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しおりを挟む「お前たちは呼んでいないが」
陛下の冷たい声にすぐに跪いて頭を下げた。
「どうか陛下。処分は私たちに……」
「お父様ッ!? やめてくださいっ!」
「お前は黙っていなさい!」
モーガンとセリニアの首を差し出すような格好にテオドールが立ち上がらせようと腕を掴もうとすれば、手で強く弾いて睨みつける。その気迫にテオドールが開いた口を閉じた。
「私たちがこの子を拾ったのです。リンドワールの子供だと知っていたうえで帝国民だとその素性を隠しました」
「全ての責任は私たちにあります。テオドールはなにも悪くありません」
また深く頭を下げる。そんな二人にテオドールが震えている。
ふむと陛下が考えるように手を顎にあててから、椅子から立ち上がった。その手に触れられるのは腰に吊るされた剣。
「父上……」
横にいた皇太子殿下が止めるように声をかけたが、その声を無視して近づく。
「陛下、どうかおやめ下さい。父と母は……」
跪く前に立つ皇帝陛下。すっと手を翳す。
(こ、こんなの……)
ツーツェイの額から流れる汗。金色の瞳が恐ろしく見下ろしたけれど……。
「お前たちはなにを盛り上がっているんだ?」
その瞳がすぐに弧を描いて、ふわりと笑う。かざされていた手はモーガンの肩を軽く叩いている。
(え?)
「ふ……はははっ! 良い家族愛を見せてもらった!」
(え? え? ええ?)
口を開けて笑う皇帝陛下に目を丸くしたけれど、そんな陛下に隣に立つ皇太子殿下が慣れたようにため息をついた。
「父上、その他者をからかって楽しむ癖はやめてほしいのですが……」
「ふっ、無理だろう!? こんなにも楽しいものはない」
笑いながらバンバンとモーガンの背中を叩けば、珍しくモーガンが怒ったように見上げている。
「おぉ、怖い怖い。昔のようにまた指導されるのは御免だぞ? モーガン」
「いえ、陛下も立派な大人になられたのでその癖は治られたと思ったのですが……」
「ふっ、お前たちも慌てふためく息子を見て楽しんでいたではないか。愛されているのを実感したかったのだろう?」
「それは……」
「日頃からうちの息子は本当に自分たちを愛しているのかわからないと嘆いていたではないか。いやぁ、そんな息子が身を呈して守ってくれるとは。よかったなモーガン、セリニア」
ニヤリと笑えばモーガンもその通りと肯定するように、深くため息をつく。隣に立つテオドールがわなわなと震えて顔を赤らめているのに『ごめんなさいね、テオドール』とセリニアが声を掛けるが恥ずかしいのか顔をぷいっと背けた。
「テオドール」
少しだけ笑うのをやめて皇帝陛下が横目でテオドールを見る。すぐに頭を下げたのにまたふっと笑う。
「お前がどこの生まれであろうと関係ない。帝国民であろがなかろうが、いままで帝国のために尽力してきたのは変わりないだろう?」
「陛下……」
「それにお前たちには感謝しているんだ」
ちらりとツーツェイを見たのに、ツーツェイが驚いて肩を震わす。
「ずっと探していたらしいからな」
そう呟けば、後ろから現れる人。
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