転生したようなので妹のために奮闘することにしました

紗砂

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1年は強く危険らしい

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それぞれ2回戦が終了し、残ったのは25名、その中でも1年は4名、2年3名、3年18名と2年よりも1年が多い状態だ。
私、エリー、リマの他に残っている1年はケヴィンだった。
そして、3回戦は1人、シードがいる。
その人物はリマだ。
この無条件での進出に嫌そうな表情をしていたが魔力もあまり残って居なかったようだ。


「リマ、落ち着いて……」

「だって、ルーやエリアスさんが堂々と勝ち進むのに私だけ何もやらずに進むなんて……そんなの嫌ですわ!」


と、いう事だ。
これには周りの先輩方も機嫌を悪くする。
何故なら自分達よりも私達1年の方が強いと言ってるようなものだから。
それに慌ててリマを止めるが聞く様子もない。


「…リマ、応援よろしく!
私、リマの応援に答えるように頑張るから、ね?」

「…………不本意ですが、分かりましたわ」

「それに、私とリマが戦った時にリマの魔力が足りなくならないようにちゃんと魔力を回復させて?」

「っ…分かりましたの。
ルー、絶対に勝ってきてくださいまし」

「勿論!」


リマは私が答えると上へ上がって行った。
…直に見てくれるという事だろう。

優勝してお母さんやお父さんにお金を渡したい。
それに……将来、私が称号を明かし表舞台に出た時…『俺(私)巫女に勝った事がある』とか言われたくないし……。

使っていい属性は、水・風・聖の三属性のみ。
他の属性は使わない。
水も出来るだけ使わない。
風と聖の二属性だと思わせる。

そう決めて私はステージへと上がった。


『3回戦、5番目となる選手は…1年、ルシャーナと、同じく1年、ケルヴィンだぁ!
どちらが4回戦へと進むのか!?
初め!!』


「……ルーシャ様がお相手だとしても…負けるわけにはいきません」

「……私だって負けるつもりはないよ」


それぞれスタート位置から少しずつ後ろに下がる。


「『風よ。
自由を尊びし気高き風達よ。
私の声に答えて』」


その3節だけで私の周りには風が吹き荒れる。
だが、まだ私の詠唱は終わっていない。


「『それは鋭き刃となりて身に降り注ぐ。
その時あなたは何を願い何を望むのか。
私が願うは風花のみ。
さぁ、花達よ。
気高き風に煽られて
この世界を美しいその色で染め上げて』」

「『発動しろ』」


ケヴィンの魔法と私の魔法のトリガーを発言した時は同時だった。
そして、ケヴィンは私の魔法を尽く避けた。
これはケヴィンの無属性魔法だろう。


「なら、これかな?

『私は否定する。
私を害す全てのものを!』」


これでケヴィンは私を傷つける事は出来ない。
これで私の敗北条件は場外へ出ることと魔力を全て消費すること。
あとはリタイアのみ。

ケヴィンは懐から1つの種を取り出した。


「『その止まりし時を今一度解き放て』」


ケヴィンの取り出した種は急に成長し始め、その大きさは軽々と私を超えていく。


「『光よ。
全ての闇を照らす暖かく眩しい輝きよ。
私の声に答えて。
この道の先、あなたという光がある事を私は信じよう。
さぁ、この闇をその光で切り裂いて』」


これは、簡単な聖属性の攻撃魔法。
この魔法は威力が無いぶん広範囲に渡り攻撃出来るのだ。


「『風よ。
自由を尊びし気高き風達よ。
私の声に答えて。
私の眼前にいる者を吹き飛ばせ』」


私は普通よりも魔力を多めに込めた。
すると、魔力は暴走寸前まで膨れ上がる。
誰もが暴走したと思っただろう。
……誰も、私が意図的に暴走させようとしているとは思わないはずだ。
気付いたのはケヴィンだけ。

そして、ドォーンという音と共に私の魔力は爆発した。
そこに風の魔法が加わりケヴィンは場外まで吹き飛ばされた。


『な、なんと!
意図的に暴走させたとしか思えないタイミングだ!
それにより勝者は1年、白銀の治癒術師ルシャーナ!!』


……少し手こずったけど勝てたからいっか。
帰ったら色々と研究しよう。
というか、何故その名を知っているんだ!?

