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第九章 宮廷の陰謀と公爵夫人の計謀
7 見知らぬ部屋
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(――ここは、一体どこ?)
ゆっくりと瞼を開けたベルティーユは、天井から垂れ下がる天蓋の布の模様をじっくりと見つめた。
藍色の布に金糸で薔薇模様が織り込まれている布は、寝台の周囲を暗くしている。
初めて見る光景に、ベルティーユは重い頭を手で押さえながら、ゆっくりと起き上がる。
絹の敷布で覆われた寝台には、いくつもの羽毛の枕が並べられている。
(金の薔薇……アントワーヌ五世陛下の紋章……よねぇ)
ラルジュ王国では、アントワーヌ五世だけが使う意匠が金の薔薇だ。大輪の八重の薔薇が金で描かれており、王族であってもアントワーヌ五世以外が使うことは許されない。
その金の薔薇の紋章が織り込まれた布が天蓋に使われているということは、普通に考えればここは王の寝室ということになる。
(なぜわたしはここに寝かされているのかしら)
寝台の横の脇机に置かれた三つ叉の燭台の蝋燭にはすべて明かりが灯されている。
ベルティーユは自分が王宮を訪れた際と同じ服装をしていることを確認し、乱れた裳裾を指で摘まんで直しながら、唸った。
(伯父様からお返事で「至急王宮へ来て欲しい」と書かれてきたから行ったものの、伯父様はそんな返事はしていないとおっしゃるし)
オリヴィエールの体調不良を理由に、訪問の延期を伝えた手紙の返事として、宰相から至急の訪問依頼がきた。
ところが、どうやらその手紙は偽物だったらしい。
伯父の執務室を出た後、帰ろうとするベルティーユを廊下で呼び止めたのはラクロワ伯爵だった。
彼と会うのは久しぶりだったベルティーユだが、ラクロワ伯爵から王太后のところを訪問するので一緒に行って欲しいと誘われた際、一度は断った。
なのに、相手はしつこくベルティーユにつきまとって追いかけてきた上、途中でなぜか王太后と廊下で鉢合わせをする羽目になったのだ。
(あれは、最初から仕組まれていたのでしょうね)
王太后と顔を合わせていなければ、ラクロワ伯爵がどれほどしつこくとも振り切ることができたが、王太后が偶然を装って声をかけてきたとなれば、立ち話だけして帰ることは難しい。
仕方なく王太后の部屋を訪ね、そこで出されたお茶とお菓子を口にしたところまでは覚えているが――。
(なにか薬を盛られた上、ここに運び込まれたということでしょうね)
状況は整理できた。
(でも、これから先になにが起こるかはわからないわ)
寝台から下りてみると、部屋には窓がなかった。
三方が壁で、出入り口として扉がひとつあるだけだ。
王の寝室ならば、窓から刺客が侵入しないとも限らないので壁に囲まれていることも理解できる。
ただ、窓からこっそりと抜け出すことはできない。
(誰がどうやってここまでわたしを運び込んだのかはわからないけれど、秘密の通路があるに違いないわ。ただ、暗くてよくわからないわね)
王宮には、王族だけが知っている秘密の通路があるのだと伯父から聞いたことがある。
万が一の場合には、その通路を使って王宮の外へ出ることができるのだそうだ。
王太后はその秘密の通路を使って、ベルティーユを王の寝室に運んだに違いない。普通の廊下を使ってベルティーユを王の寝室に運び込もうものなら、王の部屋を守る衛兵に止められるからだ。
いくら王太后とはいえ、王の許可なく他人を王の寝室に送り込むことはできない。
(王太后様。そこまでして陛下とわたしの間に既成事実をもうけたいんですか?)
