転生したようなので妹のために奮闘することにしました

紗砂

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入学試験でやりすぎたらしい

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お披露目会から2ヵ月。
私達姉妹はそれなりの魔法を使えるようになっていた。
エリーは風と聖は上級を、火は中級までを大抵使えるようになった。
私は風、水、闇と聖属性の中の結界魔法以外は最上級を結界魔法に関しては上級だ。
他の属性、火、土は上級、無属性は中級を使える。
……無属性だけ伸びないのが最近の悩みだ。

そして、今日は私達にとってもある特別な日だった。
……それは、魔法学園の入学試験だ。
私の場合は巫女という称号があるため、国の象徴となる身としても確実に上位の成績で入学しなければならない。
エリーの場合は10位以内に入らなければ村に帰らせられてしまうのだ。


「…お姉ちゃん」


エリーは不安気に私の服の裾を掴んでいた。
そんなエリーを安心させるように私は微笑む。


「エリー、大丈夫。
だってエリーは今まで頑張ってきたでしょう?
私はエリーを信じてる。
だから、エリーはエリーを信じる私を信じて?」

「…うん!
お姉ちゃん、ありがと!
私、絶対に10位以内に入る。
お姉ちゃんよりも上位に入るから!!」


エリーはもう大丈夫そうだ。
ならば問題があるとすれば私の方だろうし……。
無属性……どうしよう……。
不安しか無いや……。


「ルーシャ、エリアス様」

「アンリ…来てくださったのですか?」

「アンリミテッド様?」


アンリが来てくれると思って居なかったため、驚いたが……何故ここにいるのだろうか?
教会の方は大丈夫なのだろうか?


「えぇ、ご迷惑かと思ったのですが…どうしてもお伝えしたい事がございましたので」

「私達に…ですか?」

「…お姉ちゃん……」


何故かエリーは呆れているような声だったが……きっと気の所為だろう。
だが……アンリが伝えたい事とは何だろうか?
…まさか教会で何かあったとか!?
私の治癒魔法が下手すぎたとか!?


「…ルーシャ、エリアス様、試験頑張ってください。
私はこのような事しか出来ませんが…お二人が上位で合格なさると信じております。
ですから、私は教会でお二人の試験が無事終了する事を祈っております」


そんな、アンリらしい応援の言葉だった。
そのアンリらしさに私は思わず笑みを零し、お礼を告げる。


「ありがとうございます。
アンリがそう仰るのであれば安心出来ます。
では、行ってまいります」

「行ってらっしゃいませ」


私は馬車に乗り込み、馬車の中からアンリに向かって手を振った。
エリーはアンリの横を通り過ぎる時何か口にしたようだったが私には教えてくれなかった。


「お姉ちゃんは知らなくていいの!
お姉ちゃんは鈍感なんだからそのままでいて!」


などと言われてしまった。
……エリーに鈍感と言われた時はショックだったがエリーなりの愛情表情なのだと考えれば簡単に立ち直る事が出来た。

……ケヴィン?
あの王子なら先に行ったよ。
だって、私達とケヴィンは受付の場所と時間が違うからね。
学園の試験では差別する貴族がいるため受付場所や時間が異なるのだ。
ケヴィンは貴族で私達は平民。
それは、私が巫女だとしても変わることは無い。


「平民の人はこちらからになります!」

「お姉ちゃん!」


受付の人の声を聞いてエリーは笑って私に手を差し出した。
私はエリーの意を察し手を出すとエリーは嬉しそうに笑い私の手を握った。
私達は仲良く手を繋ぎ試験の受付をする。


「すいません」

「あ!
受験者ですよね!
お名前を教えてください!」


受付の赤い髪と瞳の女の先輩は笑顔で聞いてくる。


「ルシャーナとエリアスです」

「はい、ルシャ……み、みみみ巫女様!?」


どうやら私の名前は有名になったらしい。
……まぁ、巫女って事で色々なところで診察の手伝いとか、治療とかやってたもんね……。
知られてるのも仕方ないか。
……それに、何ヶ月か前に私について新聞にかかれたし。


「学園は貴族も平民も対等なのでしょう?
でしたら、私の事も巫女ではなくただのルシャーナとして扱ってください」

「は、はい!
失礼しました巫女さ……ルシャーナさん」


受付の人は素早く名簿に印を付け、私とエリーの受験番号のゼッケンを差し出した。
このゼッケンは魔法が組み込まれていてこの学園から出るととれるようになっているらしい。


「お姉ちゃんと会場別だ……」

「あ、本当だ…」


エリーがゼッケンに表示された会場を見て呟いた。
別々の会場っていうのは不安だけど……頑張ろう。
私とエリーはそれぞれ言葉を掛け合い自分の会場へと向かう。

最初の試験は筆記試験だ。
算術や魔法の基礎などの簡単な問題がいくつか出題される。
私はその問題をスラスラと解いていく。
会場の違うエリーの事は心配ないだろうと自分の事だけに集中していた。

