転生したようなので妹のために奮闘することにしました

紗砂

文字の大きさ
22 / 32

やりすぎらしい

しおりを挟む

私は闇の詠唱を開始した。


「リオ、やるよ。

『その闇は先の見えぬ冷たく冷えた世界の果てにある。
あなたが真なる闇を覗いた時、何を思い何を願うのか
それはあなたにしか分からない』


その詠唱をすると、いつもと少し違っていた。
私の口が勝手に続きを唱えたのだ。


『世界は悲しみ、悲痛の声だけが鳴り響きいつの日か私は闇の一部へと変化を遂げた』


その詠唱は悲しく、辛い。
痛みだけが込められた悲しい詠唱。


『悲痛・悲しみ・苦しみ……その全ては私が引き受けよう。

何故なら私は真なる闇の一部なのだから。

全ての闇を引き受けた時、私の時は止まり感情は全て捨て去った。
私の願いは既に消え、たった1つの小さな闇だけが手元に残る。』


やめて。
そう言いたい程に苦しいうた
だが、私の意思とは裏腹に私の口は勝手に動く。


『小さな小さな闇はやがて世界に広がり波紋を呼んだ。
小さな闇が生み出した波紋は世界に広がり私は力の欠片ルーシャを世界へと産み落とす』


その時、誰か銀髪で蒼い悲し目をした人が見えた。
その人は何かを探すように下を見ている。
その瞳は何処までも悲しく、苦しそうに感じた。
何より、私と同じ髪と瞳の色を持つその人が気になった。


欠片は1度消えルシャーナとなりてしに戻る。
我が愛しき子。
我が欠片。
我が片割れ。
我が兄妹。
我が娘。

我が愛しきルシャーナよ。
我は汝を望み汝を欲す。

例え世界が壊れても…
我が愛しき子、ルシャーナだけは離さない』


詠唱を…詠を重ねていくごとに私の中にあった大切なものが溢れ出す。
1つ、また1つと私の中で溶けていく。


『ルシャーナ、我が愛しき子。
汝は今、何処にいるというのだ。

いつしか消えた汝が姿は私を拒み拒絶する。
この悲しき苦しみのみが満ちた世界の果て我は刹那に願う』


1つずつ思い出していく大切な記憶。
それは、母と呼んだ人と過ごした悲しく、冷たい世界の記憶。
母が全ての闇を引き受け、私を作り出した頃の僅かな記憶。

その記憶を思い出す事に涙が溢れ出る。


『代償は我が闇。
我が世界を蔓延るこの闇を捧げよう』


そこで漸く詠唱が終了した。
私の魔力は取られる事はなく、ただ脱力感だけが体に残る。
そんな中、私は泣いていた。
私を探す母の苦しみと悲しみ。
私が消えた時の悲しみと喪失感は一体どれほどのものなのか。
それは計り知れない。
自らの一部となった闇を代償としてでも私を見つけ出そうとする母の愛。
そんな愛に、私は押しつぶされそうな程苦しく思った。


「やめて…!
やめて!!
私はここにいるから!
お母さん…お母さん!!
これ以上傷つけないで!!」


ただ、自分を大切にして欲しいという思いでそう叫ぶ。


「ルーシャ?
どうしたのですか!」

「ルー、何があったんですの!?
そんなに取り乱すなんて……」

「お姉、ちゃん?」


そんな声が聞こえた。
だが、私はそんな声を聞かずに魔法陣を描き始めた。
それは、禁術とも言われる神を呼び出す魔法陣。
そんな魔法陣を私は淡々と書き始めた。

それにいち早く気付いたのはアンリだった。


「ルーシャ!!
辞めなさい!!
禁術に手を出す気ですか!?」

「……さい……るさい…うるさい!!
お母さんが、待ってるの!
私をずっと探してるの!
このままじゃ……」


そんなことを言っているうちに魔法陣が完成し、グルグルと回転を始めた。


『あ、あ……。
ルシャーナ、ルシャーナなのだな…。
私の、私の愛しき子!
愛しき娘。
ルシャーナ、探していた。
ずっと、ずっと……。
ようやく見つけた……。
我がこの手に帰ってきたのだな……』

「なっ……ルーシャ!」

「お母、さん?
良かった……消えてなくて…。
お母さん…私」

『ルシャーナ、泣く必要などない。
…辛い思いをさせた様だな…。
…サタンと言ったか?
私の命はもう永くは持たぬ。
ルシャーナを頼む。
…ルシャーナ、お主は人間へとなったのだな…。
我が愛しき子よ。
良い友と家族に恵まれた様だ…。
……最後に会えて、良かった…』