よほど、ロザージュ王国王女が気に入らないのだろう。
とはいえ、ベルティーユもいまは「はい、わかりました」と言って王太后の言いなりになるわけにはいかない。
(伯父様が、ロザージュ王国との関係が微妙だとおっしゃっていたもの。このままわたしが陛下の愛妾になれば、また戦争に発展するかもしれないとのだとか)
宰相が言うことは理解できる。
多分、アントワーヌ五世とロザージュ王国王女の婚約が成立した時点から、二国間の事情は刻々と変わっているのだ。
ベルティーユがアントワーヌ五世の愛妾になると言い放ったときと、まったく違う情勢になっており、オリヴィエールや兄が苦笑いをした当時のように、軽々しく『王の愛妾希望』を宣言してはいけない状況なのだ。
特にベルティーユの場合、冗談でも言えない立場になってきている。
なのに王太后は、二国間に新たな火種を投げ込もうとしているのだ。
(王太后様は、情勢が見えていらっしゃらないのか、見えていても目をつぶっていらっしゃるのだ。そして、ラクロワ伯爵や一部の支援者たちが勧めるままに行動されている。もしこの計画が失敗したとしても、ラクロワ伯爵たちは王太后様に命じられたからやっただけだと言い訳をするだろう。王太后様は、ご自身がラクロワ伯爵たちに誘導されて起こしたことだとは気づかれないかもしれない。そうなると、ますます面倒なことになるでしょうね)
王太后が首謀者となると、国王や宰相は対処が難しくなる。
(わたしがいまできることは、誰にも見つからずにここから出ていくことだけなのだけれど)
この部屋のどこかにあるはずの秘密の通路を使えば、廊下の衛兵やアントワーヌ五世と顔を合わせることなく出て行くことは可能だ。
ただし、秘密の通路にはまだ王太后の配下がいる可能性はある。
(伯父様の密偵がここまで助けにきてくれるってのは、さすがに難しいでしょうねぇ)
ベルティーユが王太后の部屋まで行ったことは確認してくれているだろうが、密偵たちが王宮の秘密の通路を把握していたとしても、そこを利用できるとは思えない。
(なんとか衛兵たちに交渉してこの部屋からこっそり出してもらったとしても、誰にも見られずに出ていけるかというと、なかなか厳しいでしょうね)
王宮では人に見られていないようで、常に見られているものだ。
秘密の通路を利用せずに、侍従や女官、王宮で働く官吏たちの目をかいくぐってこっそりこの宮殿から抜け出すなど、密偵でない限りは困難だ。
(――どうしたものかしらね。これはさすがに『詰んだ』って局面かしら)
盤上の駒が身動きとれずになった場合と心境は同じだ。
ゆっくりと部屋の中を歩き回りながら、壁に手を当てて秘密の通路の扉はないものかとひとまず探してみることにする。
(ディスでもここまでたどり着くことはなかなか骨が折れる仕事でしょうし)
部屋の中を三周してもなにも見つけられずにベルティーユが大きく息を吐いたときだった。
がちゃり、と扉の向こう側で別の扉が開く音がした。
王の私室は二間続きだと聞いたことがある。
となると、この寝室の隣は居間だろう。
(侍従か女官かしら? それとも、まさか陛下?)
部屋には時計がないので、現在の時刻はわからない。
王太后の部屋に招かれた頃にはすでに日没直前だったので、すでに夜が更けていることは間違いないはずだが、王がこの部屋で就寝するために入ってきたのか、王の就寝準備のために侍従が入ってきたのかはわからない。
(と、とりあえず隠れましょう! って、どこに!?)
王の寝室はほぼ隠れる場所がない。
刺客対策なのだろうが、人が身を隠す場所をわざと作っていないのだろう。
仕方がないので、天蓋の幕の中に隠れようとしたが、そこで敷布に皺が寄っていることに気づいた。
(わたしが寝ていた跡が!)
慌てて敷布に手を当てて整えようとするが、寝台を整えたことなどないのでうまくいかない。
(なんか反対に散らかしているような気がする!)
慌てふためきながら、なんとか敷布の皺だけは隠したところで、寝室の扉が開く音が響いた。
「では陛下、おやすみなさいませ」
「あぁ、おやすみ」
アントワーヌ五世と侍従の声が扉の隙間から響く。
(あぁぁぁ――――――!)
