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巻き込むらしい
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結局、有耶無耶になってしまった決勝だったが取り敢えずリマが優勝となったらしい。
……本人は大変不本意そうだったが。
「でも、安心してくださいまし。
ルーも対校戦への参加は決まっていますの。
それに、エリアスさんも参加が決定いたしましたわ」
「嘘!?
エリー、勝ったんだね!
おめでとう!」
「えへへ、ありがと!
お姉ちゃん!」
3人で喜びあっている中、ガチャリと扉が開いた。
そして、入ってきたのは準決勝で当たったレオニード先輩だった。
「お、起きたみたいだな。
体は大丈夫なのか?」
「ご心配をおかけしたようで申し訳ありません。
体の方は大丈夫です」
先輩はフッと笑い、近くにあった椅子に腰掛けた。
「ならいいんだ。
ラオンとやった時のが原因だろうからな……試合とはいえ悪かった」
と、そんな謝罪を投げかけてきた。
先輩のせいではなく、私の問題だったのにも関わらず。
「先輩のせいじゃありませんから。
私の未熟が招いた事です。
…あ!
忘れてた!!
魔力解放したままじゃん!!
封印してない!!」
「…ルーシャ様?
以前言ったはずですが。
解放したのならばすぐに封印するように…と。
それなのに忘れるとはどういうことでしょうか?
ご説明していただけますよね?」
思わず口を滑らせてしまった事でアンリが静かに怒り出す。
その様子はまるで子を叱る母親の様にも見える。
「ご、ごめんなさい……」
「…ルーシャ様………。
今すぐに封印は可能ですか?」
アンリはため息をつくとすぐに質問を投げかけてきた。
それに私は魔力の残量を確認してから返事をした。
「それは大丈夫です!
魔力はあるので」
「では、今すぐに封印をしましょう…」
「ここで、ですか?」
私がそう問いかけるとアンリは移動する事を決定した。
その決定に従い、私とアンリを含め、何故か部屋にいた全員が共に移動する。
「……えっと……なんで皆ついてくるの……?」
「お姉ちゃんが心配なんだもん!」
「ルーが何をしでかすか分からないからですわ」
「ルーナが(色々な意味で)心配だからね」
「可愛い娘が2人共行くんですもの。
ついて行くに決まっているでしょう?」
「…可愛い後輩だからな。
それに、見てみたくもある」
「私は気になるからね。
それに…君の魔力が暴走した時にストッパーになれるのは私だけだしね」
……暴走しないし……多分。
あとお父さんとエリーの心配の意味が違うように聞こえたのは気の所為だろうか?
それと、リマは何で私がしでかす前提なんだろうか?
私はそんなに信用ないのか。
「ルーシャ様」
「あ、はい!
少し離れていてください」
アンリのここでどうかという視線に答え、私は前に出る。
そして離れるように告げると魔力を集めだした。
「このくらい…かな?」
私が詠唱を始めると少ししてから私の髪が光り出す。
私の髪色である銀とあい極まってその光はとても幻想的に見える。
「『我、礎となりてここに願い奉る。
ここに望むは我が魔力の封印なり。
かの扉をここに開き我が力の源
その一部を封じたまへ。
我が魔力の解放条件は魔力解放の言葉のみ。
扉の段階は1としここに封印者と解放者としての契約を果たさん。
我が願いを糧とし発動せよ。
その扉は今、我が眼前にて形成され開かれん』」
どっと疲労感に襲われた後、魔力に鍵を付けられたような感覚になる。
これで元の魔力量に戻ったはずだ。
終了したと同時に私の髪色はもとの銀色にもどり光は消えていった。
そしてアンリに確認してもらい、魔力の封印は終了した。
「お姉ちゃん、綺麗だったよ!」
「ルー、先程の光は…?」
「何で髪が光ってたんだ?」
「……魔力?」
エリー、リマ、先輩、アルの順に言っていく。
「アル、さすが!
