竜使いの伯爵令嬢は婚約破棄して冒険者として暮らしたい

紗砂

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私が目覚めてから約1ヶ月がたち、ついに入学試験の日が訪れた。

今まで頑張ってきた事、それはお母様やお父様にも無事認めて貰った。
だからこそ、今日ここで、私が入学試験を受ける事を認めてもらえたのだから。
特にお母様からは会場へ来る前に


『やるなら徹底的にやれ。
形だけのSランクでは無いという事を証明してみせろ。
信じているぞ、アメリア。
…私の愛しい娘よ』


そのお母様の期待に答えない訳にはいかないだろう。
それに私はSランク。
そう簡単に負けてはSランクとしての名と、私に剣を教えてくれたお母様、それにギルドの皆を裏切ることとなる。
こんなところで簡単に負けてはお母様に追いつくどころではないのだから。


「アメリア」

「レオニード様、お久しぶりです」


婚約者(仮)のレオニード様に挨拶をすると何故かこちらに寄ってきた。
きっと友人がいないのだろうと思わず同情の様な目になってしまう。


「おい、なんだその目は……」

「え、いえ……。
大丈夫ですわ。
きっとレオニード様の事を理解して下さる方がいらっしゃいますわ」

「おい、それは私の友人が少ないと言いたいのか?」

「はい…あ、いえ…いな…そ、そんな事ありませんわ」


つい正直に答えてしまった。
そのせいかレオニード様は私を睨みつけるかのように見つめてきた。
居心地が悪くなった私は思わず視線を逸らす。


「…もういい。
アメリア、お前はどの科を受けるんだ?
貴族院か?」

「あら、私がそんな科を受けると本気で思っているのですか?」

「…いや、そんな科ってお前も一応貴族の端くれだろうが……」


そう言われてようやく思い出すが確かに私も貴族の一人だった。

思い出せなかったのはこの頃勉強やダンスなんかよりも剣を降っている時間や魔法を使っている時間のほうが長かったからだろう。

だが、だからといって私が貴族院を選ぶかは関係ないと思う。
確かに貴族には貴族院を進めているがそれを選ばなければいけないという決まりは無い。
……まぁ、普通の令嬢であれば貴族院以外の選択肢は無いだろうが。


「私はヴェノム家に名を連ねる者ですもの。
ヴェノム家では貴族としての力よりも武力の方が重要視されますわ。
それに……私のお母様が誰だと思っているんですの?」


私の言葉にレオニード様は納得したのだろうが少し複雑そうな表情だった。


「21番、アメリア・ヴェノム!」

「はい。
では失礼致します、レオニード様」

「あ、あぁ…」


呆然としているレオニード様を置いて私は剣を腰にさしたまま中へと入っていく。
緊張はするがそこまでではない。
冒険者として活動をしている時よりは全然緊張していなかった。


「アメリア・ヴェノム、ヴェノム家長女、か。
この書類に不備がある。
書き直してくれ」

「不備、でしょうか?」


まさか、と思い私は首を傾げる。
そんな私に何を思ったのか見当違いの事を口にした。


「あぁ、希望の科が間違っているだろう。
これでは戦闘科になってしまう」


戦闘科で問題はないはずなのに、だ。
女禁制ということは聞いていないので問題ないと思うのだが。


「戦闘科を選びましたが…」

「…は?
……貴族院ではなく、か?」

「はい、私が選んだ科は戦闘科ですわ」


そうでなければこの学園を受けた意味が無い。
それだと言うのに試験官は笑い飛ばした。


「はははっ!
貴族が戦闘科だと?
それも男ではなく女が!
無理だ無理だ、やめておけ」


私は眉を潜め、どうするべきかと頭を巡らせる。
私はどうにかして戦闘科に入りたいのだ。
そして、お母様に追いつきたいのだ。


「…戦闘科の試験官は何方でしょうか?
その方を倒せば問題ありませんわよね?」

「くっ、くくっ!
あの人に勝つだなんて無理に決まってるだろう!
だが、いいだろう。
付いてこい」


私は大人しく試験官について行く事にし溜息をついて歩き出す。
試験早々、こんな事になるとは思ってはいなかったのだ。
分かってはいた事だが…女だからといって嘗めないでほしい。


「カイン様、もう1人お願いします。
カイン様に勝ったら…などと言っていたので本気でお願いします」

「お?
嬢ちゃんも戦闘科か?
…その髪、ヴェノム家か?
っつぅ事は…スカーレットの娘か」

「…それはどうでしょうか?」


私は意味深に微笑んだ。
バレては色々とめんどくさそうだっただけだが。


「まぁいい。
さっさと構えろ」

「はい。
手合せ、よろしくお願い致します」


私は頭を下げると試験官の合図と共に動き出したのであった。
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