普段から冷静沈着であると周囲から評価されているベルティーユも、このときばかりは頭をかかえるしかなかった。
「……誰か、いるのか?」
薄暗い部屋の中で人が動く気配に気づいたアントワーヌ五世が、低い声で訊ねた。
ゆっくりと瞼を開けたベルティーユは、天井から垂れ下がる天蓋の布の模様をじっくりと見つめた。
藍色の布に金糸で薔薇模様が織り込まれている布は、寝台の周囲を暗くしている。
初めて見る光景に、ベルティーユは重い頭を手で押さえながら、ゆっくりと起き上がる。
絹の敷布で覆われた寝台には、いくつもの羽毛の枕が並べられている。
(金の薔薇……アントワーヌ五世陛下の紋章……よねぇ)
ラルジュ王国では、アントワーヌ五世だけが使う意匠が金の薔薇だ。大輪の八重の薔薇が金で描かれており、王族であってもアントワーヌ五世以外が使うことは許されない。
その金の薔薇の紋章が織り込まれた布が天蓋に使われているということは、普通に考えればここは王の寝室ということになる。
(なぜわたしはここに寝かされているのかしら)
寝台の横の脇机に置かれた三つ叉の燭台の蝋燭にはすべて明かりが灯されている。
ベルティーユは自分が王宮を訪れた際と同じ服装をしていることを確認し、乱れた裳裾を指で摘まんで直しながら、唸った。
(伯父様からお返事で「至急王宮へ来て欲しい」と書かれてきたから行ったものの、伯父様はそんな返事はしていないとおっしゃるし)
オリヴィエールの体調不良を理由に、訪問の延期を伝えた手紙の返事として、宰相から至急の訪問依頼がきた。
ところが、どうやらその手紙は偽物だったらしい。
伯父の執務室を出た後、帰ろうとするベルティーユを廊下で呼び止めたのはラクロワ伯爵だった。
彼と会うのは久しぶりだったベルティーユだが、ラクロワ伯爵から王太后のところを訪問するので一緒に行って欲しいと誘われた際、一度は断った。
なのに、相手はしつこくベルティーユにつきまとって追いかけてきた上、途中でなぜか王太后と廊下で鉢合わせをする羽目になったのだ。
(あれは、最初から仕組まれていたのでしょうね)
王太后と顔を合わせていなければ、ラクロワ伯爵がどれほどしつこくとも振り切ることができたが、王太后が偶然を装って声をかけてきたとなれば、立ち話だけして帰ることは難しい。
仕方なく王太后の部屋を訪ね、そこで出されたお茶とお菓子を口にしたところまでは覚えているが――。
(なにか薬を盛られた上、ここに運び込まれたということでしょうね)
状況は整理できた。
(でも、これから先になにが起こるかはわからないわ)
寝台から下りてみると、部屋には窓がなかった。
三方が壁で、出入り口として扉がひとつあるだけだ。
王の寝室ならば、窓から刺客が侵入しないとも限らないので壁に囲まれていることも理解できる。
ただ、窓からこっそりと抜け出すことはできない。
(誰がどうやってここまでわたしを運び込んだのかはわからないけれど、秘密の通路があるに違いないわ。ただ、暗くてよくわからないわね)
王宮には、王族だけが知っている秘密の通路があるのだと伯父から聞いたことがある。
万が一の場合には、その通路を使って王宮の外へ出ることができるのだそうだ。
王太后はその秘密の通路を使って、ベルティーユを王の寝室に運んだに違いない。普通の廊下を使ってベルティーユを王の寝室に運び込もうものなら、王の部屋を守る衛兵に止められるからだ。
いくら王太后とはいえ、王の許可なく他人を王の寝室に送り込むことはできない。
(王太后様。そこまでして陛下とわたしの間に既成事実をもうけたいんですか?)