でも、よく魔力って分かったよね」
「君の魔力が急に減り出したからね」
そんな事も分かるんだと思いつつ私は疲労感で経たりこんだ。
『ルーシャ、大丈夫?』
と、頭の中で心配そうにリオが問いかけてくる。
大丈夫と私が返すとリオはやはり心配そうにしていた。
「ルー、あなた封印した魔力はどれくらいあるんですの?」
「それ、全体?
それとも1つの扉?」
「は……?
さ、先程のものだけじゃありませんの!?」
どうやら1つだけと思っていたらしい。
「あれ1つで収まらないもん」
「……その規格外の魔力が羨ましいですわ…」
苦笑しながらも羨ましいと言ったリマに思わず顔を歪めた。
「……そう、見えるかな?」
それは、無理して浮かべた笑に見えただろう。
だが、それも仕方ないと言える。
何故か。
それは、私の魔力が多すぎて器を壊す恐れすらあるのだ。
それ程までに私の魔力は多く、器は未だにその魔力の成長に伴わずにいる。
そしてだした答えがこの、封印という方法なのだ。
器であるこの体が破裂しそうな程に魔力は膨れ上がっていく。
魔法を使えば多少は楽になるがすくに回復しまた苦しめられる。
その痛みは一日中続いている。
そんな痛みを隠しながら過ごすようになって1ヶ月が過ぎた頃、私の精神は限界を告げた。
「ルー?」
「っ…な、何でもない。
あ、私、お腹空いちゃったな!
何か食べに行こう!」
私の声は自然と何かを隠すように上ずった声になっていた。
「ルー?
ルー!
一体、どうしましたの!?」
「あ…な、何でもない、から…。
大丈夫、私は……」
「大丈夫そうに見えないから言っているのですわ!」
リマに怒られてしまった。
心配かけてばかりで駄目だなぁ…と自嘲気味に笑う。
言うか言わないかはもう既に決めている。
「大丈夫!
ちょっと疲れちゃっただけだから!」
すると、リマは悲しげに顔を歪めた。
「………ルー、私はそんなにも信用出来ませんの…?」
「……え?」
リマの瞳は悲しげに揺れていた。
だが、私はそれに戸惑うばかり。
なぜなら私にはそんなつもりは微塵もなかったのだから。
私はただ、弱い自分を見せたくなかっただけ。
強くありたかっただけだった。
もう既に1度弱い自分を見せていたから、もう、そんな自分を見せたくなかった。
私が答えない事で何を思ったのかリマは走って行ってしまった。
「リマ!」
私は声をかけるがリマは私の声など聞かずに走ってしまう。
「……お姉ちゃん、私が行ってくるよ。
お姉ちゃんは待ってて」
エリーはそう言うとリマを追いかけて行ってしまった。
「ルシャー…?ルーシャ?
まぁ、いい。
白銀」
「……ルシャーナです」
「ルシャーナ、俺は事情は知らねぇが……それでも何か抱えてる事は分かる。
…それは、友人にも言えねぇ事なのか?
そうじゃねぇってんなら相談してみればいいじゃねぇか。
そんで、一緒に考えて答えを出す。
それがダチって奴じゃねぇのかよ」
相談……。
私はそんな事、微塵も考えていなかった。
これは私の問題で他の人を巻き込むべきじゃないと、大切な人に心配をかけたくはなかったから。
だから、一人で抱えてきた。
なのに、何でこうも皆は私の心に踏み込んでくるのだろうか?
何故、巻き込まれようとするのだろうか?
「ルーシャ様、私も言ったはずです。
いつでも相談に乗りますと。
1人で抱え込まずに私共を頼ってください」
私には分からない。
何故こうも皆私に優しくしてくれるのか。
私が巫女だからか。
そう思った事もあった。
だが、それを知らない先輩も、知らなかったリマも私に優しくしてくれる…。
「ルーナ、お前は例え何者であろうと私達の大切な娘だ。
偶には子供らしく親に頼ってくれ」
「そうよ。
あなたが全て抱え込む必要はないのよ?
