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しおりを挟むギルドに入ると私は真っ先に受付でマスターを呼ぼうとするがそれを遮られてしまった。
「おいおい、ここは嬢ちゃんが来るような場所じゃないぜぇ?」
「嬢ちゃんみたいな弱い奴が居ていい所じゃねぇよ」
「おい、待てよ。
依頼をしに来たかもしれないだろ?」
いつから王都のギルドはこんなにも柄と質の悪い奴等ばかりになったのだろうか?
2年前はこんな人達はいなかったはずだ。
「……ご生憎、あなた方の様な弱い方々に出す依頼はありませんわ。
貴方方々程度の強さであれば自分でやった方が早いですから。
それよりも、そこをどいて下さりませんか?」
仮にもSランクである私を馬鹿にするならばそれなりの実力があるはずだ。
それなのに相手の実力が分からないとは……。
このギルドも地に落ちたという事だろうか?
「あぁん?
嬢ちゃんは親に年上を敬えっつぅ事すら教わってねぇのか?」
「あら、申し訳ありませんわ。
いくら年上と言えど、貴方方に敬う必要性が見つけられませんの。
それに…私、そう気が長い方ではございませんの。
ですから、どうです?
私が勝ったら今までの言葉、全て取り消しなさい。
その代わり、あなた達が勝ったら私を好きにしていいわ」
「……くっ…くくっ!
はははははっ!
そりゃあいい!」
「お受けいただけるようで何よりですわ。
では、移動致しましょうか」
私はレオニード様を置いて、私や家族を馬鹿にした奴等に対して報復するためにギルドの決闘場を借りる。
観客が結構いるようだがまぁ、問題はない。
私が勝つことには変わりはないのだ。
「私は勿論、1人でやりますわ。
あなた方は全員でかかって来てください。
……せいぜい、私を楽しませて下さる事を期待致しますわ。
では、どなたか合図をして頂けるかしら?」
「俺がやるぜ」
その声は聞き覚えのある…というか、最近聞いたばかりの声だった。
私が思わず見ると、やはりカインだった。
カインはニッと笑っていたが私は知らない振りを通す事にした。
「準備はいいな?
初め!!」
私はその合図を聞きながらも全く動かない。
それは相手も同じだ。
私はいくつか、わざと隙を作っているのに、だ。
「あら、来ませんの?」
「嬢ちゃんからやれよ」
「…では、お言葉に甘えて」
これ以上、無駄な時間を取りたくないという事もあり私は剣を構えて動く。
狙うは鳩尾だ。
私は一気に近付くと剣の刃が潰れた方で思い切り鳩尾の辺りへと打ち込む。
ガァーン!!
と、私が剣を打ち込んだ人が吹き飛ばされて壁へと当たってしまった。
どうやら少しばかりやりすぎたらしくその人物は気を失っていた。
他の者達もその光景を見ていたが…そのせいで隙が多くなっていた。
私は近くにいる人物から同じように鳩尾へち打ち込んでいく。
……そして、数分もしないうちに相手全員が気絶するという形をもって勝利したのだった。
それからすぐにマスターが来て、手早く担架で運んでいく。
「アメリア!
大丈夫!?
怪我は!
もう体はいいの?
大丈夫なんだね?
寝込んでいたと聞いて心配したんだ!」
会って早々、まくし立てたマスターに私は少しだけ顔を引き攣らせるがそれも私が心配させてしまった結果だ。
だが、その後私の無事を確認するとギュッと抱きしめられる。
「な、なっ……何をするんですの!?
マスター!?
は、離してくださっ……」
私が言い切る前にマスターから解放されると他の人物に抱きしめられる。
「そうですよマスター!!
私のアメリアです!
近付かないでください!
変態菌が伝染ったらどうしてくれるんですかっ!!」
「サ、サニアさん……?
離して……」
「アメリアアメリアアメリアアメリアアメリア!!」
「怖いですよ!?」
そこにルガートさんが来て、サニアさんを離してくれる。
私はルガートさんにお礼を伝えると雑談を初めようとする。
「アメリア、うちのギルドの馬鹿共が悪かったね。
これには追って処分を下す」
「マスター、気にしないでください。
この方達には私から殺らさせていただきますから」
「……そうかい?
なら、アメリアに任せるよ」
背後で何かブツブツと聞こえる気がするが私は聞こえない事にする事にした。
「あ、そうでした。
マスター、手合わせをお願い出来ませんか?
勿論、本気で、ですが……。
お母様がいませんから…他に相手が居ないんです」
私の言葉にマスターは苦笑しつつも引き受けてくれた。
その代わり、私が休日に赤い依頼の中のいくつかをやることになったが……。
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