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第四章 公爵と侯爵令嬢の結婚
8 手紙と忠告
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オリヴィエールが居間へ向かうと、シルヴェストルは長椅子に座って紅茶を飲んでいるところだった。
昨日の結婚式と披露宴では礼装姿だったので、侯爵家子息としての華やかさを身に纏っていたが、今日は打って変わって鈍色の外出着姿の今日は育ちの良い資産家の息子といった雰囲気だ。
妹のベルティーユほどの美人ではないが、容姿は整っている。
ただ、普段から容姿端麗なオリヴィエールと並んでいるせいか、ベルティーユという美少女のお付きのように三歩後ろに控えているせいか、シルヴェストルは地味だと言われることが多い。
服装からして派手なものは好まず、流行は追わず、侯爵家子息という体裁はつくろいつつも質素なものが多い。
ただ、礼装姿になると三割増しくらいで容姿に磨きがかかるので、昨日は未婚の令嬢たちに囲まれていた。
それが疲れたのか、緊張感のない顔で焼き林檎を上品に食べている。
ベルティーユと同じく、身分をひけらかすことなく使用人たちにも物腰柔らかいシルヴェストルは、ダンビエール公爵邸の使用人たちの間では評判が良い。
(あの焼き林檎は、ベルの部屋にもあった物だな。僕のところには誰も運んでこずに、シルヴェストルには出すとはどういう了見だ?)
使用人たちのシルヴェストルのもてなし方は、ベルティーユとほぼ同じだ。
多少、釈然としないものがあるが、オリヴィエールは気にしないことにした。
王宮であれこれと周囲に気を使ったり、周囲を細かく観察しつつ気を張って過ごしている分、家の中ではできるだけくつろぎたかった。
「やぁ、どうしたんだい? もう妹のことが心配になって、様子を見にきたのかい?」
オリヴィエールが茶化すようにシルヴェストルに訊ねると、相手は軽く笑みを浮かべた。
「うちに届いたベル宛の手紙を持ってきたんだ。明日から旅行に出掛けるだろう? 今日中に届けておこうと思ってね」
シルヴェストルは膝の上に置いていた封筒の束を手に取って見せた。
「ベルはいま、大量のお礼状を明日の昼までに書き上げると言って部屋に籠もっているんだが、呼んでこようか?」
「いや、これを渡してくれるだけでいいさ。どれもこれも、ベルの結婚を祝う手紙だから、顔を合わせたところで書かなければいけない礼状が増えたといって文句を言われるだけだろうからね」
さすがに長年兄をしているだけあって、妹の反応はお見通しらしい。
「君が妹の邪魔をしているんじゃないかと気になってはいたんだけど」
「邪魔をしたら部屋から追い出されたんだ」
「なるほど」
特に驚くことではないらしく、シルヴェストルの反応は素っ気なかった。
「本当は王宮で君にこれを託すつもりだったんだけど、君は一足先に帰ってしまったと聞いてね。ところで、君がいなかったせいか、興味深い噂話を耳にしたよ」
「興味深い、噂話?」
意味深なシルヴェストルの口振りに、オリヴィエールは眉を顰めた。
「ある組織による、ダンビエール公爵暗殺計画」
「へぇ――それはなんというか、僕が過大評価されて政治的に重要人物として扱われているみたいだね」
オリヴィエールは祖父である前ダンビエール公爵の政治基盤を引き継いだとはいえ、まだまだ宮廷内での立場は祖父に並ぶものではない。
政治的野心が低いこともあり、国王の忠臣ではあるが、公爵家の存続のために行動することはあっても、自分が国王の側近として政治に積極的に参加するつもりはない。
そもそも、多少派手に政治活動をしたところで、暗殺なんてものが密かに計画されるほどの重要人物は国王や宰相など、片手の数ほどの人間だ。
オリヴィエール自身は、いくらでも自分の代わりがいることを理解している。
公爵位は自分が継がなければ遠縁の親類が爵位を手に入れ、ベルティーユとの結婚だって他のふさわしい男が夫となるだけだ。
