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しおりを挟む(お、おお王宮、これが大帝国の王宮!)
馬車の窓から外を見れば、立派な王宮が目の前にそびえ立っている。石造りの大きな門の中へ入ると広大な庭園があり、その美しさにまたツーツェイは震える。そんなツーツェイを心配そうに見つめるテオドールにぎこちない笑顔を返す。
「ごめんね、ツェイ。僕のせいで……」
ボードを鞄から取り出して『そんなことはありませんよ』と書くとテオドールは少しだけ頬を緩ませた。ペンを持つツーツェイの手に重なる大きな手。顔を上げれば表情を歪ませている。
「ツェイ……僕は……全てを陛下に伝えるつもりだ」
「ッ……」
「もしかすると……そうなったら……」
テオドールが伝えようとしていることはわかっている。自身が敵国であったリンドワール国の生まれであること。全てを隠してこの帝国で生きていたこと。
微かに震える手に自身の手をそっと重ねる。
――――『私も共にいきます』
そう心の中で伝える。心の中で囁いた言葉だったけれど、伝わったようにテオドールが『ありがとう、ツェイ』と微笑んだ。
◇◇◇
執事に通された謁見の間で頭を下げて待っていたが『頭をあげろ』という声が聞こえる。
(ど、どわぁっ!? めっちゃ綺麗な人たち!!)
その声に頭をあげれば、赤い絨毯の先にある金の装飾のされた椅子に座る藍色の髪に金色の瞳の四十代くらいの男性。皇族が着る厳格な服装をしていることから皇帝陛下なのだとすぐに気がつく。
それに皇帝陛下の横に立つツーツェイと同い年くらいの美青年。容姿が陛下にそっくりなので皇太子殿下なのだろう。
(め、め、目に焼き付けなければ! これは滅多にお目にかかれるレベルじゃないわ!!)
目を見開いて二人を交互に見て脳内で何度も記憶する。隣にいるテオドールが少し複雑そうに、珍しくツーツェイを睨んでいたのに気がついて、慌てて瞳を戻した。
「テオドール」
「はっ」
「いきなり辞職願を出して、勝手に行動し、事を荒立てたことはわかっているか」
「はい。それは自覚しております」
椅子に座りながら足を組んで見下ろす皇帝陛下に頭を深く下げる。
「罪は私だけにあります。それに私はずっと身分を偽っておりました」
「ほう。身分とは?」
「私はリンドワールの生まれでございます、陛下。それを隠し生きてまいりました。この罪は全て私にあります」
しんと場が静まりかえる。この謁見の間にいるのは、皇帝陛下とテオドール、ツーツェイ、それと皇太子殿下のみだ。
「ですので父と母は……」
――――バンッ!!
そのとき扉が開かれて入ってきたのはモーガンとセリニア。使用人たちが止めていたのを振り切ってきたのだろう。扉の隙間から見えた廊下にいる使用人たちの顔は青ざめていた。
「お父様、お母様っ、なぜっ……」
いきなり現れた二人に慌てるテオドールの隣に立つ。
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