が子を遊ばさん様にした大人。
そんな大人より、常識もあってちゃんとしてる思った。
まだ梶原さんとかしか知らんから、何とも言えんけど。
「ヤクザが怖いんは普通や…今は昔の任侠道を捨ててる奴も多い。それをこう思えとか、そんなんは言わん」
「俺に執着する理由」
「俺を好きやって思うてくれた時に言うたる」
な、またそれっ!頭来て、胸んとこに回されてる風間の手に噛みついた。
「痛ッ…ほんま猫やな」
「やかましい…ってか風呂入りたい…貸してくれ」
俺のオアシス。檜風呂。
「…一緒に」
「はあ?!イヤじゃ」
「等価交換の代金支払ってもらってない…まだ足りん」
この時俺は、風間龍大が悪魔に見えた。
何もせん。触れたりせん。まず近付くな。…を条件に、俺は風間と仲良く風呂入ることなった。
相変わらず、心地良い檜の香りが鼻を掠める。
檜って手入れめちゃくちゃ大変って聞いたけど、風間がそないな手入れしてるようにも思えん。
手入れしてくれる誰かがおるんかな…。風間はやっぱり謎だらけ。
でも何が悲しゅうて、男二人で仲良う風呂入らなあかんねんやろ。ただ、こんな時、湯船が広いの万歳と思う。
風間とは端と端。仲悪いんかいうくらい離れてる。
しかし、鍛え上げられた肉体をこれでもかと見せられて、微妙ヘコむ。俺の腐った腹も、ちょっと痣がある程度。
檜ってすげぇ。檜のおかげやないやろうけど。
「オマエも背中に毘沙門天とか、般若とか、昇り龍とか彫り入れんの」
「入れへん。ああいうの嫌いやねん。俺に極道である意味を教えてくれた奴も入れてへん」
「極道の意味?教えてくれた?先輩か…?」
ってか極道の心得?みたいなんは親父に聞くんが一番早いんちゃうんか。
「先輩っていうか、先輩言うても、ほんま手に負えん男。それに今、誰でも入ってるやろ彫りなんか。人と同じことしとうない」
それはタトゥーやないか…?俺が言うてるんは入れ墨やで…。
「でも…入れんで欲しい」
言うてハッとなる。
関係ないやん、俺。何で風間の入れ墨に意見せなあかんの。
「ほな入れん」
「ちゃう!ちゃうから!好きにしたらええから」
慌てて訂正かける俺の手を、風間が掴んでそのまま引っ張られた。
浮力も手伝って、俺は易々風間の胸ん中に収まった。
「離せ!約束ちゃうやんけ!!!触らん、近寄らんっちゅうんが条件やねんぞ!!」
バシャバシャお湯の中で暴れもがく。お湯が慌ただしく波立てて、中に居られへんお湯が外に派手に出て行った。
「風間!!」
「何で俺に、入れ墨入れて欲しないん?」
「は…」
何でって…それは…。
風間の身体に絵が似合わんと思って。いや、誰から見ても似合うやろう。
昇り龍なんか特に風間にピッタシや。でも、それ以上に、自然体の風間の裸のが断然良いと思ったから…って!何考えてんねん!何!?風間の裸て?やめてや、俺キモすぎ…!