自分にとって公爵位を継ぐことは祖父の意志も継ぐことだし、妻として望んだ女性はベルティーユだけだったが、あくまでもオリヴィエールにとって選択肢がひとつだっただけで、彼以外の人にとっての選択肢は複数存在する。
なぜ自分が暗殺の対象となるのか、オリヴィエールは不思議でならなかった。
「噂を詳しく知る人物によると、君が暗殺対象になったのは妹と結婚したからだそうだよ」
「ベルティーユと結婚したから? その、ある組織ってのはなんだい? それに、君にその話を聞かせたのは誰なんだい?」
ベルティーユとの婚約は半年前に公示しているが、昨日まで暗殺計画なんて話は聞かなかった。結婚を妨害するような噂も厭がらせもなかったし、理由にまったく心当たりがなかった。
「情報源は秘密だよ」
口元に人差し指を当てて、シルヴェストルはにやっと笑った。
その仕種で、どうやら宰相の秘書官辺りだろうとオリヴィエールは見当を付ける。
ベルティーユは宰相である伯父やその秘書官たちと以前から親しくしているようだったが、シルヴェストルもそれなりの付き合いがあるのだろう。
学生時代からシルヴェストルは学友たちと広く浅い付き合いをしており、オリヴィエールほど親しい友人はほぼいない。
人柄が良いので誰からも信頼されているし、現在宮廷では宰相の甥としてやはり広く浅い人間関係を保っているが、彼に政治の話をする人物は限られている。
「君はついに昨日、妹と結婚してしまった。世間では、カルサティ侯爵令嬢は国王との結婚を諦めたのだと認識し、ロザージュ王国の王女が嫁いでくることを受け入れようとしているけれど、いまだに国内には反対派がいるそうだ。戦争が終わってから一年以上経ったというのにね。そして、これまではロザージュ王国の目を欺くためにカルサティ侯爵令嬢はダンビエール公爵と婚約しているのだと勝手に思い込んでいた一部の人間が、カルサティ侯爵令嬢を国王と結婚させるためにはダンビエール公爵を殺すしかないと考えるようになったらしい」
「物騒な話だな」
「妹が君と結婚した以上、どんな名家の貴婦人でも離婚歴があっては王と結婚ができないからね。ただし、夫婦の間に子供が生まれる前に夫が死亡すれば、結婚は白紙と見なすことができる。子供がいれば、子供たちは父親の爵位や財産を受け継ぐことができるから、その母親も子供たちが継いだ爵位や財産の管理人として嫁ぎ先に残ることができるが、子供がいなければ――という暗黙の了解があるからね」
「それで、ベルが妊娠する前に僕を殺して、あとは陛下と結婚させるという筋書きかい?」
「そういうことだ。既婚歴があれば、多少世間の反対はあるだろうけれど、白い結婚なら王妃になるのに不足はないということらしい」
「白い結婚? 有り得ないな。二年後には君のことを『伯父様』と呼ぶ可愛い子供がこの屋敷を走り回っているはずだよ」
「うん、まぁ、そうだろうね。とにかく、君の命を狙う輩がいるようだから、気をつけるように忠告しておくよ」
あまり心配している様子がシルヴェストルには見られなかった。
「妹が巻き込まれないとも限らないからね」
「それは……気をつけなければならないな」
どこのどんな秘密結社かは知らないが、ベルティーユが危険にさらされるかもしれないとなると、オリヴィエールも意識せざるをえない。
「明日から旅行だろう? 見知らぬ土地では、飲み物食べ物強盗に気をつけること」
「強盗?」
「馬車強盗が最近は街道にちらほら出るらしいよ。護衛で傭兵を雇う貴族も増えているらしくて、戦争から戻ったものの仕事にあぶれている元兵士たちの再就職に繋がっているそうだよ。ただ、馬車強盗も仕事に就けずにいる元兵士の犯行が多いらしいけど」
「戦争が終わって平和な暮らしに戻ったはずなのに、物騒この上ないな」
「王都であれば、警吏が目を光らせて巡視しているけど、地方となるとなかなか財源の問題もあって警吏不足らしくてね」
「そういうところにこそ、元兵士を雇うべきでは?」
「田舎で地味で薄給の役所仕事は人が集まらないそうだよ。あ、あとこれは護衛をしてくれる傭兵団の連絡先。伯父の知り合いの団だから信用できるし、ぼったくられることもないから安心だよ」
