竜使いの伯爵令嬢は婚約破棄して冒険者として暮らしたい

紗砂

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そして、私とマスターは今、闘技場で向かい合っている。
既に合図はされているが双方一歩も動くことなく相手の出方を待っていた。

先に動いたのは私だ。
無詠唱のため少し時間はかかったものの氷のナイフを3本服の中で作り上げていた。
そのうちの1本をマスターに投げると同時に斜め後ろへと下がる。


カンッという氷のナイフが弾かれたような音が聞こえると次の瞬間、マスターは強化魔法を自分にかけ、私に迫ってきた。


「本気なんだろう?
なら、アメリア。
君も使いなよ」


私はそんなマスターの言葉を聞きながら、防御魔法を踏み台にし上空へと旅に出る。


『オリジナル魔法-銀-槍-発動』


私は銀魔法を発動させ槍を数本作り出すと持ち前の器用さで槍を操りながらも剣で追いつめていく。


「さすがに手強い….か!」


マスターは吐き捨てるように口にすると勝負を決めようと先程とは比べ物にならないような速度で私に迫ってくる。
私は、マスターの攻撃を受け流すとそのまま槍を使いマスターの武器を跳ね返し首元へと剣を突きつける。


「勝負あり!
勝者、アメリア!!」    


私はフッと息をつくと発動していた魔法を消し、マスターにお礼を告げた。


「うぉぉぉぉ!!
あのマスターをやりやがった!!」

「Sランクを倒した!?」

「あんな年端もいかない女の子が!?」


そんな歓声に私は思わず苦笑を漏らす。


「遅くなったけど…アメリア。
Sランク昇格、おめでとう」

「っ……ありがとうございます」


そんな会話のせいかまた、ドッと声が上がる。
その声は私のランクについてだ。
不正をした、などと言う者がいないのはマスターとの勝負に勝ったからだろう。


「そう言えばアメリアは学園に入学するんだっけ?」

「はい。
無事、戦闘科に合格出来ましたわ」

「さすがアメリア。
応援しているよ」

「ありがとうございます」


私は笑みを浮かべてお礼を言った。
それは、合格出来たという実感と応援されているという事の2つが嬉しく、学園生活が楽しみだったからだ。


「あ…マスター、少し相談があるのですが……」


リアンの事について許可をとるのを忘れていたのだ。
ギリギリで思い出して良かった。


「うん?
あ~、じゃあ個室に移動しようか」

「お願い致しますわ。
…レオニード様も一緒に宜しいでしょうか?」


レオニード様を放っておくのも悪いと思っての事だ。
普段ならばあまり気にしないのだが。


「いいよ。
サニア、聞き耳をたてないようにね?」

「うっ……わ、分かっていますよ!」


私達はマスターの執務室へと移動をするとすぐに話を切り出した。


「マスター、私の契約獣が王都に入れるように許可証の発行をお願いしたいのですが……」

「契約獣?
アメリアの、ねぇ……?
考えない事もないけど……。
とりあえず種族は?」

「竜種です」

「そう。
竜種の……って……え?
竜種……竜種!?」


マスターは何度か竜種と繰り返した後、腰を浮かせた。
そして咳払いをしてから座り直すと先程よりも真面目そうな表情になった。


「竜種…許可は出せない事もないけど…。
色は?」

「白…ですね」

「いや、あれは銀だろ」


私は白混じりの銀という普通ではない、変異種のようなリアンの片翼を思い浮かべた。
白銀の翼と薔薇の模様を……。


「よりによって……まぁいいか。
アメリアだしね……。
1時間後にまた来てくれれば許可証を用意しておくよ」

「本当ですか!?
ありがとうございます!!」



その後、私は1時間待ち、無事許可証を手に入れる事が出来たのであった。
そしてそれから私の頭の上か腕の中には余程の事がない限り白銀の竜可愛らしい竜がいるのであった。
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