「威乃…何で俺の身体に、刺青入れてほしないん」
俺のパニックを余所に、風間は俺を後ろから抱き締めて耳元でボソボソ呟く。
それが背中にゾクゾク響いて、逃げようとしてもしっかり腹に回された手が俺の身体ホールドして離さん。
「み、耳…!イヤやっ…!」
絞り出した声に、熱が籠もってんのが自分でもわかって泣きたなる。
男として生きてきた。セックスかて、女としかしてへん。女イかして、喘がせて、それが何か優越感?アホみたいやけど、ガンガンに突いてイかしてんのは誰でもない俺。それが、すげぇイイ。みたいな。
女は男みたいに射精せんからイク振りする奴もおるらしいけど、女の嘘に騙されんのが男の仕事やねんて。
これもばばあの口癖。我が女やから好き勝手ぬかしてんちゃうんかって言うたけど、男はアホやから、やっぱり女に騙されんねん。
そんな俺が捕まってんのが、男の中の男、風間龍大。
「お前は、女の嘘に騙されたりせんやろな」
抵抗やめて、ポツリ、呟いたら、項や首筋にキスしとった風間の動きが止まった。
「何の話や」
「女に騙されたことある?」
「威乃の口から女の話聞きとうない」
スパッと切り捨てるように言うと、痛いくらいに首に吸い付いてきた。
「あ、あほっ!やめぇ…隠されへんやろ!そんなとこ」
「見られたら困る相手おるんか」
「アホか!お前、どんだけ俺の身体に痕付けんねん!こない付いてたら変な病気みたいやろうが!」
首に始まり、見えんけど、きっと項も背中もあらゆるとこに付けられた風間の痕。これ以上つけたら、さすがに周りも引く。
「いらん虫つかんようにせなあかん」
虫はオマエやろー!!
「はぁ?」
ハルの額に青筋が浮き上がる。
「ちょっと知り合いなってんて…」
皆まで言わん。ってか言えるかっ!
ハルはブスッとした顔でタバコを銜えて、苛立ったように火を点ける。
俺、絶対に副流煙で肺ガンなるわ。
「おかん探す伝をな…紹介してもらってん」
「ふ~ん…風間とねぇ。風間ねぇ…」
「風間…」
「俺が言うたこと覚えてんのか?風間の事…」
人殺した…いうやつか。
覚えてるしハルの知らん仁流会風間組の、あの風間龍一の息子やいうのも知ってる。でも、怖いなんか微塵も思わん。アイツな…縋ってくんねん…俺に。何もない俺にやで…笑うやろ。
「威乃!」
「ど、怒鳴るなや。覚えてるって…風間のんは。ただ、俺はオカン見付けたいんやて」
あんなんでも俺のたった一人の家族や…。
アホヅラ拝ましてもらうまでは、何としても見つけたる。どうせ、いつもみたいに笑ってるんや。ちょっとした冗談やて…。
「確かな伝なんか?風間の」
「え?ああ…うん。確かな…伝やったわ」
力余らせまくりの、関西一の極道やで。向かうところ敵なしやろ、これ。
「あんまり深入りすんな。風間と」
「ハル…警戒しすぎちゃう?」
「とにかく!逐一俺に言え」
何を?風間との事?ってか、めくるめく情事をか…。
でも、頷かな引き下がってくれそうにないハルに、ただ頷いた。
そっから、ハルがまた手際良く飯を作って、他愛無い会話で盛り上がった。
知ってる。励まそうとしてくれてるん。
わかってる、心配してくれてるん。
マジでごめん。
マジでありがとう。
結局、日付が変わる頃にハルは家に帰った。いつもなら何も思わん一人の部屋も、何や一気に静まり返って絶望感。
徐に携帯を手に取って、無意識にオカンの携帯に電話してた。
『お掛けになった電話番号は…』
無機質なアナウンス。わかってた。電話通じたら、警察かてすぐオカン見つける。通じたら…。
「何してんねん、ばばあ。早よう帰って来いや。俺どないすんねん……どあほう…」
ツーッと頬を涙が伝った。
アンタにはまだ教えてもらいたいこと、山ほどあんねん。俺アホやから、教えてもらわな…。
孤独感に耐えきれんで、俺は家を出てフラフラ歩いた。
