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しおりを挟むカーフィスを騎士から外した次の日。
私はシェードに問い詰められていた。
「おい、ルーディア。
お前、あいつが好きだったんじゃなかったのか?」
「断じて違います。
あれはただの幼馴染ですから。
私の専属が中々決まらなかったのでやってもらっていただけですから。
ですが、丁度2人専属が出来たのでお役目ごめん、という事です」
納得はしていなそうだったが理解はしたのかシェードは引き下がった。
もしかしたら私を落とせるとでも思ったのだろうか?
「なぁ、ルーディア。
この後お茶でもしないか?」
「申し訳ありません。
この後臨時の仕事がありまして…失礼させていただきます」
笑顔でシェードの前から去った私だった。
え?
仕事?
……無いに決まってるじゃん。
~シェード~
ルーディアを城で見つけた私はすかさず話しかけるが無情にもルーディアは仕事があるらしく去っていった。
私と話す時は毎回ルーディアに仕事があるのは何故だろうか?
ようやく仕事が休みになったと思えばジェラルドの奴に取られるなど……。
候補にでもなれば変わるかと思えば何も変わらないじゃないか。
これでは婚約者候補になった意味が……。
「…どうしたんですか、あの殿下の落ち込みよう……」
「あー…あれ。
ルーディア様に振られたんだと思うよ」
「振られてなどいない。
……振られては、な」
私は咄嗟に否定したもののあのルーディアの私に対する対応からみてそれも時間の問題だった。
「殿下、ルーディア様のどこが好きなんですか?」
「それは……。
あの歌もそうだが天使…いや、女神と言っても過言ではないだろう。
それに、あの花の咲くような笑みも…。
何より、ルーディアの芯の強さや誇り高いところだな。
戦場での冷静さも好ましい。
堂々とした立ち住まいもよりルーディアを美しく見せている。
優しすぎるほどに慈愛を持ち、この国に住む者のために動くその姿も綺麗だと思う。
それでいながら心を許すとコロコロ表情が変わり見ていて飽きないし可愛らしい。
あの輝く銀糸のような髪も、綺麗なオッドアイも…ルーディアの全てが好きだ」
彼の従者はドン引きだった。
思わず顔を引き攣らせる程には。
「……いつから主はこうも変態になってしまったんだ…」
「殿下……気持ち悪いです…」
サラッと本人の前で口にする酷い従者達だ。
そりゃあ、ルーディア様に振られるのも当然だ……。
そう思う彼等であった。
だが、幸いと言うべきかルーディアはまだその事を知らなかった。
絶対にルーディア様にだけはバレてはいけない、と行動をする主思いの一面もある彼等であった。
「何故ルーディアは振り向いてはくれないんだ……」
(そりゃあ、あなたが怖いからでしょう)
(あれを知れば誰だって逃げるよ……)
心の中でツッコミを入れながらこの主の病気をどうにかするために頭を働かせるのであった。
「……はぁ、少し出てきます」
彼、マーフィンはそう口にすると自らの主のもとを離れ、回復術師のいる塔へと歩き出した。
全ては主のために。
というのは建前で、さっさと仕事を終わらせたいだけだった。
「すいません、シェード殿下付きのマーフィンと申します。
ルーディア様はいらっしゃいますか?」
「……はい。
応接室でお待ちください」
黒髪赤目の少年は頭を下げると専属以外の立ち入りを禁止されている区域に入っていった。
誰かの専属らしい。
しばらくすると、奥から先程の少年とサラサラとした銀髪にオッドアイの回復術師…ルーディア様がきた。
「お待たせしてしまい申し訳ありません」
僕はルーディア様とは初めてお会いしたが確かにあの主が熱を上げるのも分かる程だった。
そして、先程言っていた通り、その透き通る声はとても心地が良く、心を落ち着かせる。
「いえ…。
こちらこそお忙しい中、お時間を頂いてしまい申し訳ありません」
「今日は仕事も予定もありませんのでお気になさらず」
……うん?
主は今日もルーディア様に仕事が入ったと言っていた気がするが……。
「臨時のお仕事が入ったとお聞きしたのですが……」
「あぁ…シェードですか。
えぇ、確かにありますが……明後日に」
その反応を見て確信した。
ルーディア様は主の誘いを断るための理由を探していたのだと。
これはもう主に見込みはないだろう。
「お話はそれだけでしょうか?」
「あ、いえ。
主…殿下がルーディア様に振られたせいか仕事が手につかないようなのでお茶に誘ってあげてはくれませんか?」
ルーディア様は明らかに嫌そうな表情を浮かべる。
そんなに主を嫌っているのだろうか?
「……シェードは仕事をしていないのですか?」
どうやら仕事をしていないせいだったようだ。
「えぇ……」
「……はぁ、分かりました。
アルト、ユリアに伝えてください。
今夜、久しぶりに3人で話をしましょうと」
「承知しました。
お茶のご用意はどう致しますか?」
「いつも通りでお願いします」
「承知しました」
どうやらこの少年はアルトという名でルーディア様の専属らしい。
言葉から察するにユリアという者も専属なのだろう。
「それと……」
「失礼しました。
シェード殿下付きのマーフィンと申します」
「マーフィンさん…ですね。
改めまして、ルーディアと申します。
よろしくお願いします」
そう微笑んだルーディア様はとても美しかった。
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