転生したようなので妹のために奮闘することにしました

紗砂

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決着らしい

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『えぇ、1年ルシャーナが呼び出したのは精霊という事で続行となります!』


と、いう事で私はリオとラスを帰し試合を続ける事となった。
……ラスの場合、精霊は精霊だけど、そこに神ってついちゃうんだよね。
それに、リオは悪魔だし。


「さて……2人を侮辱したのは忘れてないので……。
少しだけ……。

『魔力第一段階解放』

と」


私は魔力が高すぎるということで普段はなん段階化に分けて封印している。
その一段階を解放しただけの事だ。
まぁ、これだけで魔法の威力は数倍に跳ね上がるのだが。


「ふふっ……。
これは久しぶりですが……。

『風よ。
自由を尊びし気高き風の女王よ。
私はあなたを望みます。
私が求めるは眼前の敵を切り伏せし偉大なる風の力なり。
私の求めに応じ女王よその力を持ちて切り伏せよ!』」


すると、いつもよりも強く風が吹く。
それは暴風というよりも鈍器で殴られているような感覚にさせる程に強く、激しい風だった。
流石は風達の王。
私の友人であり、仲間であった者。
私の呼びかけに答えてくれない時もあったが……。
だが、今回は答えてくれたらしい。


『ルーシャの魂を持つ者よ。
我が名はシルフィード。
後程契約を結ぼうぞ』


そう聞こえたと思ったら風はやみ、相手は場外へと出ていた。
……ただ、気になったのはシルフィーは私の記憶が無いと思っているのだろうか。


「これは後で聞いてみるか…」

『勝者、ルシャーナ!!
一時はどうなるかと思ったが無事、勝利を収めた!!
流石は白銀の風!
これは、優勝が狙えるかぁぁ!?』

「白銀の風って何!?
その恥ずかしい名前嫌なんだけど!?」


却下するも聞こえていないようで渋々、私は退場した。
しかも、何故私だけコロコロと呼び名が変わるのか。
……本当に気に食わない。


「お姉ちゃん、お疲れ様!」

「ありがとう、エリー。
行ってらっしゃい。
応援してるよ」

「うん!」


私とエリーはすれ違いざまに短く会話を交わし、私は控え室に、エリーはステージへと向かった。


「ルー、先ほどのものはなんですの!?」

「それは全部終わったら話すよ。
今はネタバレしない方がいいでしょ?」


そう悪戯っぽく言うとリマは諦めたようにため息をついた。


「絶対ですわよ!」

「分かってるよ」


これは約束だ。
この全ての試合が終わったら私はリマに称号を伝えるという約束。


「…エリーも流石に苦戦気味かな?」

「…そうですわね。
エリアスさんの属性は火、それに対して相手の方は水ですから相性も最悪ですし…」


そう。
エリーは他の属性を使うことなくずっと火属性で戦っていた。
それだけ余裕があるという事だろう。
そして何より…私に手を見せたくないという事なのだろう。
そんなエリーの意思を確認すると私はエリーの試合を見ることなく次の試合に向けて行動する事にした。


「ルー?
どこに行きますの。
エリアスさんの試合は……」

「必要ないよ。
エリーは必ず勝……」


『エリアス選手、場外により失格!』


……私は何も言えずに頭をかかえたのだった。
エリーが絶対に勝つ、そう言おうとした手前、まさかの場外失格になるとは思っていなかったのだ。
まぁ、エリーらしいといえばエリーらしいか。


「ルー……失格になりましたわよ……」

「あー、うん……。
これは私も予想外…」


私は歩みを止め、エリーを慰めるためにゲートへ向かった。
すると、私を見つけたらしきエリーが走ってきた。


「お姉ちゃん!
し、失格になっちゃったよぉ……」

「エリー、これからは気を付けよう。
だから…今はリマと私を応援してくれる?」

「うん…!
お姉ちゃん、絶対っ!
優勝してね!
だよ!」


先程までの落ち込んだ様子とは一転し、明るく元気に私を応援してくれる。
そんなエリーを見て優勝のために魔力をもう一段階解放する事も考える私は妹に甘いのだろうか?


