転生したようなので妹のために奮闘することにしました

紗砂

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対校戦1日目らしい前編

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対校戦の開会式が終わり、対戦校のクジを引きあて、当たったのは一番最初。
しかも、対戦校はあの、カーナヴァル魔法学園だ。



「…よし、じゃあいいな。
俺達、リリーシア王国国立魔法学園が!
優勝する!

それと、ルシャーナ。
他の属性に関してだが…イラニがルシファーを使うようであれば許可する。
それと、防御の常時展開を頼む。

行くぞ!」


そんなレオニード先輩の声で私達は控え室から出て、ステージに上がる。
ステージは毎回変わるようで前衛、中衛などが役に立たないような森林のステージだった。

だが、先輩は予想していた。
そのためこのステージの時の作戦もある。


開始宣言を聞くと私はすぐに防御魔法を展開し、木を上りそっと息を潜めた。
そして、そのまま風で音を集める。


「おい、分かっているな!
レアンとレオニードに注意しろ!!」


と、馴染みのある名前が聞こえてくる。
……だが、相手は知らないのだろうか?
レアン先輩は本メンバーではないのだが……。


『風よ。
自由を尊びし気高き風達よ。
私の魔力を糧に私の声を仲間に届けて』


「レオニード先輩は対策されている様なので援護にまわってください。
エリーはそこから南に。
カルア先輩は…西にお願いします。
エリーのところは2人、カルア先輩のとこには1人です。
残りの2人ですが…そちらは私とリマがやります。
レオニード先輩は私達の援護をお願いします」


私はそう伝えると下に降り、リマとレオニード先輩のもとへと向かった。


「リマ!先輩!
お待たせしました!
レオニード先輩、イラニ先輩?って人がこっちにいるので注意をお願いします」

「おう!
対、イラニ用魔獣、タカハの出番だな!


『闇を浄化せし聖なる光と闇をも燃やしつくす火焰よ!
俺の願いのもと顕現させよ!
来い!
対、悪魔魔獣、聖炎獣タカハ!!』」


それは獣というよりも天使という形に近いもの。
少し威力は劣るが悪魔に対してはこれが一番有効的だ。


「次は私ですわね。


『清き水よ。
私の声に答えてください。
かの水は聖なる光を含んだ聖水となりてその身に降りかかる。
聖なる水よ!
かの悪魔を浄化しなさい!』」


すると、どこからか水が雨のように降りかかる。
私はその雨を風で吹き飛ばしつつ、結界で自分の身を守る。
……悪魔と契約している私にとってはこれはかなり危険な水なのである。
それはイラニも気付いたようですぐに結界を貼ってもらっていた。


「ちっ……ルシファー力を貸せ。


『我が身に無礼を働きしその者共へ神罰を与えよ!
その力は度合いにより決定す!』」


すると、火の槍が雨のようにに降り注ぐ。
それを防御結界で防ぐ私だったが薄く微笑んだ。

何故ならあの先輩がルシファー、つまりは悪魔を使ったから。
それは、私にとってリオを使う許可が降りたのも同じ事なのだ。
まぁ、使わないけど……。


「さーて、私もやりますか!