暗に「護衛を雇え」と指示しながら、シルヴェストルは傭兵団の連絡先である住所を書いた紙片をオリヴィエールに渡した。
昨日の結婚式と披露宴では礼装姿だったので、侯爵家子息としての華やかさを身に纏っていたが、今日は打って変わって鈍色の外出着姿の今日は育ちの良い資産家の息子といった雰囲気だ。
妹のベルティーユほどの美人ではないが、容姿は整っている。
ただ、普段から容姿端麗なオリヴィエールと並んでいるせいか、ベルティーユという美少女のお付きのように三歩後ろに控えているせいか、シルヴェストルは地味だと言われることが多い。
服装からして派手なものは好まず、流行は追わず、侯爵家子息という体裁はつくろいつつも質素なものが多い。
ただ、礼装姿になると三割増しくらいで容姿に磨きがかかるので、昨日は未婚の令嬢たちに囲まれていた。
それが疲れたのか、緊張感のない顔で焼き林檎を上品に食べている。
ベルティーユと同じく、身分をひけらかすことなく使用人たちにも物腰柔らかいシルヴェストルは、ダンビエール公爵邸の使用人たちの間では評判が良い。
(あの焼き林檎は、ベルの部屋にもあった物だな。僕のところには誰も運んでこずに、シルヴェストルには出すとはどういう了見だ?)
使用人たちのシルヴェストルのもてなし方は、ベルティーユとほぼ同じだ。
多少、釈然としないものがあるが、オリヴィエールは気にしないことにした。
王宮であれこれと周囲に気を使ったり、周囲を細かく観察しつつ気を張って過ごしている分、家の中ではできるだけくつろぎたかった。
「やぁ、どうしたんだい? もう妹のことが心配になって、様子を見にきたのかい?」
オリヴィエールが茶化すようにシルヴェストルに訊ねると、相手は軽く笑みを浮かべた。
「うちに届いたベル宛の手紙を持ってきたんだ。明日から旅行に出掛けるだろう? 今日中に届けておこうと思ってね」
シルヴェストルは膝の上に置いていた封筒の束を手に取って見せた。
「ベルはいま、大量のお礼状を明日の昼までに書き上げると言って部屋に籠もっているんだが、呼んでこようか?」
「いや、これを渡してくれるだけでいいさ。どれもこれも、ベルの結婚を祝う手紙だから、顔を合わせたところで書かなければいけない礼状が増えたといって文句を言われるだけだろうからね」
さすがに長年兄をしているだけあって、妹の反応はお見通しらしい。
「君が妹の邪魔をしているんじゃないかと気になってはいたんだけど」
「邪魔をしたら部屋から追い出されたんだ」
「なるほど」
特に驚くことではないらしく、シルヴェストルの反応は素っ気なかった。
「本当は王宮で君にこれを託すつもりだったんだけど、君は一足先に帰ってしまったと聞いてね。ところで、君がいなかったせいか、興味深い噂話を耳にしたよ」
「興味深い、噂話?」
意味深なシルヴェストルの口振りに、オリヴィエールは眉を顰めた。
「ある組織による、ダンビエール公爵暗殺計画」
「へぇ――それはなんというか、僕が過大評価されて政治的に重要人物として扱われているみたいだね」
オリヴィエールは祖父である前ダンビエール公爵の政治基盤を引き継いだとはいえ、まだまだ宮廷内での立場は祖父に並ぶものではない。
政治的野心が低いこともあり、国王の忠臣ではあるが、公爵家の存続のために行動することはあっても、自分が国王の側近として政治に積極的に参加するつもりはない。
そもそも、多少派手に政治活動をしたところで、暗殺なんてものが密かに計画されるほどの重要人物は国王や宰相など、片手の数ほどの人間だ。
オリヴィエール自身は、いくらでも自分の代わりがいることを理解している。
公爵位は自分が継がなければ遠縁の親類が爵位を手に入れ、ベルティーユとの結婚だって他のふさわしい男が夫となるだけだ。
自分にとって公爵位を継ぐことは祖父の意志も継ぐことだし、妻として望んだ女性はベルティーユだけだったが、あくまでもオリヴィエールにとって選択肢がひとつだっただけで、彼以外の人にとっての選択肢は複数存在する。
