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しおりを挟む「で?
私の婚約者に何をしていたのか聞かせてもらおうか?」
「あ、あ……ブシュベル、様…」
レオニード様は怒っているようで笑顔ではいたものの殺気が漏れ出している。
その殺気に触れたのか彼女達はガクガクと震えている。
「レオニード様には関係ありませんのでお帰りください」
「関係無くはないだろう…」
「関係ありませんわ」
しばらく見つめあっていたもののレオニード様が先に折れた。
レオニード様は盛大に溜息をつくと背を向けた。
「……分かった。
アメリア、先に行っている。
…遅れるなよ?」
「分かって頂けたようでなによりです」
レオニード様は複雑そうではいたものの戻ってくれた。
そしてそれを確認した私は振り返り令嬢達の話を聞こうとする。
「では話の続きを……」
「アメリアか?」
「はい、そうですが……ルガートさん?」
ルガートさんはここ、王都の冒険者でBランクだ。
昔、王都に来た時に知り合った人である。
「やっぱりアメリアか!
ひさしぶりだなぁ!
元気になったみてぇで良かったけどな!
ギルドの奴ら、皆心配してたんだぞ?」
「御心配をおかけしてしまい申し訳ありません。
ルガートさんはお元気そうで何よりです」
「おう!
アメリアは大丈夫か?
やっと起きたばっかだってのに……」
全て知っているようだったがここで言わないで欲しかった……。
剣が握れていなかったというだけでも悔しいのに……。
「えぇ、この通り元気ですわ。
こうして試験には間に合いましたもの」
「試験っていやぁカインを打ち負かした奴、お前だろ?」
ルガートさんにはバレているようで思わず苦笑を漏らす。
「お母様の教えに則っただけですわ」
「変わんねぇなぁ……。
アメリア、今度ギルドにも顔出せよ。
サニアもすげぇ狼狽えてたしな」
「はい、わかりました。
近いうちに必ず。
サニアさんにもよろしく伝えておいてください」
ギルドに行くという約束を交わすとルガートさんは笑ってどこかへ行った。
私は仕切り直すように令嬢達に向き合う。
「あ、あなた…起きたばかりって……」
「気にしないでくださると有難いのですが……」
「そんなの出来るわけ…」
困惑したような令嬢達の様子に私は深く溜息をついた。
そして、簡潔に答えることにした。
「1年程度眠ってしまっただけですから」
その声は自然と暗くなってしまった。
だが、その原因となったことについて私は何の後悔もしていなかった。
何故ならそれにより領地に住む人々を守れたから。
冒険者としても、貴族としても自分の役割を果たしたのだから。
それを後悔してはいけないと思うから。
だからこそ私は命を守れた事に誇りを抱いても後悔だけは絶対にしない。
後悔をしたら領民達に申し訳ないから。
貴族としてそれだけはしていけないと思えるから。
「1、年……?
なっ…ま、まさかあの『白銀の騎士』の噂は……」
「白銀の騎士…ですか……。
私の力が足りなかったために1年もの間、眠り続ける事になったのですが…。
それに…お母様の方が多くの魔物と戦い、討伐しました」
それなのに私が全てやったことのように……。
私はそれが許せなかった。
お母様が認められないという事が。
最年少Sランク、そんなもの何の役にも立ちはしない。
私にもっと力があれば…。
何度そう思っただろうか?
「あなた……」
「……私は、レオニード様との婚約を解消して頂くつもりですわ。
そして、1人の冒険者として生きていくつもりですの。
私にはリアンもいますし…」
私はレオニード様と初めてあった時よりもずっと前からそう思っていた。
冒険者として自由に生きたいと。
私の全てを剣に捧げて生きたいと。
それが私の『本当の』夢であり、叶えたい事だった。
お父様にもお母様にも言えない、私の本当の夢。
「……あなたは貴族としての責任がありませんの?」
「貴族としてやらなければいけない事は分かっていますわ。
ですが、私はこの国だけでなく世界を回ってみたいのです」
私がやらなければいけない事があるのは分かっている。
だがそれでも、1人の冒険者として旅をしてみたいと思ってしまうのだ。
だから…5年。
5年だけ世界を周る。
それからはちゃんと貴族としての義務を果たす。
それが私の決めた事。
それを口にすると令嬢達は何も言わずに立ち去って行った。
それからすぐに私は気づく。
そろそろ試験が始まってしまうと。
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