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しおりを挟むイオが作り出したこの山を見て、私は笑顔でイオを労った。
「お疲れ様、イオ。
流石としか言い様がないわね…」
「ふん、当たり前だ!
僕を誰だと思っている!」
胸を張り、嬉しそうな声で口にしたイオに私は苦笑をもらしながらも少しだけ魔力を渡す。
「…主と同じ味がする……」
主…というのはラディール、私の先祖の事だろう。
だが、それにしても同じ味がするって…。
魔力って一人一人違うと思うんだけど……先祖と同じって…これは、偶然?
それとも、銀魔法を持っているから?
「行くぞ~」
「はい」
私はラン先輩の後を歩き出す。
そして、魔力の事は考えても仕方ないと切り捨てた。
そして、しばらく進んだところでエデンとイオがピタリと足を止めた。
「エデン、イオ?」
その行動に私は2人の名を呼んだ。
だが、当の2人は静かに目を細めているだけだった。
そこにある、何か、目に見えない物を見るように。
そして、
「主よ、この先は進まぬ方が良い」
「…僕も、エデンに同意だね。
こんな迷宮に居るべきじゃない」
迷宮、そう口にした。
ここが迷宮であるという確信を持って口にするイオに私は驚いた。
「おーい、どうしたんだ?」
「あ…ラン先輩…その、イオがここは迷宮だと」
「なに…?」
流石のラン先輩でもそれには眉をピクリと動かした。
「リア、ここが迷宮だとしたら……」
「成長中、だな」
エデンが口を挟んだ。
そう、ここは成長中の迷宮ということになるのだ。
そうなると、迷宮内での魔法の発動が不安定になりやすく危険になり、なにより地図を作ってもすぐに場所が広がったり道が増えたりするので意味がなくなってしまうのだ。
「アメリア、迷宮攻略は何回だ?」
いつになく真剣な面差しでルガートさんは私に訪ねてきた。
少し考えてから私はその回数を口にした。
「5回、ですわね。
ただ、その全てにおいてお母様が一緒でしたが」
「他は」
「俺とラナスは授業で3回程度、だな…」
「僕達は2回程です」
「私も2回だ」
ルガートさんは少しだけ考えると自分のパーティーメンバーに声をかけた。
「分かっているな?」
「えぇ」
「はい!」
「取り敢えず、ここから出ることを考えるか……」
流石に成長中の迷宮内にいるのは危険と考えたのだろう。
迷宮から出るには入口から出るか、又は最下層にいるボスを倒すかのどちらかしか方法は無いのだ。
だが、この装備で実力の分からないボスに挑むのは危険すぎると踏んだのだろう。
「……こりゃ、ボスを倒すしか方法は無さそうだな…」
その言葉の通り、道は入り組んでいて戻ったところで迷う事が目に見えていた。
「はぁ…魔法は……駄目そうだな…」
ルガートさんが使用した魔法は魔力を練ったところで掻き消されてしまった。
それに私は違和感を覚えた。
私は今、魔力を広げているのにも関わらず掻き消されてはいないからだ。
「……レオは魔法を使用出来ますの?」
「………無理だな」
レオも魔力が発散してしまい魔法が発動まで至ることは無かった。
ということは人によって、というわけでもないらしい。
「サニアさんは使えますの?」
「うーん……あ、大丈夫そう」
サニアさんと私がいけたということは魔力操作の練度が原因だろう。
「練度か!」
「えぇ、そうだと思いますわ。
幸いと言うべきか私はお母様の訓練のおかげで使えそうですわね」
「他は使えないみたいだな…」
ルガートさん、トール先輩、ラン先輩の3人がそれを踏まえ話し合った後、陣形が決まった。
「前衛は、ルガートさん、ラン先輩、アメリアさんで。
中衛は、僕、ロイ、レオニード、サニアさん。
後衛はダリウスさん、レンファさん、ラナス先輩にお願いします。
ロイはいつでも交代出来るようにしておいて」
「おう」
「ふむ…1つ聞いて良いか?
何故、私とダリウスを後衛にした?」
スっとレンファさんの目が細められた。
「この迷宮は成長中でどこから魔物が湧き出るか分かりませんから。
ロイは徒手なのでそんなに体力が持ちませんし、レオニードは魔術師としての役割をしてもらいたいので自然とこのような配置になりました」
「承知」
「あぁ、分かった」
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