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第3章
2人っきりって結構きつい
しおりを挟む「とりあえず、効率は悪いですが可能性の高いところから移動して探しましょう」
「はい!」
「では、私に掴まってください。」
「えっ自分で歩けますよ、走りますよ」
「魔法で移動いたしますので離れてると置いていってしまいます」
「失礼します!」
「...それでこそ秋月さんです」
「えっなんですか?」
「いえ、」
魔法すげぇなぁと思ってとりあえず無難に両手を肩に乗せてみた。
......ん?魔法で移動できるんならなんで私が帰るとき移動でいかなかったんだろ。不思議。
そんなことを考えてたら彼がおしゃれな杖みたいなのを一周させると一瞬で景色が変わった。
え、なにそれマジック?なにこれやばい、◯ラえもんとか目じゃないわ。
「あ、ここって...!」
「はい、秋月さんが最初に迷ってらっしゃった王都...セルトシアです。迷い人の報告が一番多いのはここです。まずここから探しましょう。妹さんの特徴を教えてくださいますか?」
「えーと、...目がすごくぱっちりしててくっきり二重で鼻がとおってて、わかりやすく言うと天使です。もしくは小悪魔」
「...秋月さんがパニックになると使い物にならないのはわかりました。少し落ち着いて頂けますか?」
「申し訳ございませんでした」
冷静になって身体的特徴を伝え、街から外れた森を探すことになった。
前に行ったあの森はとても広いようで、迷えばでてこれないとか。
だから迷い人を連れた保護管しか立ち入らない場所らしい。
そこで迷っていれば保護されず1人で泣いている可能性が高い。
「なにかあったらこれを空へ投げてください。」
「水晶玉ですか?」
「はい。居場所がすぐにわかりますので。」
「わかりました!」
「あぁ、あと大丈夫だとは思うのですがこれを。」
「...ありがとうございます。使わないことを祈ります。あの、...デザイン禍々しくないですか?」
「え?なんですか?」
「なんでもございません」
アイルさんが野球ボールくらいの水晶玉と、細い長刀を渡してきた。
いや、ありがたいんだけど、とてもありがたいんだけど長刀の見た目がやばい。
錆びまくってるし赤黒い。なにこれ血?
正直いらねーよ呪われそうだよ、でもそんなこと言えないので大人しく受け取って走って希美を探す。
アイルさんと別れてどんどん森の奥へと進んでいく。
「希美ーっ!」
名前を叫んでも聞こえるのは鳥の鳴き声だけ。
こっちにきてから約一時間半、時間軸が違うといっても完全に把握出来てないから余裕を持って三時間が経過する前には向こうに戻らなきゃ...
焦って足がもつれて倒れこむ。
「じ、地味に痛い...」
「.....、...」
「っ、希美!?」
すっ転んで若干涙目になってきたら森の奥から声が聞こえたような気がした。
名前を呼んで急いで立ち上がって声がした方を見る。
返事はなく、声もまた聞こえなくなった。
もしかしたら、泣き疲れてもう喋れないのかもしれない。
ひたすら声がした方へ走る。
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