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第七章 王太后の計画
8 公爵の心中
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荒い呼吸を繰り返すベルティーユを組み敷いたオリヴィエールもまた、息は乱れていた。
全身から汗が流れ出し、ベルティーユの肌の上にぼたぼたと落ちていく。
すでに敷布は濡れ乱れ、天蓋の中は冬とは思えないほど熱が籠もっていた。
香水なのか体臭なのかわからない匂いが立ち籠め、ベルティーユの意識を迷わせる。
「拒むなんて……」
ベルティーユが反論する前に、オリヴィエールは妻の下肢を持ち上げて広げると、濡れそぼった秘所に指を二本差し込んだ。
「ん――――っ」
さきほどまで押し広げられていた感覚が残る場所を刺激され、ベルティーユは無意識で腰を揺らす。
拒もうにも、拒みようがなかった。
オリヴィエールはいつもベルティーユに選択権があるようなことを言うが、ベルティーユが勝手に腕の中に飛び込んできたのだといわんばかりの口振りで捕らえて、離さない。彼女が求めるから応えているのだという顔をして、けっして腕をほどかない。
そこには、常に拒む隙が一切ないのだ。
「貴女が陛下の愛妾になりたいのであれば、貴女はもっと夜伽の稽古をしなければならないよ。王妃候補として教養や行儀作法は充分すぎるほど身についている貴女だけど、閨での振る舞いはお妃教育には含まれなかっただろうしね。公爵夫人としては、貴女は充分僕の期待に応えてくれているし、僕は貴女が自分の腕の中にいるだけで満足なのだけれど――」
「――――――っ!」
割れ目の奥にさらに三本目の指が差し込まれ、中に溜まっていた蜜とさきほど居間で吐き出された精がどっと流れ出す。
下肢が濡れていることに恥じらう暇もなく、指が抜かれたかと思うと、さきほどよりも大きく膨張した熱棒がうねるようにして侵入してきた。
長い指で軽く慣らされただけの隘路が押し広げられ、じわじわと奥へ異物が進むたび、ベルティーユは自分が痛いのか気持ち良いのかわからなくなってくる。
「美しく、賢く、猥らな僕の奥様。さぁ、僕を誘ってみて? ――僕が欲しいなら」
「……欲しい、わ。あなたが。――わたしの旦那様」
どのように言えばオリヴィエールが満足するのかはわからなかったが、饒舌な彼が不機嫌であることは間違いない。
それは多分、自分が居間での交わりの際に声を上げたこととは別問題だろう。
奥まで入り込んだオリヴィエールの猛るものは、すでに中ではち切れそうになっている。鍛えられた鋼のように重く、固く、そして熱い。彼が動いてくれなければ、ベルティーユはもう自分で腰を動かすことなどできそうになかった。
それなのに、繋がった部分からは蜜が溢れ出し、相手の下肢を濡らし続けている。
「名前で呼んで」
「……オリヴィエール」
「もっと」
「……オリヴィエール……わたし、のオリヴィエール」
喘ぎながらベルティーユが呼ぶと、満足げにオリヴィエールは腰を動かし始めた。
緩慢に腰を揺らされるたび、ベルティーユの中がこすられ、奥が突かれる。
次第にその動きが速くなり、肌がぶつかる音と喘ぎ声、そしてオリヴィエールの唸り声だけが天蓋の中で響いた。
「――――――――――っ!」
ベルティーユが絶頂を迎えて意識を失いかけているのを確認しながら、オリヴィエールも中に吐精する。
「貴女が愛妾にふさわしい性技を身に付けられるよう、これから僕が貴女の稽古に協力するよ。 陛下の愛妾になる機会が得られるかどうかは――別問題だけどね」
愛妻がすでに意識を手放していることを確認してから、オリヴィエールは目を細めて呟いた。
深窓の令嬢として大切に育てられただけあり、ベルティーユは性に関する知識が乏しい。
男女が結婚して契りを結べば子供ができるということは知っていたが、その『契り』がどのようなものかは知らされていなかった。
当然、愛妾がどのような行為をするかも知るはずがない。
「もっと、大切に扱うつもりだったのに」
