12 / 69
11
しおりを挟む試験官の合図と共に横へと跳んだ私はカインと呼ばれた者の剣を受け流しつつ 隙を探す。
「ふははっ!
面白い!」
カインは戦闘狂とも捉えられる言葉を口にしつつもその剣は段々と早く、そして重くなっていった。
『強化魔法-全身強化』
カインがそう唱えた瞬間、剣の威力が倍以上に跳ね上がる。
それに思わず顔を顰めたもののすぐに対応し魔法を使用した。
『銀魔法-補強-纏い-発動』
私は素早く銀魔法を発動させ全身に鎧のように纏っていく。
だがそれは相手には分からないだろう。
何故なら纏ったと言っても薄く、しかも服の下なのだから。
「ぬっ!?」
「これで、終わりです」
私は跳躍するとそのままカインの背後をとり足を払うと首元にピタリと剣を当てた。
「なっ……カイン様はAランクだぞ!?」
「あの『暁の旅立ち』のメンバーが!?」
「なんだよあの子……」
そんな声が聞こえる中でカインは笑って立ち上がった。
そして私達は握手をすると自己紹介をしたのだった。
「俺はカインだ。
『暁の旅立ち』の前衛をやっている。
ランクはAだ」
「アメリア・ヴェノムです。
師は母、『戦火の天獄』スカーレットです」
私は貴族として軽く頭を下げる。
「アメリア…あぁ、何処かで聞いた事があると思っていたが……あの『白銀の騎士』か…」
「そう呼ばれる事もありますが……」
カインがボソッと呟いた私の二つ名に苦笑して答える。
白銀の騎士というのは私には合っていないように感じるのだからそれも仕方ないと思う。
「お前さん程の実力者なら『暁の旅立ち』に歓迎するぜ?」
「パーティー…ですか…。
学業に専念している間は考えませんが…。
卒業後、1年の間にお母様に追いつけなければお願い致しますわ」
冗談めいたように口にした言葉は私にとっての決意であり、たった1つの目標であった。
小さい頃からの夢。
それは私にとって何よりも大切な事なのだ。
「おう!
ま、頑張れや」
「はい、お母様に追いつけるよう頑張りますわ」
私は笑を浮かべると奥の第二試験場へと向かう。
そして、背後では『レオニード・ブシュベル』と名を呼んだ声が聞こえた。
どうやらレオニード様も戦闘科を選択していたらしい。
同じ戦闘科に進むとしたら面倒くさそうだと思いつつ、振り返る。
すると、苦戦していたようだがギリギリのところで負けてしまったらしい。
それでも合格の様でこちらに来る。
そして私を見つけたようで走りよる。
「アメリア、見ていたのか…」
「えぇ…まぁ。
名前が聞こえましたから」
「ここに居るって事は……」
「合格しましたわ。
第一試験は、ですが…」
Aランクに近いと言われているレオニード様だが負けた事については悔しいらしくいつもよりも元気がなかった。
「……あの方、カインはAランクですわ。
確かにレオニード様の力も至らなかったかもしれませんがAランクの者がそう簡単に倒されてしまってはギルドとしても、あの方としても不味いでしょう?
ですからこれでいいと思いますわ」
私は慰めるように口にしたものの私らしくないと心の隅で自嘲する。
「っ……。
だが、アメリアは勝ったんだろう?」
「当たり前ですわ。
私はSランクですわよ?
ランクが全てとは言いませんが、私には目標がありますもの。
ここで負けてはその目標に遠のいてしまうのですから勝つしかありませんわ」
私の目標は高いのだ。
あの、『戦火の天獄』、唯一のSSランク冒険者…。
そんなお母様の隣に立つには負けるわけにはいかない。
ただ、それだけだ。
「……俺は、お前に追いつく。
お前を守れる位に強くなる…」
「私の目標は、お母様の隣に立つことですわ。
この世界で二人目のSSランク冒険者となる事。
それが私の目標ですわ」
2人で自分の目標を言いあったものの私はレオニード様の言葉は頭に入ってきてはいなかった。
だからこそ、そう狼狽える事はなかったのだから。
「ですが…」
「だが……」
私達は互いの言いたい事が分かり、フッと笑った。
そして、二人して宣言した。
「「今は首席を目指します(す)」」
と。
堂々と宣言をした。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】嫌われ公女が継母になった結果
三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。
わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。
姉の婚約者と結婚しました。
黒蜜きな粉
恋愛
花嫁が結婚式の当日に逃亡した。
式場には両家の関係者だけではなく、すでに来賓がやってきている。
今さら式を中止にするとは言えない。
そうだ、花嫁の姉の代わりに妹を結婚させてしまえばいいじゃないか!
姉の代わりに辺境伯家に嫁がされることになったソフィア。
これも貴族として生まれてきた者の務めと割り切って嫁いだが、辺境伯はソフィアに興味を示さない。
それどころか指一本触れてこない。
「嫁いだ以上はなんとしても後継ぎを生まなければ!」
ソフィアは辺境伯に振りむいて貰おうと奮闘する。
2022/4/8
番外編完結
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
裏庭係の私、いつの間にか偉い人に気に入られていたようです
ルーシャオ
恋愛
宮廷メイドのエイダは、先輩メイドに頼まれ王城裏庭を掃除した——のだが、それが悪かった。「一体全体何をしているのだ! お前はクビだ!」「すみません、すみません!」なんと貴重な薬草や香木があることを知らず、草むしりや剪定をしてしまったのだ。そこへ、薬師のデ・ヴァレスの取りなしのおかげで何とか「裏庭の管理人」として首が繋がった。そこからエイダは学び始め、薬草の知識を増やしていく。その真面目さを買われて、薬師のデ・ヴァレスを通じてリュドミラ王太后に面会することに。そして、お見合いを勧められるのである。一方で、エイダを嵌めた先輩メイドたちは——?
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
十年間虐げられたお針子令嬢、冷徹侯爵に狂おしいほど愛される。
er
恋愛
十年前に両親を亡くしたセレスティーナは、後見人の叔父に財産を奪われ、物置部屋で使用人同然の扱いを受けていた。義妹ミレイユのために毎日ドレスを縫わされる日々——でも彼女には『星霜の記憶』という、物の過去と未来を視る特別な力があった。隠されていた舞踏会の招待状を見つけて決死の潜入を果たすと、冷徹で美しいヴィルフォール侯爵と運命の再会! 義妹のドレスが破れて大恥、叔父も悪事を暴かれて追放されるはめに。失われた伝説の刺繍技術を復活させたセレスティーナは宮廷筆頭職人に抜擢され、「ずっと君を探していた」と侯爵に溺愛される——
【完結】魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――
ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。
魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。
ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。
誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる