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しおりを挟む私はマーフィンさんのためにシェードのもとを訪れていた。
「シェード、いますか?」
「あぁ、どうしたルーディア」
「…お仕事は?」
「無い」
嘘つけ、と口にしたくなるのをこらえ、うっすらと笑みを浮かべた。
「それでしたら、丁度私のお仕事もありませんしお茶でもどうでしょうか?」
「っ…あぁ!」
簡単に釣られやがって。
……おっと、つい言葉が……。
「あ……マーフィンさん達も御一緒にどうでしょうか?」
「……何?
マーフィンとクロエもか?」
「えぇ、シェードの(小さい頃の面白い)話をお聞きしたいですし」
「そうか。
おい、マーフィン、クロエ休憩だ」
変わり身が早いと呆れたのはどうやら私だけではなかったらしい。
……2人も苦労しているのだろう。
「シェードは普段、どのような仕事をされているのですか?」
「書類関係だな」
シェードの答えは簡潔すぎた。
「殿下は陛下のもとへ出される書類のうち簡単なものの処理を行われています。
その対応も殿下の仕事の1つですね」
「それは……大変そうですね。
ですが、そういった仕事も国を回す為には必要不可欠なのでしょう?
そのような仕事をされている方って素敵だと思います」
いい感じの言い回しが見つからなかったのだ。
だが、シェードは少し誇らしげだった。
「話は変わりますが…ルーディア様のお好きなタイプの方ってどのような方なのですか?」
クロエさんは主であるシェードのために私に尋ねてきた。
私は少し考える素振りを見せた後、マーフィンさんのために答えた。
「やはり、仕事に責任を持ちやり遂げる方…でしょうか?
というのも、私は仕事を途中で放り出すような方はどうにも好きになれず……」
私の言葉に反応し、シェードの表情がピクリと動いた。
もう一押し、というつもりで私は更に言葉を重ねた。
「その点、シェードは仕事をきちんとこなしているのでしょう?」
「あ、あぁ。
当たり前だ」
視線を逸らすシェードに私はハッと思い出したような表情をした。
「それと、嘘をつく方はどうも苦手で……。
どうしても避けてしまうんです。
誤魔化されるのならばまだしも嘘をつかれるとその方との壁が出来ているようで……」
「あぁ、分かります。
秘密の1つはあると思いますが嘘をつかれると無関係だと突き放されているようですよね……」
「やはり、そのような方とは婚約など結びたくはありませんね」
クロエさんは多分、天然だ。
私とマーフィンさんはわざとではあるが。
「ルーディア、済まないな。
そろそろ時間だ。
またお茶をする時間を作る」
「いえ、このような時間までお引き止めしてしまい申し訳ありません。
お仕事、頑張ってください、シェード」
「っ…あぁ」
嬉しそうにはにかむと殿下は仕事へと戻って行った。
これで仕事を放り出す事はないだろう。
「ルーディア様、ありがとうございます」
「え、え?」
マーフィンさんからのお礼を受け取ると私達はクロエさんを落ち着かせた。
そして、説明を初めた。
「先程、マーフィンさんから殿下の仕事中の様子を伺いましたから…。
それが私のせいだとすれば私が言えばちゃんと仕事をするようになると思いまして」
「あ……それでですか……。
てっきり、殿下に気があるのかと…」
「まさか。
ありえません。
シェードはこう言ったら失礼かもしれませんが…ただの友人としか感じられませんから」
最初の頃は、とつくが。
今はシスコンのちょっと大きな弟、という感じだ。
「ただの友人…ですか。
主が聞けば落ち込むでしょうね…」
苦笑したマーフィンさんだったが、すぐに優しげに笑みを浮かべ2人して退室していった。
「……意外と慕われてんじゃん、シェード」
と、1人になった後の私の呟きは誰にも聞かれる事は無かった。
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