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しおりを挟む教官が開始を宣言してからすぐに私は右の背後へと飛ぶ。
白空を構えながら相手の動きの特徴を掴もうとジッと動きを見る。
『強化魔法-身体能力向上-発動』
かなり荒い発動の仕方ではあるが満遍なく行き渡っている魔力を見るとさすがSランクとしか言いようがない。
マルスは剣……大剣を構えると私に切りかかる。
斧のように荒々しい使い方だ。
きっと今まで力任せで倒してきたのだろう、そう思える程の荒い攻撃。
「……これで、Sランクですの?
マスターの方が余程強いですわね」
「あぁ?
テメェ…ちょこまかと……。
剣士ならしっかりと戦えやぁ!!」
再び切りかかってくるがその大剣の動きを見ると私は再び避けた。
そして、少し苛立ちを声に表す。
「あまり…あまり私を舐めないでくださいませ。
この様に手を抜かれるなど、不本意ですわ」
「……面白ぇじゃねぇか…。
いいぜ、そういうの、嫌いじゃねぇ」
『モードチェンジ-魔剣-エラルカ-発動』
すると、大剣が形状を変え炎を纏った剣となる。
大きさも代わり私の持つ白空と同じくらいの大きさまで縮んでいた。
「…それが本気、ですの?」
「あぁ。
テメェも本気を出せよ。
なぁ?
『戦火の騎士』いや、『白銀騎士』か?」
「……そうですわね。
では…と言いたいところですが…本来の戦い方では剣士とは言えませんから」
「そんなもん、関係ねぇだろうが。
さっさと出せよ」
その言葉に私は微笑むと白空を鞘にしまい白夜を抜いた。
『オリジナル魔法-銀-形状変化-槍-発動』
白夜が形状を変化させていく中、私は再び詠唱をした。
『強化魔法-指定-腕力-思考-発動』
強化により思考が先程よりも早くなり魔法の維持が楽になる。
そして腕力を強化したことにより重い一撃を与えることが出来る。
『属性魔法-風-浮遊-白夜-発動』
最後に浮遊の魔法を白夜にかけ終了だ。
槍を浮遊させ風で操りながら手元の白空で攻撃する。
それがこの頃の私のスタイルだった。
「では、参ります!」
私は一言声を掛けると槍で足止めをしようとマルスの足元に向かい攻撃するがそれは炎で防がせれた。
だが、それは元から分かっていたため私は動揺せずにマルスの背後へとまわり、隙をつく。
だが、マルスはそんな私にも対処してみせた。
それからしばらく打ち合っていたが、マルスが炎で私を呑み込もうとした。
私は一瞬考えてから対処出来なかったように見せかけて炎に自ら呑まれる。
とは言っても私の周りには結界が貼ってあるのだが。
「こんなもんか」
そんな声が聞こえ、成功したようだと口元に弧を描きしばらく地に落ちていた槍を勢いよくマルスへと向けた。
それと同時に先程から少しずつ集め作っていたナイフに電気を流し麻痺するように仕込む。
そしてそのナイフを上空へと投げると私は炎の中出て剣でふりかかる。
「チッ!
やるじゃねぇか!」
「この程度できないようではお母様を師に持つ資格などありませんわ!」
そして、先程投げたナイフがマルスの足に刺さったところで彼が気絶をして終わりを告げた。
「思ったより手こずりましたわね……」
『治癒魔法-範囲指定-発動』
ナイフの刺さったところに治癒をかけ、全ての魔法を解除する。
「リア!
大丈夫か?
怪我はないな?」
「アメリアさん!
大丈夫ですか!?」
レオとカナンさんは心配そうに駆けてきた。
そんな2人の大げさな様子にふふっと笑うと私は「心配ありませんわ」と微笑む。
「ならいいのだが……。
まぁ、いい。
おめでとう、リア」
「アメリアさん、凄かったです!
Sランク相手に勝っちゃうだなんて!」
カナンさんは私もSランクだという事を知らないらしい。
だが、まぁわざわざ教える必要も無いだろうと思い放置する事にした。
「ぐっ……」
マルスが起きたようで上半身を起こしていた。
「流石、スカーレットの娘だな。
あの、魔物大混乱を制圧したっつぅのも嘘じゃなさそうだ。
だが、1年も寝ていたってのは……」
「っ……あなたには関係の無い事ですわ」
私が少し殺気を込めるとマルスはバツの悪そうな表情で謝罪してきた。
「アメリアさん……1年寝ていたって……」
「カナン」
「あっ……す、すいません……」
私の表情を見たカナンさんはすぐに謝罪の言葉を口にした。
そんなカナンさんに私は苦笑して誤魔化す。
「永らく増えることのなかったSランクがスカーレットの娘とは……。
しかも、現段階で1番SSランクに近いってされているとはな……」
そんなマルスの言葉によりさらに騒がしくなる。
私は先程の事を忘れ思わず殴りたくなったがそこはちゃんと我慢した。
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