髪を乱し、汗と唾液で肌を濡らした妻の寝姿は、結婚前にオリヴィエールが妄想した以上に美しく、欲情を誘うものだ。
この姿を見ているだけで、一度は静まったものがすぐに力を取り戻してくる。
身体を繋いだまま妻を眺めていると、この劣情が途絶えることは一生ないと確信できる。
自分がいくら穢しても、乙女のような清らかで美しい笑顔を国王に向け、国王に心も身体も捧げたいと言うのだ。
アントワーヌ五世がさっさとロザージュ王国の王女の寝室に夜這いをかけに行くような人物であれば、オリヴィエールもこれほど心乱されることはなかったはずだ。
王がそのような人柄であれば、ベルティーユもこれほど愛妾になることにこだわらなかっただろう。
「ベルティーユ……こんなに貴女に溺れている僕を、どうか助けてくれないかい?」
力を取り戻した熱棒を動かしながら、オリヴィエールは懇願する。
ベルティーユは意識がないが、オリヴィエールのものが中で躍動するたび肉が彼をくわえ込み、猥らに誘ってくる。
激しく動くと眠りを妨げてしまうから、と静かに動くが、すぐにオリヴィエールの自制は効かなくなっていた。
なんどか抜き差しを繰り返し、大量の精を中に放出する。
新婚旅行から戻って以降、オリヴィエールの渇望は増す一方だった。
いずれは王太后か宰相がなにか仕掛けてくると予想はしていたが、想定よりもかなり早い。
それだけ、ロザージュ王国の王女はアントワーヌ五世の気を惹けていないということだ。
宰相ならば、ふたりに媚薬を飲ませて寝室に押し込むくらいのことはするべきだ。
国王妃になるという目標を断たれ、新たな人生を歩むために結婚したばかりの姪を王宮に出入りさせるなどもってのほかだ。
ベルティーユが妊娠すれば、それを理由に屋敷に閉じ込めておくことができるが、いまのところオリヴィエールの努力は実っていない。
「貴女を僕から奪おうとする者は、すべて敵だ。宰相であろうと、誰であろうと――」
まるで、部屋の外で耳を澄ませている者に聞かせるようにオリヴィエールは呟く。
声に出して宣言した途端、身体に力が籠もり、さらに下半身が熱を持つ。
どす黒い感情を持て余しながら、オリヴィエールは妻の中で動き続けた。
全身から汗が流れ出し、ベルティーユの肌の上にぼたぼたと落ちていく。
すでに敷布は濡れ乱れ、天蓋の中は冬とは思えないほど熱が籠もっていた。
香水なのか体臭なのかわからない匂いが立ち籠め、ベルティーユの意識を迷わせる。
「拒むなんて……」
ベルティーユが反論する前に、オリヴィエールは妻の下肢を持ち上げて広げると、濡れそぼった秘所に指を二本差し込んだ。
「ん――――っ」
さきほどまで押し広げられていた感覚が残る場所を刺激され、ベルティーユは無意識で腰を揺らす。
拒もうにも、拒みようがなかった。
オリヴィエールはいつもベルティーユに選択権があるようなことを言うが、ベルティーユが勝手に腕の中に飛び込んできたのだといわんばかりの口振りで捕らえて、離さない。彼女が求めるから応えているのだという顔をして、けっして腕をほどかない。
そこには、常に拒む隙が一切ないのだ。
「貴女が陛下の愛妾になりたいのであれば、貴女はもっと夜伽の稽古をしなければならないよ。王妃候補として教養や行儀作法は充分すぎるほど身についている貴女だけど、閨での振る舞いはお妃教育には含まれなかっただろうしね。公爵夫人としては、貴女は充分僕の期待に応えてくれているし、僕は貴女が自分の腕の中にいるだけで満足なのだけれど――」
「――――――っ!」
割れ目の奥にさらに三本目の指が差し込まれ、中に溜まっていた蜜とさきほど居間で吐き出された精がどっと流れ出す。
下肢が濡れていることに恥じらう暇もなく、指が抜かれたかと思うと、さきほどよりも大きく膨張した熱棒がうねるようにして侵入してきた。
長い指で軽く慣らされただけの隘路が押し広げられ、じわじわと奥へ異物が進むたび、ベルティーユは自分が痛いのか気持ち良いのかわからなくなってくる。
「美しく、賢く、猥らな僕の奥様。さぁ、僕を誘ってみて? ――僕が欲しいなら」
「……欲しい、わ。あなたが。――わたしの旦那様」