それに…弱味を見せる事も成長には大切な事なのよ。
あなたは1人で抱え込みすぎなの。
もっと周りを巻き込むべきよ。
私だってルーナくらいの歳の時は遠慮なく周りを巻き込んでいたもの」
「……あぁ…。
よく魔獣討伐に巻き込まれたな…。
A級危険指定の魔獣討伐に2人で行った時は死を覚悟したものだ……」
「あら、結局勝ったのだからいいでしょう?」
……お母さんはかなり強かったらしい。
A級危険指定の魔獣は一個中隊が出てようやく討伐できるレベルだったと思うのだが。
それを2人って……どれだけ周りは心配したのだろうか?
……だが、そんなお母さんのおかげで少しだけ、周りを巻き込んでもいいのだと思えた。
1人で全て抱え込む必要はないと。
相談してもいいのだと。
「……うん…。
善処する…」
「お嬢さ…ルーシャ様、お二人が戻られた様ですよ」
……ケヴィンは未だにお嬢様と呼ぶ時がある。
…これは、どうにかならないのだろうか?
だが、まぁ…2人が戻ったのか。
話しが聞かれていなかったかと心配になるがそれは杞憂だったようだ。
「……ルー、話も聞かず飛び出してしまい申し訳ありませんわ」
「ううん。
私こそ、何も言わなくてごめん。
…心配、させたくなかったし同情されるのが嫌だったから……ごめん、リマ」
「っ……。
ずるい、ですわ。
そんな事言われたら何も言えないじゃないですの」
私とリマはようやくそれぞれ笑みを浮かべた。
そして私がリマに話そうか迷っている時、気を利かせてかエリー達が先に行ってる、と言い、離れていった。
「……リマ。
魔力、羨ましいって言ってたの…今でも、そう思う?」
「え、えぇ……それは思いますわ…」
リマは戸惑いつつも肯定する。
普通なら、多い方がいいと思うのは分かっていた。
だが、苦痛に苛まれていた私にとっては…無い方がいいとも思ってしまう。
「…私の魔力の総量、今は数値にすると5千くらいなんだ。
1つの扉ごとに1万の魔力が封印されてるのにも関わらず、ね」
「なっ……。
普通は精々500もあれば多いと言われますのに!?」
それが普通の反応。
誰も、それによって引き起こされるもののことなんて考えるわけがない。
「それが10、かな。
いや、この前増やしたから11か。
それだけの扉に分けて封印してるわけだけど…。
私さ、3ヶ月くらいまでは封印なんてしてなかったんだ。
でも…魔法を使っていくうちに魔力が増えすぎた。
苦しむほどに……」
あの時の痛みを思い出すと今でも怖くなってくる。
それ程までに私にとってはあの痛みは恐怖として残っているのだ。
「え……。
魔力、で…ですの?」
「うん…。
魔力がこの体の諸容量を超えたから。
超えすぎたから。
増えすぎた魔力が私の体に収まりきれずに少しずつ私の体の中から出ようと穴を作ろうとするんだ。
それによってずっと痛みがある状態になる。
しかも、それは時間が立つ事に痛みが激しくなっていくんだ」
「そんな事って……」
「魔法を使うとね、一時的に痛みが和らぐの。
でも、魔力はすぐに回復する。
しかも前よりも少しだけ増えてるから痛みも強くなるんだ。
それに、少しでも気を抜くと魔力が暴走するして周りを傷つけるし……」
それに……エリーを不安にさせるわけにはいかないし、周りを心配させるわけにもいかないから我慢して笑顔でいないとだし。
「でも…1ヶ月かな。
それくらいでアンリに気疲れちゃった…。
それでようやく封印って手段で痛みから解放されたんだ。
自分で望んだ事とはいえあれには心が折れたよ」
「ルー……申し訳ありませんわ。
私が無神経でしたの…」
「私も言わなかったしね。
あ、でもエリーには内緒だよ?
エリーには、知られたくないから…」
「…分かりましたの。
ルー……私は友人失格…ですわね」
「それ言うんだったら私もだって。
だから…今度からリマを巻き込むことにする!
その代わりにリマに何かあったら私を巻き込んで!
それで対等!!
