つまりは女子高生が最強

amama

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第7章

二度とこないことを誓って

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私のファーストキスが理不尽に奪われたところで彼女は早く元の世界へ帰ろうといってきた。あと一時間早くいってくれたら巻き込まれなかったしコルセットで死にそうにならなかったしファーストキスも奪われずに済んだのに。恨み言しかでてこない。


「今ならまだ唯よりシャドウに気が向いてるから、面倒なことから逃げられるわよ。」

「逃げましょうか。」

「そうねぇ」


この精霊、なかなかいい性格してやがる。

この混乱に乗じて逃げようっていう、そんな彼女は嫌いじゃない。
手を差し出されたので、手をとると彼女はふわっと浮いて手で空間を切るとその中へ飛び込んだ。
もう何が起きても驚かなくなったな。

つられてその空間の中へと入ると、一瞬であの精霊の木がある森に出た。精霊って便利だなおい。



「あ!あれって、半透明だった小人...?」

「はっきり見えるでしょ?」


精霊の木の見上げるとそこには小さい小人だと思っていたものがくっきり見えていた。
それはおとぎ話にでてくるような、妖精だった。
羽が生えていて飛んでいる。なにこれ可愛い。

可愛くてちょっと回復した。


「ねぇ唯、もう機嫌いい?」

「....ちゅーされたのは許しません」

「えー、もぅ、だからシャドウになんか取り込まれるのよ。あいつ身も心も清らかな乙女(笑)しか入らないもの。なおかつ美少女。気持ち悪いったらないわぁ。」

「...え?あの、それ.....」

「ん?処じx「ぎゃああああっ!!」


慌てて彼女の口から放送禁止用語が出るのを阻止しようとしたが遅かった。
私の叫び声だけが森に響いてしまった。

そんな理由でこんな目にあうのか。ふざけやがって。というかなんでレイチェルさん私が........清らかだと!清らかだと知ってたんだ!言ってないし!誰にも言ってないし!!
もうなんなんだよ!!みんな嫌いだ!!


「唯ー、機嫌直しなさいよぉ、私は女性で実体化はしてるけど、本来決まった姿はないの。精霊だからね。だから男でも女でもないのよ。むしろ私良かったじゃない。」

「.......じゃあさっきのノーカンで」

「そうね。後始末もしといてあげるから、いいでしょ?もう変なのに捕まっちゃだめよ?」


彼女はそういうと私の頭を撫でてきた。
...ちゅーされたりしたけどこの精霊さんがいなければ私シャドウとやらの入れ物にされてたんだもんな。八つ当たりはよくない。すべてあのレイチェルさんのせいだ。
なんとか冷静になってきて深呼吸をする。



「....取り乱して、ごめんなさい。」

「そうねぇ、普通取り乱すわよ」

「助けてくれてありがとう。.....えーと...ユグドラシルさん?」

「...私ユグドラシルじゃないのよね。」

「えっ?そうなんですか?」

「すべての精霊の母はユグドラシルよ。もちろんユグドラシル自体実体化してないから男も女もないんだけど。私はユグドラシルが一番最初に生んだ精霊なの。だから力を濃く受け継いでる。シャドウごときにやられないくらいは強いわ。」

「じゃあなんて名前なんですか?」

「ないのよねー。みんな私がユグドラシルと同一みたいな、そんな感覚だし。」

「呼びにくいんでなんて呼ばれたいですか?」

「変なのじゃなければなんでもいいわ。唯がつけてよ。」


精霊の名前をつけるというなんとも無茶振りを素敵な笑顔でしてきたので、少し悩んだが呼びにくいので決心をする。
....名前...日本人ぽくないほうがいいんだよね?なんか適当に女神とかそのへんの名前引っ張ってくれば間違い無いよね?


「....じゃあディオネ。私の世界では女神の名前。」

「唯が変なセンスじゃなくてよかったわー。ほら、もう帰らないと心配されちゃうわよ?」

「...ありがとう。」

「じゃあね。」


私の背中を木の奥へと押してくれる彼女がなんだか寂しそうだった。
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