「エリアスさん、私は応援してくださらないんですの?」

「応援してるよ!
リマーニさんも優勝してね!」


リマはエリーの言葉にピクっと頬を動かした。
そして、笑を深めた。
ただし、目だけが笑っていないが。


「ふふっ…ルー、試合は見ないでくださいまし。
私もルーの試合は見ない事にしますわ」


それは遠回しだが宣戦布告だった。
私はそれに頷くとエリーを連れて控え室に戻り魔道具のスイッチをオフにした。


「お姉ちゃん私、ザクロのジュース買ってくるね!」

「エリー、私も…」

「だーめ!
お姉ちゃんは試合があるでしょ!
私に付いてきて遅れたら失格になっちゃうもん!
だから私が行ってくるよ」


そう言って私を置いて行ってしまったエリーの目には涙が浮かんでいた。
そんなエリーに私は何も出来なかった。

あの試合は相当エリーに堪えたのだろう。

そして控え室の外から勝者のコールが聞こえてくる。
私は後髪を引かれながらもステージへと上がった。
途中、


「ルー、私は勝ちましたわ。
次はルーの番ですわよ。
負けたら承知いたしませんわ」


などとリマから応援?を貰った。
つい苦笑を漏らすが、エリーの事を考えると気持ちが沈んでしまう。


『ここまで勝ち残ってきた1年、白銀の風ルシャーナ!
そして、3年、黄金獣レオニード!
スタート!!』

「1年だからって手は抜かねぇぜ!

『光と火焰よ!
俺の願いのもと顕現させよ!
来い!
光炎獣ラオン!!』」


すると、光と火焰が収縮し獣の形をとっていく。


「行け!
ラオン!」


その獣は主であるレオニード先輩の命令に従い一直線に私へと襲いかかる。
私はその獣の横へ避けようとするが獣はそれを許さない。
火球と光球を作り出し私の退路を塞いだのだ。


「っ!?」


避けそこなった私は獣に左腕を噛みつかれてしまった。
幸いすぐに抜け出せたものの左腕には火傷を負ってしまった。
そして、魔法で作り出してはいるものの実態はあるらしく噛み跡がつき、そこから生々しく血が流れている。


「普通、1年なら血を見慣れてないせいか怯えたりすんだけど…。
お前はしないのな」

「…慣れているので」

「んじゃ、これも行けるか?
ラオン!」


私は答えを間違えたのか先輩は更に獣に命じて私を襲う。
それに対して私の頭の中にはエリーのことしかなく、集中出来ずにいた。
そのため、私はただただ回避に徹するのみ。
そのせいか一方的にやられているようにしか見えないに違いない。


「…そろそろ、終わらせっか。
ラオン、やれ」


獣の爪が私を切りさこうとしているのが分かる。
それに私は、ここで負けたらエリーはなんて言うのか、そんなことを考えていた。


「お姉ちゃん!!
負けないで!
優勝、してくれるんでしょ!」


そんなエリーの言葉が聞こえてきた。
私はエリーの声が聞こえてきた方に目を向ける。
すると、エリーは泣いていた。
その姿に私は自分を叱咤する。

何可愛い妹を泣かせてるんだと。
エリーは私を応援してくれているのに、負けるなんてそれが姉のする事なのかと。
エリーが優勝してと、負けないでと言っているのに私はそれに答えないのか、と。


「あぁ…何やってるんだろ、私。

『治れ』」


その一言で私は火傷も傷も治ってしまう。
そしてゆっくり立ち上がる。


「こんなかっこ悪いとこ、可愛い妹の前で見せるなんて…お姉ちゃんとして失格じゃない?

『集え』」


私はこの場にある微かな魔力を少しだけ集めた。


「可愛い妹との約束を破るなんて……。
そんなの、出来るか!!