よほど、ロザージュ王国王女が気に入らないのだろう。
とはいえ、ベルティーユもいまは「はい、わかりました」と言って王太后の言いなりになるわけにはいかない。
(伯父様が、ロザージュ王国との関係が微妙だとおっしゃっていたもの。このままわたしが陛下の愛妾になれば、また戦争に発展するかもしれないとのだとか)
宰相が言うことは理解できる。
多分、アントワーヌ五世とロザージュ王国王女の婚約が成立した時点から、二国間の事情は刻々と変わっているのだ。
ベルティーユがアントワーヌ五世の愛妾になると言い放ったときと、まったく違う情勢になっており、オリヴィエールや兄が苦笑いをした当時のように、軽々しく『王の愛妾希望』を宣言してはいけない状況なのだ。
特にベルティーユの場合、冗談でも言えない立場になってきている。
なのに王太后は、二国間に新たな火種を投げ込もうとしているのだ。
(王太后様は、情勢が見えていらっしゃらないのか、見えていても目をつぶっていらっしゃるのだ。そして、ラクロワ伯爵や一部の支援者たちが勧めるままに行動されている。もしこの計画が失敗したとしても、ラクロワ伯爵たちは王太后様に命じられたからやっただけだと言い訳をするだろう。王太后様は、ご自身がラクロワ伯爵たちに誘導されて起こしたことだとは気づかれないかもしれない。そうなると、ますます面倒なことになるでしょうね)
王太后が首謀者となると、国王や宰相は対処が難しくなる。
(わたしがいまできることは、誰にも見つからずにここから出ていくことだけなのだけれど)
この部屋のどこかにあるはずの秘密の通路を使えば、廊下の衛兵やアントワーヌ五世と顔を合わせることなく出て行くことは可能だ。
ただし、秘密の通路にはまだ王太后の配下がいる可能性はある。
(伯父様の密偵がここまで助けにきてくれるってのは、さすがに難しいでしょうねぇ)
ベルティーユが王太后の部屋まで行ったことは確認してくれているだろうが、密偵たちが王宮の秘密の通路を把握していたとしても、そこを利用できるとは思えない。
(なんとか衛兵たちに交渉してこの部屋からこっそり出してもらったとしても、誰にも見られずに出ていけるかというと、なかなか厳しいでしょうね)
王宮では人に見られていないようで、常に見られているものだ。
秘密の通路を利用せずに、侍従や女官、王宮で働く官吏たちの目をかいくぐってこっそりこの宮殿から抜け出すなど、密偵でない限りは困難だ。
(――どうしたものかしらね。これはさすがに『詰んだ』って局面かしら)
盤上の駒が身動きとれずになった場合と心境は同じだ。
ゆっくりと部屋の中を歩き回りながら、壁に手を当てて秘密の通路の扉はないものかとひとまず探してみることにする。
(ディスでもここまでたどり着くことはなかなか骨が折れる仕事でしょうし)
部屋の中を三周してもなにも見つけられずにベルティーユが大きく息を吐いたときだった。
がちゃり、と扉の向こう側で別の扉が開く音がした。
王の私室は二間続きだと聞いたことがある。
となると、この寝室の隣は居間だろう。
(侍従か女官かしら? それとも、まさか陛下?)
部屋には時計がないので、現在の時刻はわからない。
王太后の部屋に招かれた頃にはすでに日没直前だったので、すでに夜が更けていることは間違いないはずだが、王がこの部屋で就寝するために入ってきたのか、王の就寝準備のために侍従が入ってきたのかはわからない。
(と、とりあえず隠れましょう! って、どこに!?)
王の寝室はほぼ隠れる場所がない。
刺客対策なのだろうが、人が身を隠す場所をわざと作っていないのだろう。
仕方がないので、天蓋の幕の中に隠れようとしたが、そこで敷布に皺が寄っていることに気づいた。
(わたしが寝ていた跡が!)
慌てて敷布に手を当てて整えようとするが、寝台を整えたことなどないのでうまくいかない。
(なんか反対に散らかしているような気がする!)
慌てふためきながら、なんとか敷布の皺だけは隠したところで、寝室の扉が開く音が響いた。
「では陛下、おやすみなさいませ」
「あぁ、おやすみ」
アントワーヌ五世と侍従の声が扉の隙間から響く。
(あぁぁぁ――――――!)
普段から冷静沈着であると周囲から評価されているベルティーユも、このときばかりは頭をかかえるしかなかった。
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