その言葉を最後に私のもう一人のお母さんは消えてしまった。
その残滓は私とエリー、リマ、アンリなどの親しい友人や家族に吸収されていった。




「…なぁ、ルシャーナ。
なんか闇属性出てんだけど…」

「……お母さんが残したものですね」



というやりとりがあったが…。
ちなみにそのあと、私はきっちりと説明をさせられたうえに叱られました。
















それからしばらく話した結果。


最終日の個人戦の順番が決まった。
私が何故か最後、主将戦をやることになった。
副将戦はリマである。
……副将戦と主将戦を1年にやらせていいものなのか……。
3番目はレオニード先輩で、2番めがエリー、初戦がカルア先輩ということになった。


2日目のタッグマッチは2人と3人で別れるらしい。
2人の方はレオニード先輩とカルア先輩
が担当することになり、3人の方は私とエリー、リマの3人になった。
なんでも学年別の方がいいだろうとのこと。


そして、1日目のチーム戦の作戦はこうだ。


前衛は、エリーとレオニード先輩の魔法獣、それとカルア先輩だ。
レオニード先輩の魔法獣に関しては普通よりも少し弱めにして油断をさせ、2日目、3日目の試合を確実に勝てるようにするらしい。
そして、中衛は私1人、後衛はリマとレオニード先輩だ。
リマの魔法に関しては遠距離の方が使いやすいとの事だ。
そして、レオニード先輩は主に魔法獣の使役となるため後衛にいろ、という事だった。
私に関しては前衛がキツくなったら援護を、それ以外は後衛の役割を…との事で中衛という場所になった。


まぁ、こうして作戦は決まったが傲慢の悪魔、ルシファーの契約者という人物が気になって仕方ないのだった。


それと…対校戦の1日目では光と風以外は使うなと言われた。
出来れば聖属性の結界と防御、風もあまり使わずにいろと。
風に関しては援護系のみ、使ってよしとなったが。
防御に関しては元々あまり得意出なかった事もあり使うつもりはないが。
となると、だ。
私は光の攻撃と治癒、風の援護しか使えない。

2日目のタッグマッチでは思う存分やれ、と言われている。
ただし、闇だけは使うなとも言われたが。


そして、3日目。
この個人戦は必ず勝てと言われた。
闇も思う存分使っていいと。
実はイラニという人物。
闇属性でやり過ぎて前回の対校戦では先輩たちの友人が尽く大怪我をさせられたらしい。
それでその鬱憤を私が思いっきりはらせといういう事だ。


勿論、満面の笑みで了承しておいた。

私が寮に帰るとケヴィンが寮の前で待っていた。
そしてそのまま私は王宮へと連行された。
そしてそのまま国王(義父さん)の執務室に通される。


「ルシャーナ…あの魔法は何だ!?
あのままだったら絶対に街事消してたよね!?」


と、入るなり言われ、そこから3時間ほど説教されたのだった。
国王なのにそれだけ時間を使っていいのか…とも思ったがそれを言うと
『ルシャーナの方が問題だからね!?』
と言われてしまった。



それから何週間かを練習に費やし、ようやく形になってきたところでついにその日はやってきた。


しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。 そこで待っていたのは、最悪の出来事―― けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。 でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

「不吉な黒」と捨てられた令嬢、漆黒の竜を「痛いの飛んでいけー!」で完治させてしまう

ムラサメ
恋愛
​漆黒の髪と瞳。ただそれだけの理由で「不吉なゴミ」と虐げられてきた公爵令嬢ミア。 死の森に捨てられた彼女が出会ったのは、呪いに侵され、最期を待つ最強の黒竜と、その相棒である隣国の竜騎士ゼノだった。 しかし、ミアが無邪気に放った「おまじない」は、伝説の浄化魔法となって世界を塗り替える。 向こう見ずな天才騎士に拾われたミアは、隣国で「女神」として崇められ、徹底的に甘やかされることに。 一方、浄化の源を失った王国は、みるみるうちに泥沼へと沈んでいき……?

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

「お前を愛することはない」と言われたお飾りの妻ですが、何か?

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することはない!」「そんな事を言うために女性の寝室に押し入ったのですか? もう寝るつもりで化粧を落として髪をほどいて寝着に着替えてるのに! 最っ低!」 仕事大好き女が「お飾りの妻最高!」と恋愛感情無しで結婚したらこうなるよね、というお話。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

処理中です...