『収縮、発射せよ!』」


そして、集まった魔力を纏めそのまま光へと変換し放った。


『しょ、勝者!
白銀の風!!
劣勢で負けるかと思われた白銀の風だったがなんと!
勝利したぁぁぁぁぁ!!!』


私はエリーに向かってVサインを送った。
エリーは涙を浮かべながらも笑顔を浮かべた。



「ルー、遅いですわ!
ですが…これでようやく勝敗を付けられますわね」

「ごめん、リマ。
遅くなって…。
でも、負けるわけにはいかないんだ。
可愛い妹の応援もあるし、ね」


ステージ上で私とリマは真剣な表情を浮かべ相対していた。


「…薄々気づいてはいましたが……。
ルー、あなたシスコンですのね…」

「失礼な。
可愛い妹を可愛いと言って何が悪い」


なんて緊張感の無いような会話をしつつ、司会に名前が呼ばれた。


『1年、金の水光ことリマーニと、同じく1年、白銀の風ことルシャーナの決勝戦!!

なんと、今年勝ち残ったのは1年という異例の事態!
1年2人はどんな戦いを見せてくれるのか!?

決勝戦、スタートォォォオ!!』


「『清き水達よ。
私に力を貸してください。
私は望みます。
偉大なる水達が私に勝利の道へと導いてくださる事を!!
私の魔力を糧に私の望みを叶えてくださいまし!』」

「『夢、礎となりてここに願い奉る。

夢へと誘うその華は何を望み何を願い何を見る。

その先に繋がるものは何も無く。
あなたは過去をさまよい歩く。

さぁ、お行きなさい。
全ての夢の集うあの先へ

夢への扉は今開かれる。
さぁ、全ての夢見る者達へ
この果てなき夢を届けよう。

私の願いは未だ叶わず
あなたの願いはすぐそこに

それは、果てなき全ての者が望む夢。
あなたに一時の幸福を届けよう。

全ては私に収縮される。
さぁ旅立ちなさい。
あの扉の向こうへと』」


少しだけリマの詠唱よりも遅れるが私の魔法が完成する。
それにより、私の詠唱通り目の前に大きな扉が浮かび上がり開かれる。
そこから漏れ出すのはこの世界に住んできた全ての者が見てきた夢と記憶…その1つに過ぎない。
これ、地味に闇属性も使ってるんだよね。
闇と光の合体魔法。
そのせいか結構魔力を持っていかれる。

しばらく、リマはそこに立っているだけだった。
風で場外にしようと動いた時、リマが戻ってきた。


「っ……!
はぁ、はぁっ……。
な、なんですの先程のものは…。
私、生きてますの……?
毒は…大丈夫、そうですわね…。
あれは、夢……?
いえ、ですがという名はカルナヴァル家の最後の方…。
その様な方が毒殺…なんて……。
……いえ、今は試合の最中…。
後で考えますわ!」


私はリマがあの場所から自力で戻ってきた事よりも、ルーシャという名とカルナヴァルの家名。
そして、毒殺という言葉に青ざめていた。

まさか。
まさか、私の記憶と繋がったのかと。
私の過去を知ってしまったのかと。
…私の前世がルーシャ・カルナヴァルで今の称号を知った時、リマと私の関係はどうなってしまうのだろうかと。

いや、リマだけではない。
私と、お母さんやお父さん、それにエリーとの関係も…。
全て、無かった事になってしまうのではないかと怖かったのかもしれない。


「ルー、行きますわよ!」


私はそんなリマの言葉さえ耳に入らなくなるほどに怯えていた。
それは、先程と少し理由が違っていた。
毒を飲んだことで引き起こされたあの息苦しさ、あの痛み。
愛おしい人に殺されたという事実。
愛おしい人に裏切られた悲しみ。
全てが私に、決して見える事も消えることもない鋭い刃となって襲いかかる。


「……ルー?」

「あ、あ、い、いや…。
こ、来ない、で…」


私の呼吸は毒を飲んだ時のように段々と早くなり、息苦しくなっていく。


『ルーシャ!?
ルーシャ、ルーシャ!!』

「ルー!?」

「お姉ちゃん!」


そんな3人の声を最後に私の意識は途絶えた。


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