賑やかな街は異様に盛り上がってて、寂しさ紛らわすために肩寄せ合った奴らがウヨウヨしてるみたいやった。
そんな街並みを抜けて、ただ歩く。どんくらい歩いたか、気が付いたら風間のマンションの前におった。
オートロック式の玄関は、中から開けてもらわなマンションに入られへん。
仕方なく、風間の部屋番号をダイヤルする。が、応答なし。
「マジ…」
寝たか…。いや…女とどっか。
俺は散々やってもらったけど、結局風間は本番なしで、とーか交換になってへん。
カツカツと背後から足音がして、思わず隠れたら住人らしいリーマンが鍵でロックを開けて中に入った。
それに続いて、さりげなく中に侵入。エレベーターで風間の部屋の階にあがり、風間の部屋の前。
何でこんなとこまで来てもうたんやろ…。後悔してもしゃーないから、チャイムを鳴らした。
応答なし。出掛けてる…。何か家に帰るのも嫌で、俺はその場にしゃがみ込んだ。
今にも一雨来そうな空気を漂わしとった空は、遂に雨まで降らしてきた。
「いよいよ帰れんし」
膝抱えて座って、ガキみたい。負けん気だけが取り柄やったのに、負けん気なんてどこ行ったんか。
一人でも平気やったのに、今じゃ、どうよこれ。誰?これ?捨てられた猫みたいや。
「…威乃?」
驚いた声が、俺に掛けられた。
そりゃ驚くか…。我がの家の前に、おるはずない人間座ってたら。
何も言わん俺に、風間は俺の前にしゃがみ込んで頭に手を置いた。
何やバツが悪うて、ここに来てもうた事への後悔からか顔を上げれんかった。
「…入れ」
風間はやっぱり何も聞かんかった。それがコイツなりの優しさなんかもしらん。
部屋に入って風間の香りに包まれて、正直ホッとした。特等席みたいに、ソファに座って身を丸める。
「すまん…オヤジんとこ行ってたから」
風間がそんな俺を後ろから抱き締めて、髪にキスを落とす。
猫ならここでゴロゴロ喉鳴らすけど、生憎俺は猫やない。
「オヤジって…風間龍一?」
「よぉ知ってんな。俺、名前言うたか?」
イヤイヤ、お前が思う以上にお前のオヤジは有名人や、風間。
「今回のんで、梶原さんとか下の組の者使うからな…一応、許可得とかんと」
「だ、大丈夫なんか!?」
思わず焦る。
風間龍一やで。たかだかその辺の女捜すのに、組の者使うなんか許してくれんのか。
「平気や…俺の腕見る言うてたわ。梶原がほぼ動くんに、力量計るらしいわ。もし、威乃のお母さんが何か組関係の事件に巻き込まれとったら、それはそれでうちも放っとけん」
「………」
「威乃、俺が怖いか?風間組が怖いか?」
珍しくよく喋る。
背後からギュッと抱き締められて、項や髪に飽きるほどキス。たまにゾクリとする。
「お前を怖いなんて思わん。風間組は…正直怖い。ヤクザの知識なんか、悪い評判しか知らんし。それに…お前が俺に執着する理由分からんから、ぐるぐるする」
極道と聞いて、ええなぁ…羨ましいなんて言う奴は、まずおらん。
眉間に皺寄せて、何とか関わらんように逃げるんが普通やろ。
ただ、梶原さんとかのあの振る舞いには、普通の街で俺らみたいな奴を蔑んで見てくる大人とはちゃうと思った。
髪の色とか着崩した制服とか、そんな見かけで判断してくる大人。
母親しかおらん母子家庭で、しかも水商売してるからと俺と我が子を遊ばさん様にした大人。
そんな大人より、常識もあってちゃんとしてる思った。
まだ梶原さんとかしか知らんから、何とも言えんけど。
「ヤクザが怖いんは普通や…今は昔の任侠道を捨ててる奴も多い。それをこう思えとか、そんなんは言わん」
「俺に執着する理由」
「俺を好きやって思うてくれた時に言うたる」
な、またそれっ!頭来て、胸んとこに回されてる風間の手に噛みついた。
「痛ッ…ほんま猫やな」
「やかましい…ってか風呂入りたい…貸してくれ」
俺のオアシス。檜風呂。
「…一緒に」
「はあ?!イヤじゃ」
「等価交換の代金支払ってもらってない…まだ足りん」
