竜使いの伯爵令嬢は婚約破棄して冒険者として暮らしたい

紗砂

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プロローグ

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「アメリア、お前の婚約者が決まった」


私、アメリア・ヴェノムは父の執務室でそんな事を突然告げられた。


「……は?」

「お前の婚約者はレオニード・ブシュベル。
侯爵家の三男だ」


そうですか。
私に拒否権というものはないのですね。
……いえ、レオニード様との婚約には文句はありめせんよ?
ですが、こうも突然に言われるのは辞めてほしいというだけで…。

それと…このお父様の体勢はどうにかならないのでしょうか?

お父様の首元にはナイフが輝いていた。
そのナイフをもっているのは私のお母様だ。
そして、侍従にはがいじめにされていた。


「……うわぁぁぁ!!
アメリアは、アメリアは渡さな…」

「何を言っている?」

「だがな、スカーレット!
あんな、あんな奴にアメリアを取られてたまるかぁぁぁぁぁぁ!!」


そう、子供のように喚き散らすお父様に対しお母様は笑顔で鳩尾に向かって拳を振り上げた。
これが今までの一連の流れだ。
何回か婚約の話はあったがとある理由から破談する。
その理由の1つがこの父である。


「ぐはっ……。
ァ、アメ…リア………」


……私は何かの劇を見せられているのでしょうか?
いえ、お母様が元冒険者なのは知っていましたよ?
私もお母様に仕込まれましたから。
ですが、お父様もかなりの実力者だったと聞いたのですが……。
お母様は何者ですか。


「アメリア、済まない…。
コイ…ラサールは私がどうにかする。
はぁ……全く…ラサールも伝えていなかったとはな……。
明日が顔合わせだ。
侍女には伝えてある」


お母様はうんざりしながらも重要な事を口にした。
……明日が顔合わせだと。


「……もう少し早くに教えてほしかったです」

「……済まない。
ラサールもそろそろ子供離れしてほしいものだ……」


お母様は相変わらずだ。
お父様の首を掴み持ち上げた。
お父様は小さく「グエッ」と呻くが誰も心配する者はいなかった。
……この家で1番怖いのはお母様なのである。

私は了承をすると執務室をあとにした。
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