それは、私が教会で呼ばれている名前だ。
何回か治癒を施しているうちにそう名付けられた。
白銀は私の髪色からきたものだ。


「ルー!」

「リマ」


控え室に戻るとリマが抱きついてきた。


「ルー、冷や冷やしましたわ!
もっと早く決着をつけて欲しかったですの!」


そう怒られてしまった。
私はごめん、と言うがリマは尚も怒り続けた。


「リマーニさん、大丈夫!
お姉ちゃんは負けないもん!
ね、お姉ちゃん!」

「勿論」


私を信じてくれるエリーの頭を私は優しく撫でる。
リマも溜飲を下ろしたらしく、落ち着いた。

後1回、私は勝てばその次に当たるのはエリーだ。
そして、それに勝てば…決勝戦。
それは、リマと当たる。


…そして、エリーは私の期待に答えるようにすぐに試合を終えて戻ってきた。
……勿論、勝って。


「リマ、次の試合、頑張って!」


次はリマの番、先程のシードもあり魔力は大分回復したようだ。


「勿論ですわ。
決勝でルーを倒しますもの」

「負けないよ?」

「私だって負けるつもりはありませんわ」


リマは不敵に微笑むとしっかりとした足取りでステージに向かった。
その姿は貴族らしくカッコイイ。


「嬢ちゃん、降りとけ。
俺の魔法はちょいと危険だぜ?」

「少ししか危険はないのでしょう?
ならば問題ありませんわ。
……私の友人に校舎を破壊する方が居ますから」


……心外な!!
私は場外からリマに対して反論した。


「壊してない!
未遂だからね!?
ちゃんと途中で止めたから!!」

「…お姉ちゃん、それあまり変わらないと思う…」


エリーに呆れられた。
…心外だ。
本当に心外だ。
私はまだ校舎は壊した事が無いのに!!
私が壊したのは教室と最初の試験場だけだ!


「………嬢ちゃん、苦労してそうだな…」

「………えぇ、本当に……。
ですが、ルーと決勝で戦うためにも勝たせていただきますわ」

「嬢ちゃんに負ける気はねぇよ。

『猛々しく燃え盛る獄炎よ!
俺の声に応じ全てを燃やし尽くす業火となりてこの場に顕現しろ!
代償は俺の魔力。
燃やしつくせ!!』」


随分と荒々しい先輩の様だ。
早速上級を放って来るなんて。
リマは1年なんだから少しくらい油断しそうなものなのに…。


「その位でしたらルーの魔法の方が断然怖…強力ですわ!

『その光は静かに降り注ぐ。
それは硬く、優しく暖かい。
私を守る絶対の壁となりなさい!』」


最初の頃よりも随分と厚く、硬そうな防御結界だった。
リマが貼った結界は先輩の炎を簡単に防いでしまう。


「私、水属性も持っていますの。

『清き水よ。
私の声に答えてください。
このステージを清めなさい!』」


リマは本当に成長したと思う。
あの3句で上級並の魔法を使えるようになったのだから。
最初から水属性が飛び抜けて上手かったが更に磨きがかかっている。

……このままでは私もすぐに抜かされるかもしれないと危機感を感じるほどだ。


「私も負けていられないなぁ……」


なんて、呟いてから私はリマを労うために降りていった。
リマが戻ってくるとすぐに次の試合が始まる。
……その次の試合は私の番ということもあり結構緊張する。


「リマ、お疲れ様」

「ありがとうございますわ、ルー」


『勝者、ガルード・レタント』


もう勝敗が付いたらしい。
…と、いう事は次は私の番だ。
人数も少なくなり、強者だけが残っていることもあり少し緊張してくる。
それでも、必ず勝つと決め私は前を向いた。