なぜ自分が暗殺の対象となるのか、オリヴィエールは不思議でならなかった。
「噂を詳しく知る人物によると、君が暗殺対象になったのは妹と結婚したからだそうだよ」
「ベルティーユと結婚したから? その、ある組織ってのはなんだい? それに、君にその話を聞かせたのは誰なんだい?」
ベルティーユとの婚約は半年前に公示しているが、昨日まで暗殺計画なんて話は聞かなかった。結婚を妨害するような噂も厭がらせもなかったし、理由にまったく心当たりがなかった。
「情報源は秘密だよ」
口元に人差し指を当てて、シルヴェストルはにやっと笑った。
その仕種で、どうやら宰相の秘書官辺りだろうとオリヴィエールは見当を付ける。
ベルティーユは宰相である伯父やその秘書官たちと以前から親しくしているようだったが、シルヴェストルもそれなりの付き合いがあるのだろう。
学生時代からシルヴェストルは学友たちと広く浅い付き合いをしており、オリヴィエールほど親しい友人はほぼいない。
人柄が良いので誰からも信頼されているし、現在宮廷では宰相の甥としてやはり広く浅い人間関係を保っているが、彼に政治の話をする人物は限られている。
「君はついに昨日、妹と結婚してしまった。世間では、カルサティ侯爵令嬢は国王との結婚を諦めたのだと認識し、ロザージュ王国の王女が嫁いでくることを受け入れようとしているけれど、いまだに国内には反対派がいるそうだ。戦争が終わってから一年以上経ったというのにね。そして、これまではロザージュ王国の目を欺くためにカルサティ侯爵令嬢はダンビエール公爵と婚約しているのだと勝手に思い込んでいた一部の人間が、カルサティ侯爵令嬢を国王と結婚させるためにはダンビエール公爵を殺すしかないと考えるようになったらしい」
「物騒な話だな」
「妹が君と結婚した以上、どんな名家の貴婦人でも離婚歴があっては王と結婚ができないからね。ただし、夫婦の間に子供が生まれる前に夫が死亡すれば、結婚は白紙と見なすことができる。子供がいれば、子供たちは父親の爵位や財産を受け継ぐことができるから、その母親も子供たちが継いだ爵位や財産の管理人として嫁ぎ先に残ることができるが、子供がいなければ――という暗黙の了解があるからね」
「それで、ベルが妊娠する前に僕を殺して、あとは陛下と結婚させるという筋書きかい?」
「そういうことだ。既婚歴があれば、多少世間の反対はあるだろうけれど、白い結婚なら王妃になるのに不足はないということらしい」
「白い結婚? 有り得ないな。二年後には君のことを『伯父様』と呼ぶ可愛い子供がこの屋敷を走り回っているはずだよ」
「うん、まぁ、そうだろうね。とにかく、君の命を狙う輩がいるようだから、気をつけるように忠告しておくよ」
あまり心配している様子がシルヴェストルには見られなかった。
「妹が巻き込まれないとも限らないからね」
「それは……気をつけなければならないな」
どこのどんな秘密結社かは知らないが、ベルティーユが危険にさらされるかもしれないとなると、オリヴィエールも意識せざるをえない。
「明日から旅行だろう? 見知らぬ土地では、飲み物食べ物強盗に気をつけること」
「強盗?」
「馬車強盗が最近は街道にちらほら出るらしいよ。護衛で傭兵を雇う貴族も増えているらしくて、戦争から戻ったものの仕事にあぶれている元兵士たちの再就職に繋がっているそうだよ。ただ、馬車強盗も仕事に就けずにいる元兵士の犯行が多いらしいけど」
「戦争が終わって平和な暮らしに戻ったはずなのに、物騒この上ないな」
「王都であれば、警吏が目を光らせて巡視しているけど、地方となるとなかなか財源の問題もあって警吏不足らしくてね」
「そういうところにこそ、元兵士を雇うべきでは?」
「田舎で地味で薄給の役所仕事は人が集まらないそうだよ。あ、あとこれは護衛をしてくれる傭兵団の連絡先。伯父の知り合いの団だから信用できるし、ぼったくられることもないから安心だよ」
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