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次の試験、第二試験は筆記試験だ。
内容は勿論簡単なもの。
そうでなければ貴族や商人の子ではない平民が入りにくくなってしまうからだ。
そのため、筆記試験の基準は低くなっているのだ。
それでも順位で張り出されるのでちゃんとやる必要があるのだが…。
「アメリア、二次試験の会場は違うようだ。
落ちるなよ?」
「レオニード様が落ちないよう、くれぐれもお気をつけくださいませ」
私はレオニード様に言い返すと顔を見ずにスカートを摘み貴族としての礼をしてからその場を去った。
レオニード様が、と言ったのは私は落ちないという意味を込めてのことだ。
「何あの子…。
ブシュベル様に対して失礼すぎよ!」
「あの態度、何処の家かしら?」
「あの様な子、貴族の恥さらしですわ!」
「公爵家であるブシュベル様にあんな礼儀…到底許されたものではありませんわ」
「それに、あんな子がブシュベル様に話しかけられるだなんて……」
「それをあんな態度で…」
などと背後から令嬢達の声が聞こえてくる。
家の事を言われると少しだけイラッときて色々と言ってやろうとも思ったがそうすると余計に悪く言われるだろうと今は辞める事にする。
試験が終了し最後の試験の前に休憩が挟まれる。
その休憩時間に私は次の魔法試験で使う魔法の事を考えていると先程の令嬢達が話かけてきた。
「あなた、少しよろしくて?」
「私達、お話があるのですが」
3人の令嬢の姿に私は諦めたように溜息を着くと席を立ち上がった。
「分かりましたわ。
場所は移動するのでしょう?」
「えぇ、分かっていただけたようで何よりです」
「誰であろうとリフィナ様に逆らえる訳がございませんわ!」
ご機嫌とりの様な会話を始める彼女達に再び小さく溜息をつく。
すると視界の隅にレオニード様がうつる。
「何も無いようでしたら失礼してもよろしいでしょうか?」
「なっ……ついてきなさい!」
やっと話が進むようだと私は黙って彼女達の後について行く。
そして人のいない路地裏にくると話を始めた。
「あなた、爵位は?」
「伯爵…ですが?」
「そう、私は公爵家よ」
私は彼女が何を言いたいのか分からずに戸惑うが何も言わない訳にはいかないだろうと思い口に出したのは……。
「そうですか…。
………よ、よろしくてお願い致します?」
「違いますわよ!
どうして私があなたなんかとよろしくしなければいけませんの!?」
怒鳴られてしまった。
どうやら私は答えを間違えてしまったらしい。
「あなた…ブシュベル様に対してあの態度は失礼でなくて!?
伯爵家ごときが公爵家であるブシュベル様に何故あんな口を聞いているんですの!?」
「レオニード様の事でしょうか?」
「なっ……名前で呼ぶだなんて……礼儀がなっていないにも程がありますわ!」
「そうですわ!
何故リフィナ様ではなくあなたが…!」
どうやらレオニード様のせいらしい。
まぁ、私の対応が悪かったのもあるだろうから仕方ないかもしれないが。
「でしたら…お願いですからレオニード様を私から遠ざけてくださいませんか?
お願い致しますわ。
本当に困っているのです。
レオニード様がいらっしゃる事で剣の練習が出来ない事もありますし、お母様との訓練の時間が削られてしまうのです。
ですから、どうか…どうかレオニード様を私から遠ざけてくださいませ」
私はチャンスだとばかりに頭を下げるものの令嬢達からは何も言われない。
何故かと思い顔を上げるとポカンとしていた。
また失敗してしまっただろうかと不安になり、口を開こうとした、その時だった。
「…アメリアに、私の婚約者に何か用か?
私の名が聞こえた気がするが…。
まさか、あなた方がアメリアを虐めていた…などという事ではないだろう?」
「…レオニード様、話をややこしくしないでください。
そして、婚約などもう解消出来るのでは?
『こんな男勝りな女』
などとは婚約したくないのでしょう?
私には婚約を破棄されても問題ない程の事がありました。
ですから、
『世も末』
…などという事は無くなるでしょう?」
私は笑顔で昔に言われた事を言ってやるとレオニード様は「うっ…」と言葉を詰まらせた。
「お前……意外と気にしていたのか」
「あら、そんな事ありませんわ。
えぇ、初対面で失礼だなんて思っていませんでしたわ」
「いや、アメリア。
お前だってあの時はかなり失礼な事を言ってなかったか?」
「あら、そうでしたか?