「ルシャーナちゃん、だったっけ?
1年でここまで進んだのは凄い強運だったね。
他の1年もそうだけど……。
本当、1年に負けるなんてありえないよね。
だから、何をしたのか教えてくれないかな?
あの貴族の娘は買収でもしたのかな?
もしかして替え玉とか?」


相手の男が言葉を重ねる事に私の不機嫌さが増していく。
リマを侮辱するようなその言葉、エリーの頑張りを否定するようなその言葉は私にとって到底許せるものではなかった。


「取り消して。
リマは、エリーは!
そんな事していない!
実力なんだ!
何も知らない癖に2人を侮辱しないで!」

「魔法の授業が始まって間もない1年が上級魔法を使えるわけが無い。
それこそ、替え玉とかね」


その言葉で私はブチ切れた。


「もう、いいや。
ふふっ…ふふふ………。
………後悔させてやる」


私はリオに呼びかけ少しだけ力を貸してもらう。
そして、その力と混ぜ合わせるように詠唱を開始した。


「『世界を構成する全てに告げる。
深紅の薔薇のように燃え上がる炎よ。
静かに流れし清らかな水よ。
自由を尊びし気高き風よ。
世界を支えし偉大なる土よ。
闇をも包み込みし暖かな優しき光よ。
光と共に生きし怒りの闇よ。
その全てに属さぬ無よ』」

「不味い!!
ルシャーナ!
それ以上の詠唱は…!!」


私の耳に国王の声は届くことはなく、詠唱を継続する。


「1年が……。
先輩に勝てると思い上がるな!」


先輩は私に向かって様々魔法を放つ。
だが、リオの魔法がそれを尽く無効化していく。


「…どんなズルをしている!?」


それでも尚、認めない先輩に私は更に怒りを覚える。


「『私は大切な者への侮辱は許さない。
世界よ。
私の願いを聞き届けて。
私の怒りに触れた者に裁きの鉄槌を!!』」


私の周りの魔力が厚くなるにつれ、危険だと判断したのだろう。
先輩が後ろに下がろうとする。


「『私の魔力と怒りを糧に発動しろ!』」


長い詠唱が終わり魔力は大きな塊に収縮していた。


「ルシャーナ!!
辞めよ!
相手を殺すつもりか!」


不意に国王のそんな声が聞こえた。


「……え?」


殺すなんて何を言っているのだろうか、そう思い上を見ると先程の何倍もの大きさに膨れ上がった魔力の塊がそこにあった。


「………ラ、ラララララスゥゥ!!
リオも!!
あれ消してぇぇぇぇぇ!!」


私は慌ててリオとラスを呼びあの魔力の塊を消して貰った。

…なんとか抑えられて何よりだよ。


「ルーシャ、あれだけの魔力を消費して大丈夫なのか?」

「え?
あ、うん。
問題ないよ」

「それならば良かった」

「駄目!!
ルーシャは僕だけのものなの!!
誰にも渡さないからね!!」

「…ほう?
ルーシャは私の大切な友人だ。
お前に言われてそう易々と下るほど私は落ちぶれてはいないぞ?」

「何で喧嘩になってるの!?」

「「こいつが嫌いだから(気に食わないからだな)」」 


分かってはいたが2人の相性は最悪らしい。
…どうしたものか。


「……審判、これは反則じゃないのか?」

『……ハッ!!
1年ルシャーナ、反そ……』

「ねぇ…。
君、今ルーシャを呼び捨てにしたよね?」

「私もそう聞こえたな。
ルーシャを呼び捨てにするのは私が許さぬ」


急に連携を取り実況兼審判を務める先輩に敵意を向けた。


「癪だが……お前の魔法をあいつにかけろ」

「言われなくとも!
ルーシャを呼び捨てにしたんだから!」

「うわぁぁぁぁぁ!!
2人とも何やろうとしてるの!?」

「「敵を屠る(消し去る)」」


2人の目は本気だった。
それに慌てたのは私と敵認定されている先輩だ。


「駄目だよ!?
何サラっと言ってるの!?」


2人を落ち着かせるまでに案外時間をとってしまった。
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