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しおりを挟む「私は回復術士です。
傷付く者を癒す、それが私達回復術士の役目ですから。
決して、怪我人を増やすことではありません」
学校で使った程度ならばまだ、加減が出来るからいい。
けど、対抗戦となれば違う。
対抗戦は学園や国のレベルを競う重要なものだ。
そのようなところで加減をすれば、こちらが怪我をするし、相手にも失礼だ。
だからこそ、私は嫌だった。
ただ、反対に参加したいという思いも確かにあるのだ。
戦って勝ちたい、楽しみたい、思う存分にぶつかりたい。
でも、回復術士として参加する以上、そうはいかなかった。
「……それは、済まない。
そこまで考えてはいなかった。
だが、それでも頼む。
参加してくれないか?
ルーがいれば、確実に勝てる」
「ルー、私からもお願いします」
「……水は使いませんよ?」
「あぁ、それでいい。
礼を言う、ルー」
結局、ルドとシェードに頼まれてしまえば断れなくなり、了承した。
そうと決まれば反転魔法の練習をした方がいいだろう。
いくら使えるからといって、もっと自然に使えるようにならない限り実戦で使っても避けられるか邪魔をされて終わりだろう。
「ルー、治癒魔法はどの程度の範囲で、どのくらいの威力で使える?」
「そうですね……ここならば多分、全体を覆っても問題ありません。
効果はその分下がってしまいますが、大抵の傷は治せます」
これでも範囲も威力も国一番の実力を保持している……と、言われている。
自分ではそんなつもりはないし、先輩の方が……と思うけど。
「試合終了後に敵味方問わず全員の治癒をする場合、魔力は大丈夫か?
勿論、試合中は援護等を頼むが……」
「反転魔法も一回の試合に何十回も使わない限りは問題ありません」
「では、それで頼む」
「はい、喜んで」
これで、何故私がこのトリプルに参加することが確定していたのかは分かった。
これは、国に所属する回復術士のレベルを見せつけるためだ。
だからこそ、私の参加は大前提だし、敵の回復までするのだろう。
「さて、あとは他の二枠を誰にするか、だな。
一人はルーのことを考えてグランが良いだろう」
「……別に、自衛は出来ますが?
そもそも、近寄らせるつもりはありませんから」
「それでも、もしもということがあるでしょう?
ルーが落ちれば、戦況はかなり傾くことになりますから。
それに、そうでなくとも近接の者は入れておくべきでしょう」
確かに、ルドの言う通りだ。
私が落ちれば、のところはともかく、近接がいるだけで攻撃の範囲はかなり広がる。
それに、そうでなければ魔術師だけで挑むことになる。
それこそ無謀だろう。
「……それもそうですね」
「では、あともう一枠だな」
そこが問題だった。
ルド、レイ、シェードの三人はそれぞれ違った特徴がある。
ルドであれば地形の利を利用し、相手を罠に嵌めつつ自軍を有利に進めるのが得意。
レイならば聖属性の使い手として遠距離や結界が得意。
シェードであれば、魔法の多様性が特徴的だ。
だからこそ、誰が選ばれてもおかしくはないし、それだけ選ぶのが大変であった。
「僕は……辞退するよ。
防御に特化してるから、ルーがいれば充分だろうし」
「……分かった。
幸い、交代は認められている。
私とジェラルドの二人で交代すれば良いだろう。
それでいいか?」
「えぇ、問題ありません」
「いいぜ」
「はい」
「うん」
ということで、初めの陣営は私、グラン、ルドの三人に決まった。
……はぁ、とてつもなく面倒臭い。
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