どのように言えばオリヴィエールが満足するのかはわからなかったが、饒舌な彼が不機嫌であることは間違いない。
それは多分、自分が居間での交わりの際に声を上げたこととは別問題だろう。
奥まで入り込んだオリヴィエールの猛るものは、すでに中ではち切れそうになっている。鍛えられた鋼のように重く、固く、そして熱い。彼が動いてくれなければ、ベルティーユはもう自分で腰を動かすことなどできそうになかった。
それなのに、繋がった部分からは蜜が溢れ出し、相手の下肢を濡らし続けている。
「名前で呼んで」
「……オリヴィエール」
「もっと」
「……オリヴィエール……わたし、のオリヴィエール」
喘ぎながらベルティーユが呼ぶと、満足げにオリヴィエールは腰を動かし始めた。
緩慢に腰を揺らされるたび、ベルティーユの中がこすられ、奥が突かれる。
次第にその動きが速くなり、肌がぶつかる音と喘ぎ声、そしてオリヴィエールの唸り声だけが天蓋の中で響いた。
「――――――――――っ!」
ベルティーユが絶頂を迎えて意識を失いかけているのを確認しながら、オリヴィエールも中に吐精する。
「貴女が愛妾にふさわしい性技を身に付けられるよう、これから僕が貴女の稽古に協力するよ。 陛下の愛妾になる機会が得られるかどうかは――別問題だけどね」
愛妻がすでに意識を手放していることを確認してから、オリヴィエールは目を細めて呟いた。
深窓の令嬢として大切に育てられただけあり、ベルティーユは性に関する知識が乏しい。
男女が結婚して契りを結べば子供ができるということは知っていたが、その『契り』がどのようなものかは知らされていなかった。
当然、愛妾がどのような行為をするかも知るはずがない。
「もっと、大切に扱うつもりだったのに」
髪を乱し、汗と唾液で肌を濡らした妻の寝姿は、結婚前にオリヴィエールが妄想した以上に美しく、欲情を誘うものだ。
この姿を見ているだけで、一度は静まったものがすぐに力を取り戻してくる。
身体を繋いだまま妻を眺めていると、この劣情が途絶えることは一生ないと確信できる。
自分がいくら穢しても、乙女のような清らかで美しい笑顔を国王に向け、国王に心も身体も捧げたいと言うのだ。
アントワーヌ五世がさっさとロザージュ王国の王女の寝室に夜這いをかけに行くような人物であれば、オリヴィエールもこれほど心乱されることはなかったはずだ。
王がそのような人柄であれば、ベルティーユもこれほど愛妾になることにこだわらなかっただろう。
「ベルティーユ……こんなに貴女に溺れている僕を、どうか助けてくれないかい?」
力を取り戻した熱棒を動かしながら、オリヴィエールは懇願する。
ベルティーユは意識がないが、オリヴィエールのものが中で躍動するたび肉が彼をくわえ込み、猥らに誘ってくる。
激しく動くと眠りを妨げてしまうから、と静かに動くが、すぐにオリヴィエールの自制は効かなくなっていた。
なんどか抜き差しを繰り返し、大量の精を中に放出する。
新婚旅行から戻って以降、オリヴィエールの渇望は増す一方だった。
いずれは王太后か宰相がなにか仕掛けてくると予想はしていたが、想定よりもかなり早い。
それだけ、ロザージュ王国の王女はアントワーヌ五世の気を惹けていないということだ。
宰相ならば、ふたりに媚薬を飲ませて寝室に押し込むくらいのことはするべきだ。
国王妃になるという目標を断たれ、新たな人生を歩むために結婚したばかりの姪を王宮に出入りさせるなどもってのほかだ。
ベルティーユが妊娠すれば、それを理由に屋敷に閉じ込めておくことができるが、いまのところオリヴィエールの努力は実っていない。
「貴女を僕から奪おうとする者は、すべて敵だ。宰相であろうと、誰であろうと――」
まるで、部屋の外で耳を澄ませている者に聞かせるようにオリヴィエールは呟く。
声に出して宣言した途端、身体に力が籠もり、さらに下半身が熱を持つ。
どす黒い感情を持て余しながら、オリヴィエールは妻の中で動き続けた。
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