竜使いの伯爵令嬢は婚約破棄して冒険者として暮らしたい

紗砂

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私は急いで会場へと向かいなんとか時間内には間に合う事が出来た。
時間ギリギリに入ってきた私を見てレオニード様は顔を顰めたものの何も言うことはなかった。

試験が再開されすぐ、私の番となり名前を呼ばれ奥に行く。
そして得意な魔法を撃つ、と言われたため少し考えてから魔力を練り始めた。

初めは銀魔法にしようかとも思ったのだがそれではつまらないと思い水に変えてみた。
水もそれなりに使えるため問題ないだろうとの判断だ。


『属性魔法-水-形状指定-氷刃-発動』


氷で作られた冷たく鋭い刃はぐるぐると私の周りを回っている。
そしてその数は時間が経つ事にどんどんと増え、数本から数十本にまで増えていた。


『製造停止-集え-放て』


氷刃を作り出すのを止めるとそのまま1点に向けて放つ。
土煙が舞い、晴れた頃には巨大な氷剣となり地に刺さっていた。


「……解除をしてから行け。
文句無しの合格だ。
この先にいる者から指示を聞いてくれ」

「はい、ありがとうございました」


少しだけ緊張していたのか魔力の消耗のせいなのか…それとも両方かは知らないがドッと疲れが押し寄せてくる。

やはり私の次はレオニード様の様で名前が聞こえてくる。
レオニード様の使える魔法はあまり多くはないが火が使えると言っていたのできっと大丈夫だろう。

その証拠に背後からは炎の柱が見える。
私はそんなレオニード様らしい真っ直ぐな炎にフッと笑みを浮かべて通路を通って行く。


「あ、えーっと…君はアメリアさん、かな?
合格おめでとう」

「ありがとうございます」

「科目は……えっ…戦闘科!?
貴族院や領地経営科とかじゃ……」


また同じ様な事を言われ辟易とするが仕方ない。
戦闘科は本来、平民や貴族の三男以降の者が受けるような科目だからだ。
戦闘科で学べば将来は騎士や冒険者としても安泰と言われるのだ。
そんな科目に女であり、しかも貴族である私が入る事はありえないと言っていい程なのだから。


「戦闘科で間違いはありませんわ」

「そ、そう?
なら、向こうの赤のテントに行って。
そこで制服を渡されるはずだから。
あとの説明は向こうでしてくれるはずさ」

「分かりました。
ありがとうございます」


私がお礼を言い、離れると丁度レオニード様の方も説明が終了したらしく2人で行く事になった。

言われた通り、赤いテントに向かうとそこには黒主体で赤のラインの入った制服が用意されていた。


「おっ!
2人共戦闘科か?」

「はい」「あぁ」


先輩も同じ制服を着ているという事は戦闘科の先輩なのだろう。
そしてバッチを付けているがその色は黒だった。


「ここに名前を記入してくれ」

「はい。
レオニード様の名前も書いておきますか?」

「あぁ、頼む」


私は先輩から紙を受け取るとそこに2人分の名前を記入する。
記入し終わると先輩に渡す。


「アメリアとレオニードだな。
これが制服だ。
科目事に入っているラインが違うから気を付けろよ?
特に青は領地経営科で金は貴族院だからな。

バッチだが…これは色事でクラスが分かれている。
上から
黒→金→白→赤→青→黄だ。
1クラスにつき20人、これは他の科目もそうだがな。

戦闘科は剣、槍、弓、薙刀、斧、徒手、戦術に分かれているが…剣は多いから、
成績を取りたいなら余程の自信が無い限り、他のものを選ぶといい。

最後に…寮だな!
寮については基本、科目事に分かれている。
戦闘科は森の奥で校舎からは1番遠いが…その分、鍛えるには丁度いい場所だ」


色々と詳しく教えて貰った事にお礼を告げると私とレオニード様は宿に向かった。
因みに寮は男女同じらしい。
これは問題を起こしたりでもしたら退学になるためその様な馬鹿がいないからという理由の他に女が戦闘科に入る事がまずないからである。

途中まできたところで私はハッと思い出す。
ルガートさんにギルドへ顔を出せと言われていたのだ。


「レオニード様、私これから用があるので失礼致しますわ」


そう言って宿とは反対方向に向かおうとするもレオニード様も付いてきた。


「どうせギルドに行くんだろう?」

「……そうですが」

「私も行こう」


……それを断れるはずもなく、2人でギルドに向かう事となったのだった。
リアンの事もあるので早めに行って許可をもらっておきたいという事と断るのが面倒というのもあったのだが……。
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