でしょ?」
「ふふっ…そうですわね」
と、笑いあい皆の元に向かったのだった、
……本人は大変不本意そうだったが。
「でも、安心してくださいまし。
ルーも対校戦への参加は決まっていますの。
それに、エリアスさんも参加が決定いたしましたわ」
「嘘!?
エリー、勝ったんだね!
おめでとう!」
「えへへ、ありがと!
お姉ちゃん!」
3人で喜びあっている中、ガチャリと扉が開いた。
そして、入ってきたのは準決勝で当たったレオニード先輩だった。
「お、起きたみたいだな。
体は大丈夫なのか?」
「ご心配をおかけしたようで申し訳ありません。
体の方は大丈夫です」
先輩はフッと笑い、近くにあった椅子に腰掛けた。
「ならいいんだ。
ラオンとやった時のが原因だろうからな……試合とはいえ悪かった」
と、そんな謝罪を投げかけてきた。
先輩のせいではなく、私の問題だったのにも関わらず。
「先輩のせいじゃありませんから。
私の未熟が招いた事です。
…あ!
忘れてた!!
魔力解放したままじゃん!!
封印してない!!」
「…ルーシャ様?
以前言ったはずですが。
解放したのならばすぐに封印するように…と。
それなのに忘れるとはどういうことでしょうか?
ご説明していただけますよね?」
思わず口を滑らせてしまった事でアンリが静かに怒り出す。
その様子はまるで子を叱る母親の様にも見える。
「ご、ごめんなさい……」
「…ルーシャ様………。
今すぐに封印は可能ですか?」
アンリはため息をつくとすぐに質問を投げかけてきた。
それに私は魔力の残量を確認してから返事をした。
「それは大丈夫です!
魔力はあるので」
「では、今すぐに封印をしましょう…」
「ここで、ですか?」
私がそう問いかけるとアンリは移動する事を決定した。
その決定に従い、私とアンリを含め、何故か部屋にいた全員が共に移動する。
「……えっと……なんで皆ついてくるの……?」
「お姉ちゃんが心配なんだもん!」
「ルーが何をしでかすか分からないからですわ」
「ルーナが(色々な意味で)心配だからね」
「可愛い娘が2人共行くんですもの。
ついて行くに決まっているでしょう?」
「…可愛い後輩だからな。
それに、見てみたくもある」
「私は気になるからね。
それに…君の魔力が暴走した時にストッパーになれるのは私だけだしね」
……暴走しないし……多分。
あとお父さんとエリーの心配の意味が違うように聞こえたのは気の所為だろうか?
それと、リマは何で私がしでかす前提なんだろうか?
私はそんなに信用ないのか。
「ルーシャ様」
「あ、はい!
少し離れていてください」
アンリのここでどうかという視線に答え、私は前に出る。
そして離れるように告げると魔力を集めだした。
「このくらい…かな?」
私が詠唱を始めると少ししてから私の髪が光り出す。
私の髪色である銀とあい極まってその光はとても幻想的に見える。
「『我、礎となりてここに願い奉る。
ここに望むは我が魔力の封印なり。
かの扉をここに開き我が力の源
その一部を封じたまへ。
我が魔力の解放条件は魔力解放の言葉のみ。
扉の段階は1としここに封印者と解放者としての契約を果たさん。
我が願いを糧とし発動せよ。
その扉は今、我が眼前にて形成され開かれん』」
どっと疲労感に襲われた後、魔力に鍵を付けられたような感覚になる。
これで元の魔力量に戻ったはずだ。
終了したと同時に私の髪色はもとの銀色にもどり光は消えていった。
そしてアンリに確認してもらい、魔力の封印は終了した。
「お姉ちゃん、綺麗だったよ!」
「ルー、先程の光は…?」
「何で髪が光ってたんだ?」
「……魔力?」
エリー、リマ、先輩、アルの順に言っていく。
「アル、さすが!
