竜使いの伯爵令嬢は婚約破棄して冒険者として暮らしたい

紗砂

文字の大きさ
50 / 69

49

しおりを挟む

私達は洞窟の中を進んでいきながらかなりのオークを倒していた。
数で言えばもう50は超えていると思える程だ。


「はぁ、はぁ……」


やはり前衛3人の体力の消耗は激しくレオはギリギリの状態、ロイド先輩とラン先輩はもう既に倒れそうな程であった。
そしてそれはトール先輩やラナス先輩も同じようで息はかなり前から切れている。
だが、ずっと中衛で援護をしていた私だけは体力もあまり使っておらずピンピンしていた。


「ふぅ、はぁ…アメリア、さんは前衛…行ける?」

「問題ありませんわ」

「なら、ローテーション、で……」

「このくらいでしたら…そうですわね、1時間、1時間であれば1人で問題ありませんわ。
先輩方は一旦休憩をしていてください。
その間は私が持たせますわ」


トール先輩は私を見定める様な視線で見つめてきた後、頷いた。
レオは私の事をよく分かっているせいかすぐに近くの岩にもたれ掛かる。
ラン先輩とラナス先輩も同じ様に座り込んでいたがロイド先輩だけが私の横に並ぶようにして立っていた。


「ロイド先輩も休憩を……」

「はぁ……はぁ……キツいが、お前1人は流石に…」

「この程度でしたら魔力のみでカバー出来ますわ」


私はそんな言葉を口にしながら軽快にオークを倒し死体を積み上げていく。
その光景を見ていたロイド先輩も大丈夫だと分かったのか何も言わずに腰を下ろした。

だが、そこで約30程度の群が来る。
感覚からするとユニーク1、ジェネラルが5、未進化が25程度だと思う。
幸い、この洞窟の道は魔物…オーク達が通るには少し狭い道が多いため私は遠慮なく魔法を行使した。


『防御魔法-結界型-範囲指定-発動』


私と先輩達を含む範囲を結界で囲むと白銀と呼ばれる由来にもなった私のオリジナル魔法を使用する。


『銀魔法-短剣-行け』


簡単な命令なため、魔力の消費が少なくとってもエコ!

……まぁ、そんなこんなで残りはユニークとジェネラルが2体のみとなった。
あとは普通に戦えば問題無いと判断した私は結界の範囲を狭め再び銀を集め、私の好んで使う剣の大きさに変化させるとそのままジェネラルへと切りかかった。

カキン

剣の弾かれた音が洞窟内に響き渡った。
ギリギリではあるものの私の剣はオークに受け止められた………ようにも見られた。


「甘いですわ」


私はそのまま押し切って首を取るとそのままもう一体のオークの首をも狩った。
これはお母様から教わった事だ。

1度、剣を受け止められれば相手に油断が出来る。
そこを付けば簡単に倒せるのだと。

私はそれを忠実に再現しただけである。


「アメリア!!」


結界の中で先輩達やレオが叫ぶ声が聞こえた。
その理由はユニークにある。
ユニークのオークが私へ切りかかってきたのだ。
だが………。


「もう、終わっていますわ」


カンという音が響き渡り、私は銀で出来た鞘に剣を収めた。
そして、先程まで元気に動いていたユニークの奴を見た。
頭と胴体が切り離されたそのオークの姿を。


「…あまり、手応えがありませんでしたわね」

「リア!
後ろだ!」


レオの声で私は前に飛んだ。
改めて背後を見るとそこには何一つ傷のないユニークのオークがいた。
そして、先程倒したはずのオークが消えていた。
ただ、血がある事から幻覚といったものではない事が分かる。
という事は、つまり……。


「ユニークとしての能力は、『再生』ですわね」


全く嫌な能力だ。
倒しても倒しても回復するというのだから。


「リア、俺も…」

「いりませんわ。
回復するというのであれば回復しなくなるまで…又は、出来なくなるまで倒せば良いのでしょう?」


その部分はあの煉獄の娘であった。

流石のその言葉にはレオや先輩達も引いているかのように見えたがサニアさんに限っては

「流石は私のアメリア!
カッコいいです!」
などと悶えていた。

……見なかった事にしよう。


とはいえ、魔力をあまり使いたくなかった私はイオに頼むことにした。


「イオ」

「任せろ!」


そして、3分後、そこにはオークの死体が増えていた。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

答えられません、国家機密ですから

ととせ
恋愛
フェルディ男爵は「国家機密」を継承する特別な家だ。その後継であるジェシカは、伯爵邸のガゼボで令息セイルと向き合っていた。彼はジェシカを愛してると言うが、本当に欲しているのは「国家機密」であるのは明白。全てに疲れ果てていたジェシカは、一つの決断を彼に迫る。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

敗戦国の元王子へ 〜私を追放したせいで貴国は我が帝国に負けました。私はもう「敵国の皇后」ですので、頭が高いのではないでしょうか?〜

六角
恋愛
「可愛げがないから婚約破棄だ」 王国の公爵令嬢コーデリアは、その有能さゆえに「鉄の女」と疎まれ、無邪気な聖女を選んだ王太子によって国外追放された。 極寒の国境で凍える彼女を拾ったのは、敵対する帝国の「氷の皇帝」ジークハルト。 「私が求めていたのは、その頭脳だ」 皇帝は彼女の才能を高く評価し、なんと皇后として迎え入れた! コーデリアは得意の「物流管理」と「実務能力」で帝国を黄金時代へと導き、氷の皇帝から極上の溺愛を受けることに。 一方、彼女を失った王国はインフラが崩壊し、経済が破綻。焦った元婚約者は戦争を仕掛けてくるが、コーデリアの完璧な策の前に為す術なく敗北する。 和平交渉の席、泥まみれで土下座する元王子に対し、美しき皇后は冷ややかに言い放つ。 「頭が高いのではないでしょうか? 私はもう、貴国を支配する帝国の皇后ですので」 これは、捨てられた有能令嬢が、最強のパートナーと共に元祖国を「実務」で叩き潰し、世界一幸せになるまでの爽快な大逆転劇。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

放蕩な血

イシュタル
恋愛
王の婚約者として、華やかな未来を約束されていたシンシア・エルノワール侯爵令嬢。 だが、婚約破棄、娼館への転落、そして愛妾としての復帰──彼女の人生は、王の陰謀と愛に翻弄され続けた。 冷徹と名高い若き王、クラウド・ヴァルレイン。 その胸に秘められていたのは、ただ1人の女性への執着と、誰にも明かせぬ深い孤独。 「君が僕を“愛してる”と一言くれれば、この世のすべてが手に入る」 過去の罪、失われた記憶、そして命を懸けた選択。 光る蝶が導く真実の先で、ふたりが選んだのは、傷を抱えたまま愛し合う未来だった。 ⚠️この物語はフィクションです。やや強引なシーンがあります。本作はAIの生成した文章を一部使用しています。

処理中です...