『聖なる光よ
私のもとへと集いたまへ。
私の願いは未だ叶わず…。
それは玉なる力の1つなりて大いなる遺産となりしものなり』」


私は詠唱を途中できり発動させた。
すると、光が彼らのもとで降り注ぐ。
その光はやがて広がり…このステージの全てを焼失させた。


そして、試合終了が告げられた瞬間、私は皆に囲まれる。


「ちょっ…お姉ちゃん!!
やりすぎ!!」

「それには同意する」

「そうですわ!
作戦も何もありませんわよ!」

「ルシャーナ、控え室でじっくり聞かせてもらうぞ」


にこやかに、しかし怒りを漲らせる仲間に対し、私は怯えながらも控え室に戻った。


「さて、ルシャーナ。
何か言いたい事は?」

「うっ……。
詠唱を切るのを忘れただけで……」

「ほぅ?
それだけで焼失させた、と?」

「うっ……す、すいませんでしたぁ!!」


先輩を含めたチームメイトはため息をついた。
……その間、私はただ謝るだけだった。


「ったく……ルシャーナ。
お前の力は出来るだけ隠しておきたいんだ。
つまり、だ。
次は魔力不足を装え。
そして、だ。
最後に援護系を打ち込んでくれ」

「っ……はい!」

「お姉ちゃんは誰と行動ですか?」

「そうだな……ステージで決めるか…。
不利な属性を持つ奴の補佐にするか……」


という事で話し合いは終了した。
そして、私達はとりあえず昼食を食べに向かったのだった。


「お姉ちゃん!
カーナヴァルってどんな食べ物があるんだろうね!」

「うーん、そうだね……。
カーナヴァルは海に面してるし、海鮮類じゃないかなぁ?」

「わぁ…楽しみ!」


はしゃぐエリーに対し私は穏やかな目で見ていた。
だが、内心、私もはしゃいでいた。
海鮮類は山に囲まれたリリーシア王国では食べることが出来ないのだ。


「……おい、テメェ。
…名前は?」


対戦校のカーナヴァル魔法学園の代表選手であり傲慢の契約者であるイラニだった。
だが、特別誰と言われたわけでもないので私は知らないフリをする事にした。


「おい!」


と、イラニは私の腕を掴む。
私は渋々振り返るとイラニは少し機嫌が悪そうにしていた。
……負けた事もあるだろうが私が無視したのも原因の1つだろう。


「……何でしょうか?」

「…名前は?」

「人に名を尋ねるのであればまずは……」

「イラニだ!
カーナヴァル魔法学園、2年のイラニ・レグイスだ!」


レグイスという家名に私は眉を寄せた。
何故ならそれは、カーナヴァル皇国の皇族の家名だったからだ。

……また面倒な奴に目をつけられた…と思わず遠い目をしてしまった。
気を取り直して私は笑みを浮かべた。


「ルシャーナです。
家名はありません。
……先程は試合とはいえやり過ぎてしまい申しわけありませんでした…」

「っ……いや、試合だからな…当たり前だ…!」


負けた事を思い出したからか少し顔が赤くなっていた。
そこで、私はイラニ…殿下の手に傷があるのを見つけた。
その傷は生々しく、私が付けてしまった傷だろう事が伺える。


「レグイス先輩、少し手を見せてください」


私はイラニ殿下の手を取ると傷を確かめた。


「っ…お、おい!?」

「少し我慢してください。

『聖なる光よ。
私はここに願います。
この者の傷が癒され完治する事を』

これで大丈夫だと思います」


私は彼の手を離すと上手く治ったことに満足し笑みをこぼした。


「っ…悪い……。
…イラ、そう呼んでくれ」

「え……。
…分かりましたイラ先輩。
では、私の事はルーシャかルーナとお呼びください」

「…敬称も要らない。
私もルーシャと呼ぶことにする…」


何故か顔が赤みがひかないが…他に何処か悪いところがあるのだろうかと少し心配になってしまう。


「分かりました、イラ」

「…っ………。
…昼。
…昼はもうとったか?」

「いえ、これからチームメイトと食べることになっているんです。
…もし宜しければご一緒致しませんか?」


悪魔の事も聞いてみたいという事もあり、私は誘って見ることにした。
……ただ、そんな悪い人物に感じなかった事もある。


「……そう、だな……。
………あぁ、一緒に昼をとってもいいか?」

「はい!
行きましょう」

「っ……あ、あぁ」


私が歩き出すとイラは少し早足で私の隣まできた。
私は風でエリー達を探しながら、店へと入った。
店は少し混んでいたが私が来たことを知るとエリーは立ち上がり席まで呼んだ。


「イラ?
どうかしましたか?」

「いや……今更だが俺が行っていいのかと思って、な……」


少しばかり暗い表情だった。


「大丈夫です。
もし、先輩に何か言われても私がいますから!
ですから行きましょう」


少し失礼かとも思ったはもののこのままでは進まないと思い、私はイラの手を引いた。


「先輩、エリー、リマ、お待たせしてしまいすいません」

「お姉ちゃん!
待ったんだからね!」

「ルー、遅いですわよ」

「ルシャーナ、そいつは…」


レオニード先輩は少し表情を歪ませた。
その視線は私の後ろにいるイラに向いている。


「っ……。
……去年は、悪かった。
俺の魔法の制御が悪かったせいだ」


緊張故か体をこわばらせながらもイラは先輩達に対して謝罪をした。
そのせいか先輩達の雰囲気も少しだけ変わった気がした。


「先輩、リオからも少し言いたい事があるそうなのでこの話は後でいいでしょうか?」

「ん?
あぁ…いいが……イラニ、ルシャーナ、さっさと座れ」

「はい!
…イラも座ってください!」

「っ……あ、あぁ……」


私達も皆から少し遅れて注文をすると、少しだけ話をした。


「ルーシャ、さっきのリオってのは…?」

「私の契約悪魔です。
私もイラと同じなんです。
…イラの悪魔から聞いていませんか?」


…どうやら聞いていなかったらしくイラはポカンとしていた。


「俺と同じ…?
まさか…階級が、か……?」


私はその問いに答えずただ微笑んだだけだった。


「嘘、だろう……。
嫉妬…か?」


……何故真っ先に嫉妬が出てくるのだろうか?


「いえ……私の契約悪魔は憤怒です」

「憤怒……って…それは…っ!!」


それはあとにしよう、そう言って私は昼食を食べ始めた。


「わぁ…美味しい……。
魚が口の中でふわっと溶けるみたい…」

「っ……なぁ、夕飯食うとこ決まってんのか…?」


夕飯って…少し早い気がするが……。

私は先輩に目を向けるとゆるゆると首を振った。
すると、イラは何処か嬉しそうに笑った。


「じゃあ、俺ん家に来いよ」

「……イラの家って…」

「俺の爺ちゃんが定食屋をやってんだ」


……元皇王が定食屋……何だか既視感がある。


「いいんじゃねぇか?」


という先輩の声を聞き、私は頷いたのであった。
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