私は
『礼儀も弁えない方が婚約者など世も末では』
と言った覚えはありますが」
「あぁ、言ったな。
しかもその後は好き勝手言って出て行ってしまったしな」
それは…確かに私も悪かった。
お互いこの件には触れない方がいいだろう。
内容は勿論簡単なもの。
そうでなければ貴族や商人の子ではない平民が入りにくくなってしまうからだ。
そのため、筆記試験の基準は低くなっているのだ。
それでも順位で張り出されるのでちゃんとやる必要があるのだが…。
「アメリア、二次試験の会場は違うようだ。
落ちるなよ?」
「レオニード様が落ちないよう、くれぐれもお気をつけくださいませ」
私はレオニード様に言い返すと顔を見ずにスカートを摘み貴族としての礼をしてからその場を去った。
レオニード様が、と言ったのは私は落ちないという意味を込めてのことだ。
「何あの子…。
ブシュベル様に対して失礼すぎよ!」
「あの態度、何処の家かしら?」
「あの様な子、貴族の恥さらしですわ!」
「公爵家であるブシュベル様にあんな礼儀…到底許されたものではありませんわ」
「それに、あんな子がブシュベル様に話しかけられるだなんて……」
「それをあんな態度で…」
などと背後から令嬢達の声が聞こえてくる。
家の事を言われると少しだけイラッときて色々と言ってやろうとも思ったがそうすると余計に悪く言われるだろうと今は辞める事にする。
試験が終了し最後の試験の前に休憩が挟まれる。
その休憩時間に私は次の魔法試験で使う魔法の事を考えていると先程の令嬢達が話かけてきた。
「あなた、少しよろしくて?」
「私達、お話があるのですが」
3人の令嬢の姿に私は諦めたように溜息を着くと席を立ち上がった。
「分かりましたわ。
場所は移動するのでしょう?」
「えぇ、分かっていただけたようで何よりです」
「誰であろうとリフィナ様に逆らえる訳がございませんわ!」
ご機嫌とりの様な会話を始める彼女達に再び小さく溜息をつく。
すると視界の隅にレオニード様がうつる。
「何も無いようでしたら失礼してもよろしいでしょうか?」
「なっ……ついてきなさい!」
やっと話が進むようだと私は黙って彼女達の後について行く。
そして人のいない路地裏にくると話を始めた。
「あなた、爵位は?」
「伯爵…ですが?」
「そう、私は公爵家よ」
私は彼女が何を言いたいのか分からずに戸惑うが何も言わない訳にはいかないだろうと思い口に出したのは……。
「そうですか…。
………よ、よろしくてお願い致します?」
「違いますわよ!
どうして私があなたなんかとよろしくしなければいけませんの!?」
怒鳴られてしまった。
どうやら私は答えを間違えてしまったらしい。
「あなた…ブシュベル様に対してあの態度は失礼でなくて!?
伯爵家ごときが公爵家であるブシュベル様に何故あんな口を聞いているんですの!?」
「レオニード様の事でしょうか?」
「なっ……名前で呼ぶだなんて……礼儀がなっていないにも程がありますわ!」
「そうですわ!
何故リフィナ様ではなくあなたが…!」
どうやらレオニード様のせいらしい。
まぁ、私の対応が悪かったのもあるだろうから仕方ないかもしれないが。
「でしたら…お願いですからレオニード様を私から遠ざけてくださいませんか?
お願い致しますわ。
本当に困っているのです。
レオニード様がいらっしゃる事で剣の練習が出来ない事もありますし、お母様との訓練の時間が削られてしまうのです。
ですから、どうか…どうかレオニード様を私から遠ざけてくださいませ」
私はチャンスだとばかりに頭を下げるものの令嬢達からは何も言われない。
何故かと思い顔を上げるとポカンとしていた。
また失敗してしまっただろうかと不安になり、口を開こうとした、その時だった。
「…アメリアに、私の婚約者に何か用か?
私の名が聞こえた気がするが…。
まさか、あなた方がアメリアを虐めていた…などという事ではないだろう?」
「…レオニード様、話をややこしくしないでください。
そして、婚約などもう解消出来るのでは?
『こんな男勝りな女』
などとは婚約したくないのでしょう?
私には婚約を破棄されても問題ない程の事がありました。
ですから、
『世も末』
…などという事は無くなるでしょう?」
私は笑顔で昔に言われた事を言ってやるとレオニード様は「うっ…」と言葉を詰まらせた。
「お前……意外と気にしていたのか」
「あら、そんな事ありませんわ。
えぇ、初対面で失礼だなんて思っていませんでしたわ」
「いや、アメリア。
お前だってあの時はかなり失礼な事を言ってなかったか?」
「あら、そうでしたか?
私は
『礼儀も弁えない方が婚約者など世も末では』
と言った覚えはありますが」
「あぁ、言ったな。
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それは…確かに私も悪かった。
お互いこの件には触れない方がいいだろう。
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