でも、よく魔力って分かったよね」
「君の魔力が急に減り出したからね」
そんな事も分かるんだと思いつつ私は疲労感で経たりこんだ。
『ルーシャ、大丈夫?』
と、頭の中で心配そうにリオが問いかけてくる。
大丈夫と私が返すとリオはやはり心配そうにしていた。
「ルー、あなた封印した魔力はどれくらいあるんですの?」
「それ、全体?
それとも1つの扉?」
「は……?
さ、先程のものだけじゃありませんの!?」
どうやら1つだけと思っていたらしい。
「あれ1つで収まらないもん」
「……その規格外の魔力が羨ましいですわ…」
苦笑しながらも羨ましいと言ったリマに思わず顔を歪めた。
「……そう、見えるかな?」
それは、無理して浮かべた笑に見えただろう。
だが、それも仕方ないと言える。
何故か。
それは、私の魔力が多すぎて器を壊す恐れすらあるのだ。
それ程までに私の魔力は多く、器は未だにその魔力の成長に伴わずにいる。
そしてだした答えがこの、封印という方法なのだ。
器であるこの体が破裂しそうな程に魔力は膨れ上がっていく。
魔法を使えば多少は楽になるがすくに回復しまた苦しめられる。
その痛みは一日中続いている。
そんな痛みを隠しながら過ごすようになって1ヶ月が過ぎた頃、私の精神は限界を告げた。
「ルー?」
「っ…な、何でもない。
あ、私、お腹空いちゃったな!
何か食べに行こう!」
私の声は自然と何かを隠すように上ずった声になっていた。
「ルー?
ルー!
一体、どうしましたの!?」
「あ…な、何でもない、から…。
大丈夫、私は……」
「大丈夫そうに見えないから言っているのですわ!」
リマに怒られてしまった。
心配かけてばかりで駄目だなぁ…と自嘲気味に笑う。
言うか言わないかはもう既に決めている。
「大丈夫!
ちょっと疲れちゃっただけだから!」
すると、リマは悲しげに顔を歪めた。
「………ルー、私はそんなにも信用出来ませんの…?」
「……え?」
リマの瞳は悲しげに揺れていた。
だが、私はそれに戸惑うばかり。
なぜなら私にはそんなつもりは微塵もなかったのだから。
私はただ、弱い自分を見せたくなかっただけ。
強くありたかっただけだった。
もう既に1度弱い自分を見せていたから、もう、そんな自分を見せたくなかった。
私が答えない事で何を思ったのかリマは走って行ってしまった。
「リマ!」
私は声をかけるがリマは私の声など聞かずに走ってしまう。
「……お姉ちゃん、私が行ってくるよ。
お姉ちゃんは待ってて」
エリーはそう言うとリマを追いかけて行ってしまった。
「ルシャー…?ルーシャ?
まぁ、いい。
白銀」
「……ルシャーナです」
「ルシャーナ、俺は事情は知らねぇが……それでも何か抱えてる事は分かる。
…それは、友人にも言えねぇ事なのか?
そうじゃねぇってんなら相談してみればいいじゃねぇか。
そんで、一緒に考えて答えを出す。
それがダチって奴じゃねぇのかよ」
相談……。
私はそんな事、微塵も考えていなかった。
これは私の問題で他の人を巻き込むべきじゃないと、大切な人に心配をかけたくはなかったから。
だから、一人で抱えてきた。
なのに、何でこうも皆は私の心に踏み込んでくるのだろうか?
何故、巻き込まれようとするのだろうか?
「ルーシャ様、私も言ったはずです。
いつでも相談に乗りますと。
1人で抱え込まずに私共を頼ってください」
私には分からない。
何故こうも皆私に優しくしてくれるのか。
私が巫女だからか。
そう思った事もあった。
だが、それを知らない先輩も、知らなかったリマも私に優しくしてくれる…。
「ルーナ、お前は例え何者であろうと私達の大切な娘だ。
偶には子供らしく親に頼ってくれ」
「そうよ。
あなたが全て抱え込む必要はないのよ?