この時俺は、風間龍大が悪魔に見えた。
何もせん。触れたりせん。まず近付くな。…を条件に、俺は風間と仲良く風呂入ることなった。
相変わらず、心地良い檜の香りが鼻を掠める。
檜って手入れめちゃくちゃ大変って聞いたけど、風間がそないな手入れしてるようにも思えん。
手入れしてくれる誰かがおるんかな…。風間はやっぱり謎だらけ。
でも何が悲しゅうて、男二人で仲良う風呂入らなあかんねんやろ。ただ、こんな時、湯船が広いの万歳と思う。
風間とは端と端。仲悪いんかいうくらい離れてる。
しかし、鍛え上げられた肉体をこれでもかと見せられて、微妙ヘコむ。俺の腐った腹も、ちょっと痣がある程度。
檜ってすげぇ。檜のおかげやないやろうけど。
「オマエも背中に毘沙門天とか、般若とか、昇り龍とか彫り入れんの」
「入れへん。ああいうの嫌いやねん。俺に極道である意味を教えてくれた奴も入れてへん」
「極道の意味?教えてくれた?先輩か…?」
ってか極道の心得?みたいなんは親父に聞くんが一番早いんちゃうんか。
「先輩っていうか、先輩言うても、ほんま手に負えん男。それに今、誰でも入ってるやろ彫りなんか。人と同じことしとうない」
それはタトゥーやないか…?俺が言うてるんは入れ墨やで…。
「でも…入れんで欲しい」
言うてハッとなる。
関係ないやん、俺。何で風間の入れ墨に意見せなあかんの。
「ほな入れん」
「ちゃう!ちゃうから!好きにしたらええから」
慌てて訂正かける俺の手を、風間が掴んでそのまま引っ張られた。
浮力も手伝って、俺は易々風間の胸ん中に収まった。
「離せ!約束ちゃうやんけ!!!触らん、近寄らんっちゅうんが条件やねんぞ!!」
バシャバシャお湯の中で暴れもがく。お湯が慌ただしく波立てて、中に居られへんお湯が外に派手に出て行った。
「風間!!」
「何で俺に、入れ墨入れて欲しないん?」
「は…」
何でって…それは…。
風間の身体に絵が似合わんと思って。いや、誰から見ても似合うやろう。
昇り龍なんか特に風間にピッタシや。でも、それ以上に、自然体の風間の裸のが断然良いと思ったから…って!何考えてんねん!何!?風間の裸て?やめてや、俺キモすぎ…!
「威乃…何で俺の身体に、刺青入れてほしないん」
俺のパニックを余所に、風間は俺を後ろから抱き締めて耳元でボソボソ呟く。
それが背中にゾクゾク響いて、逃げようとしてもしっかり腹に回された手が俺の身体ホールドして離さん。
「み、耳…!イヤやっ…!」
絞り出した声に、熱が籠もってんのが自分でもわかって泣きたなる。
男として生きてきた。セックスかて、女としかしてへん。女イかして、喘がせて、それが何か優越感?アホみたいやけど、ガンガンに突いてイかしてんのは誰でもない俺。それが、すげぇイイ。みたいな。
女は男みたいに射精せんからイク振りする奴もおるらしいけど、女の嘘に騙されんのが男の仕事やねんて。
これもばばあの口癖。我が女やから好き勝手ぬかしてんちゃうんかって言うたけど、男はアホやから、やっぱり女に騙されんねん。
そんな俺が捕まってんのが、男の中の男、風間龍大。
「お前は、女の嘘に騙されたりせんやろな」
抵抗やめて、ポツリ、呟いたら、項や首筋にキスしとった風間の動きが止まった。
「何の話や」
「女に騙されたことある?」
「威乃の口から女の話聞きとうない」
スパッと切り捨てるように言うと、痛いくらいに首に吸い付いてきた。
「あ、あほっ!やめぇ…隠されへんやろ!そんなとこ」
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「アホか!お前、どんだけ俺の身体に痕付けんねん!こない付いてたら変な病気みたいやろうが!」
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