次は魔法試験だ。
私にとっては1番の難題であり、重要なところだ。
アンリは私ならば問題ないと言っていたが心配なものは心配なのだ。
だが、予想に反し出された課題は簡単なものだった。
得意な魔法を使用し指定された的を破壊する事だったのだ。

私の順番は一番最後だったのだが的を破壊するものは居なかった。
最高でも的に当てられたものがいただけだ。


「次」


ついに私の順番が回ってきた。
得意魔法で破壊と言われたが私の得意魔法は風・水・聖だ。
闇はリオの力が殆どのため私の得意魔法とはいえないだろう。
と、なればどれが一番いいだろうか?
やはり風が一番いいだろう。
風ならば確実に届くし傷くらいはつけられるだろう。
そう判断したのだ。


「決めた。
風にしよう。

『風よ。
自由を尊び気高き風達よ。
私の声に答えて。
私の魔力を糧に鋭き風の刃を作り出せ。
人間ではないものを切り裂け』」


私の詠唱が終えると風が巻き起こり人以外を切り刻んでいく。
……久しぶりにこの魔法を使ったせいか少しやりすぎたようだ。
…失敗は成功のもとって言うし…仕方ない、よね?

私は恐る恐る試験官を見ると呆然と口を開けていた。
……それはそうだろう。
この会場がきれいさっぱり無くなったのだから。


「な、な、何ですかこれは!?
誰がこんな大業な魔法を放てと言ったんですか!?」

「す、すいません!
で、ですがこの魔法、初級ですよ!?」


そう。
私の放った魔法は初級だった。
その位で対処出来ると判断したからなのだが……。
それでもどうやらやりすぎたらしい。


「……は?
今、なんと?」

「ですから、この魔法は初級魔法なんですよ!」


試験官は私の言葉を聞いた後、会場だった場所を見た。
そして私と会場跡を何度か見比べた後、叫んだ。


「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「す、すいません!!
直します!
直しますから!!」


えっと……これを直すのは闇か聖、無だよね?
無はできないから、聖か闇か。
闇はあまり使いたくないから聖だよね。
この頃ラスも呼び出して無かったから拗ねるし……この際ラスにやってもらおう!


「ラス、お願いします!」

「ふむ、ようやく呼んだか。
遅いぞ、ルーシャ。
まぁいい。
これを直せばいいのだろう?」


ラスが指を動かすと風が切り裂いた建物は元の形を取り戻し、やがて最初と同じように、いや、それ以上に綺麗な状態へと戻った。
それを満足そうにラス#____#は眺め消えてしまった。


「ルーシャ、お前の部屋で待っているぞ」


とだけ残して。
そして、試験官は遂に倒れてしまった。


「うぇぇ!?
試験官さん!?
ち、治癒魔法!!」

『……ルーシャ』


えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?
リオにまで呆れられた!?


「……はっ!?
…変な夢を見た気が…夢じゃなかった!?」


後で知った事だがどうやらエリーの会場にまで被害が出ていたらしい。
エリーには

「お姉ちゃんやりすぎ!」

と可愛く叱られた。

そして、帰りに教会に寄りアンリにお礼を言う。


「アンリ」

「ルーシャ?
無事に試験が終了したようで良かったです。
試験会場を壊した受験者がいると聞きましたが……お怪我はありませんでしたか?」


……アンリの優しさが痛かった。


「……ルーシャ?」


私が何も答えなかったからだろう。
アンリは心配そうに私の名を呼んだ。


「……すいません。
その試験会場壊したの、多分私の事です…」

「……は?」


おぉ!
アンリのこんな表情初めて見た!
レアだ!  


「……ルーシャ、何の魔法を使ったのですか?」

「風の初級を……」


するとアンリはまたもや間抜けな顔になった。


「……風の、初級…ですか?」

「はい……」


アンリは呆れたような、諦めたようなため息をついた。


「どれだけ高魔力なんですか……」

「わ、私は普通です!」

「普通ならば会場を破壊する事はありません」


ごもっともで……。


「……これからは注意してください」

「はい……」


アンリはため息をつくと笑みを浮かべた。


「それはそうと、お疲れ様でした」

「ありがとうございます、アンリ」

「ありがとうございます」


私に続いてエリーもお礼を告げる。

本当、色々な意味で疲れたよ。
治癒魔法で試験官さんが中々治らなかったり……。
初級魔法なのに会場壊れたり……。
もう少し頑丈だと思ってたのに……。

あれじゃあ私がおかしいみたいじゃないか。
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