それに…弱味を見せる事も成長には大切な事なのよ。
あなたは1人で抱え込みすぎなの。
もっと周りを巻き込むべきよ。
私だってルーナくらいの歳の時は遠慮なく周りを巻き込んでいたもの」
「……あぁ…。
よく魔獣討伐に巻き込まれたな…。
A級危険指定の魔獣討伐に2人で行った時は死を覚悟したものだ……」
「あら、結局勝ったのだからいいでしょう?」
……お母さんはかなり強かったらしい。
A級危険指定の魔獣は一個中隊が出てようやく討伐できるレベルだったと思うのだが。
それを2人って……どれだけ周りは心配したのだろうか?
……だが、そんなお母さんのおかげで少しだけ、周りを巻き込んでもいいのだと思えた。
1人で全て抱え込む必要はないと。
相談してもいいのだと。
「……うん…。
善処する…」
「お嬢さ…ルーシャ様、お二人が戻られた様ですよ」
……ケヴィンは未だにお嬢様と呼ぶ時がある。
…これは、どうにかならないのだろうか?
だが、まぁ…2人が戻ったのか。
話しが聞かれていなかったかと心配になるがそれは杞憂だったようだ。
「……ルー、話も聞かず飛び出してしまい申し訳ありませんわ」
「ううん。
私こそ、何も言わなくてごめん。
…心配、させたくなかったし同情されるのが嫌だったから……ごめん、リマ」
「っ……。
ずるい、ですわ。
そんな事言われたら何も言えないじゃないですの」
私とリマはようやくそれぞれ笑みを浮かべた。
そして私がリマに話そうか迷っている時、気を利かせてかエリー達が先に行ってる、と言い、離れていった。
「……リマ。
魔力、羨ましいって言ってたの…今でも、そう思う?」
「え、えぇ……それは思いますわ…」
リマは戸惑いつつも肯定する。
普通なら、多い方がいいと思うのは分かっていた。
だが、苦痛に苛まれていた私にとっては…無い方がいいとも思ってしまう。
「…私の魔力の総量、今は数値にすると5千くらいなんだ。
1つの扉ごとに1万の魔力が封印されてるのにも関わらず、ね」
「なっ……。
普通は精々500もあれば多いと言われますのに!?」
それが普通の反応。
誰も、それによって引き起こされるもののことなんて考えるわけがない。
「それが10、かな。
いや、この前増やしたから11か。
それだけの扉に分けて封印してるわけだけど…。
私さ、3ヶ月くらいまでは封印なんてしてなかったんだ。
でも…魔法を使っていくうちに魔力が増えすぎた。
苦しむほどに……」
あの時の痛みを思い出すと今でも怖くなってくる。
それ程までに私にとってはあの痛みは恐怖として残っているのだ。
「え……。
魔力、で…ですの?」
「うん…。
魔力がこの体の諸容量を超えたから。
超えすぎたから。
増えすぎた魔力が私の体に収まりきれずに少しずつ私の体の中から出ようと穴を作ろうとするんだ。
それによってずっと痛みがある状態になる。
しかも、それは時間が立つ事に痛みが激しくなっていくんだ」
「そんな事って……」
「魔法を使うとね、一時的に痛みが和らぐの。
でも、魔力はすぐに回復する。
しかも前よりも少しだけ増えてるから痛みも強くなるんだ。
それに、少しでも気を抜くと魔力が暴走するして周りを傷つけるし……」
それに……エリーを不安にさせるわけにはいかないし、周りを心配させるわけにもいかないから我慢して笑顔でいないとだし。
「でも…1ヶ月かな。
それくらいでアンリに気疲れちゃった…。
それでようやく封印って手段で痛みから解放されたんだ。
自分で望んだ事とはいえあれには心が折れたよ」
「ルー……申し訳ありませんわ。
私が無神経でしたの…」
「私も言わなかったしね。
あ、でもエリーには内緒だよ?
エリーには、知られたくないから…」
「…分かりましたの。
ルー……私は友人失格…ですわね」
「それ言うんだったら私もだって。
だから…今度からリマを巻き込むことにする!
その代わりにリマに何かあったら私を巻き込んで!
それで対等!!
でしょ?」
「ふふっ…そうですわね」
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